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うつ病を支える家族の方へ


うつ病を支える家族の方へ

バックアップしていくために

 

 うつ病の治療には家族の温かいバックアップが欠かせません。まず、うつ病が【気の持ちよう】ではなく【病気】であることを、本人とともに家族が理解することから始まります。
 また、治療は、はじめのうちは一進一退です。家族の方は、病気に関する正しい知識を持つとともに、焦らずじっくり見守ることも大切です。

患者さんと接するための5つのポイント

 

はげましは逆効果。温かく見守りましょう

   

 うつ病の人に『頑張って!』と励ますのは逆効果になります。すでに命懸けで頑張っているので、さらに励ませば、「まだ努力が足りない」、「自分はもっともっと頑張らなければいけない」と、負担になってしまいます。
 日本語にはこのような時、適切な言葉がないように思います。マラソン選手は患者さんではありませんが、沿道での『頑張ってー』と言って旗を振っての応援が負担に感じることもあるといっています。ソフトボール日本代表では、選手間で『良いよ、良いよー』と声を掛け合い、『頑張れー!』とは言わないみたいですね。
 現在は、頑張りたくても、頑張れない状況にあることを理解してあげてください。今までと態度を変えず、普通に接することが患者さんの安心へと繋がります。

 

考えや判断を求めることはやめましょう

   

 たとえば、CD屋さんに行ったとき、「ビートルズにする?エルビスにする?」と聞かれたとき、「なんでもいい」と答えると、うつ病の人は自分で考え、出した結果に責任を感じてしまいます。そんなときは、「エルビスがいい!」と具体的に答えて負担を減らすようにしましょう。

 

外出や運動は無理にすすめず、とにかくゆっくり休ませましょう

   

 外出や運動は、健康な人にとっては気分転換になります。しかし、うつ病の人にとっては、外出や運動が負担になる場合もあります。

 

重要な決定は先延ばしにさせましょう

   

 金額の高い買い物、引っ越しなど、大事なことを決定するのはストレスになります。できることなら、決定は病気が治ってからにしたほうが良いでしょう。

 

家事などの日常生活上の負担を減らしてあげましょう

   

 家事が負担になっていることもあります。「食事は作らなくていいよ」、「ワイシャツはクリーニングに出して」など、家事の負担を減らしていきましょう。

うつ病患者さんとの会話例

 

 うつ病患者さんの奥さんに対する旦那さんの対応例としては以下のような会話の仕方がいいでしょう。何がいいのかをはっきりと答えて導くことで、患者さんへの負担を減らしてあげる事ができます。
 一見すると、「何でもいいよ」と答えたほうが優しそうな印象を受けますが、考えや判断を求めてしまうことになるので、あまり良いとはいえません。

    ×悪いパターン
奥さん 「夕食は何がいい?」
旦那さん 「何でもいいよ」
○良いパターン
奥さん 「夕食は何がいい?」
旦那さん 「ハンバーグが食べたい」

家族のためのQ&A

うつ病の患者さんに対するタブーとはなんでしょうか?

 

 『元気を出せ、病気に負けるな』などのはげましや、内面的なことを指摘するようなことは避けましょう。また、休養しているのを怠けているように言うのもいけません。
 患者さんの声に耳をかたむけ、一緒にいるだけで安心感を与えられるように接しましょう。

なぜ、うつ病の患者さんをはげましてはいけないのですか?

 

 患者さんは、やらなければならないことは重々わかっており、それができないために悩んでいるのです。それに追い討ちをかけるように激励するのは、足を骨折している人に向かって、走って足を鍛えろといっているようなものです。

家族の上手なサポート方法

不安を広げないように声を掛ける

 

 受診を薦めるときは、受け入れやすい言葉を選んで声を掛けましょう。『うつ病』や、『精神病』、『病気』といった言葉を使わず、『こころと体の疲労を診てもらったほうがいいのでは?』などと言い換えて、提案するような言い回しにすると良いと思います。

「なぜ?」と、病気の原因を追求しない

 

 うつ病だとわかると、「なぜ病気になったのか」と、原因を探しがちです。しかし、実際にはさまざまな要因が関係していて、特定できないことがほとんどです。自分自身が原因になっていることもあるかもしれません。そんな時に原因を追求しても、答えられるはずもありません。病気の原因を探すよりも、「どうすればよくなるか」を考えるようにしましょう。
 うつ病を治す力を持っているのは、患者さんをサポートできる存在です。

家族の受診で診察できることもあります

 

 家族が不調に気付いても、本人が受診に消極的なケースは良くあることです。こんなときは、家族が代わりに受診されるのも一つの方法です。そして、医師から聞いたことを本人に伝えます。このとき、治る病気であること、治療が必要であること、病院内の様子、診察の印象などを伝えると、患者さんの不安を少しでも和らげて上げられると思います。


管理人ちーず。の体験談

わかっていても出来なかった自分

 

 うつ病患者さんは、自分自身が、自分の症状を一番良く理解しています。治療法・日常生活での習慣改善なども、すべてわかっています。
 わかっていても、実行できないのが『うつ病』だと考えてあげてください。

ちょっとした言葉が深く心に突き刺さる

 

 ついつい、言ってしまいがちな、些細な一言。言う側にとっては、うつ病患者さんの事を思って言ってしまいますが、実はかえって精神的な負担になっている場合が多いようです。なぜならば、わかっているけどできない自分に対し、自責の念や、罪悪感が生まれてきてしまいます
 「頑張ってね」、「夜更かしは良くないよ」、「規則正しい生活を送った方がいいよ」、「食事はちゃんと食べた方がいいよ」、「外の空気を吸ってきた方がいいよ」などが、その典型例です。
 「心の病気なんてかわいそうだね〜」と、やっぱり、つい言ってしまいがちですが、これもいけません。うつ病患者さんにとっては、上から見下されているように感じてしまい、「自分はかわいそうな人間なんだ、価値のない人間なんだ」と思い込んでしまうからです。
 ギャグやダジャレなども、あまり適切とは言えません。うつ病患者さんは、笑うことができない自分を責めてしまうことがありますし、孤独感を感じてしまう事もあります。
 当然ですが、「死んでしまえ」、「ダメ人間」、「怠け者」、「自殺なんて最低だね」などと言ってはダメです。その言葉は最期の引き金となり、本当に死んでしまうことがあります。

わかってもらえない辛さ

 

 大切なのは『共感すること』だと、考えてください。うつ病患者さんの辛さを共に感じ、共に考える。同じ立場に立つことが重要です。
 そうすれば、自然と些細な一言を言ってしまう事も少なくなると思いますし、うつ病患者さんもだんだんと心を開いて会話をするようになってくれると思います。いつでも話ができる環境を作るよう心掛けていてください。とても、とても時間のかかることですが、ゆっくりと焦らずに待ってあげてください。
 うつ病患者さんにとって、自分の身の回りの生活環境はとても大切です。

感染症ではありませんが・・・

 

 最後に、うつ病は感染します。周りの人たちの気分も憂鬱にさせてしまう事があります。そうなってしまうと、うつ病患者さんは、「自分のせいで周りの人に迷惑をかけてしまった」と考え、自殺願望を持ってしまう事もあります。
 うつ病患者さんを見守る家族の方々も、心のリフレッシュ、気分転換はとても大切です。自分自身のストレス発散も忘れないようにしてください。

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