こころの病気

イメージ画像　こころの病気は、脳の病気でもあり、脳を刺激する体外環境の病気でもあります。そのため、感染症や外傷によって発症するこころの病気、脳そのものの器質的病変から発症するこころの病気もあります。

　この100年で精神医学は急速な発展を遂げ、ここ十数年で治療法も大きく変化しました。薬物療法も発展し、社会復帰療法・リハビリテーション療法の発展は目覚ましいものがあります。しかしまだ、完成された姿ではありません。治療法を考えるには、肉体的原因は何か、精神的原因は何か、社会的原因は何かを考え、適切な治療法を考えなくてはなりません。
　診断分類も変化し、診断名も変化しています。

　日本ではこころの病気に対する理解が、一般的にも医学的にも遅れています。誤った考えや、歪んだ知識を払拭する必要があります。

こころの病気、症状・原因・治療法解説

器質性精神障害

術後精神病・ICU症候群

精神作用物質による障害

アルコール依存症・薬物依存症

ニコチン依存症・喫煙

統合失調症

統合失調症・精神分裂病

幻聴・幻声・妄想

性同一性障害

精神遅滞

他の診療科と関係がある病気

胃腸神経症・神経性胃炎

心臓神経症

こころの病気の代表的な病気

気分が落ち込む日が続く	┳	数週間～数ヶ月の激しい気分の落ち込み、興味がわかない、人生に絶望、午前中は調子が悪く午後は良い、不眠			━	うつ病
	┣	抑鬱、不快感、楽しくない			━	気分変調症
	┣	具合が悪くなった時に退避場所がない、恥ずかしい、パニック発作の予期不安、人混みや乗り物を避ける			━	不安障害・広場恐怖
	┣	漠然とした不安や心配が6ヶ月以上続く			━	全般性不安障害
	┣	環境に変化があった	┳	空巣症候群、昇進うつ病、燃え尽き症候群、引っ越しうつ病	━	うつ状態
	┃		┗	学校・会社・家庭などの不適応、不安、抑鬱	━	適応障害
	┣	脳血管障害後、意欲や関心の低下			━	脳血管性うつ病
	┣	高齢者	━	近親者の死亡、社会との関わりの喪失、将来の不安	━	老人性うつ病
	┗	喜怒哀楽の感情がなくなる、統合失調症の陰性症状				統合失調症
意欲的な日が続く	━	気分の高まり、活動しすぎる、喋り続ける、眠らない、多額の買い物、イライラ、喧嘩			━	気分障害・躁うつ病
食べ方	━	短時間で必要以上の食物を食べる、過食後の嘔吐や下剤の使用、ほとんど食べない			━	摂食障害
1つの事が気になる	┳	わかっていても心配や不安が消えない、心配や不安を解消するため同じ行為を繰り返す			━	強迫性障害・強迫神経症
	┗	疾患はないのに病気のふるまいをする	┳	病気だと思い込み医療機関の受診を繰り返す、皮膚の違和感・嚥下障害・動悸・めまいを訴える	━	心気症・心気神経症
			┣	嫌な事から逃れる為に病気の状態を作り出す	━	詐病
			┗	患者になりたい為に症状を訴える、点滴に汚物を混ぜ熱を出す	━	虚偽性障害
息切れ、動悸	┳	呼吸器や循環器に異常はないが動悸・息苦しさ・胸痛			━	うつ病
	┣	呼吸困難になりめまいが起こる、手のしびれ、全身の痙攣、大きく息を吸うと悪化する			━	過換気症候群
	┗	強い不安や恐怖を感じた時・慣れない場所・人混み・暗がりでの動悸・息苦しさ・息切れ・呼吸困難			━	不安障害・パニック障害
強い恐怖感	┳	わかっていても強い恐怖を感じる、特定の対象に強い恐怖や嫌悪を覚える			━	恐怖症性不安障害
	┗	過去の恐怖体験が思い出され、動悸・呼吸困難など身体的症状が現れる、フラッシュバック			━	心的外傷後ストレス障害・PTSD
幻覚	┳	早期から鮮明な幻覚、意欲や注意力の低下、起立性低血圧や失神、5年～10年で寝たきり			━	レビー小体型認知症
	┗	幻覚・幻聴・妄想が強く、徐々に意欲の低下や自閉症状が続く、身の周りの事ができなくなる			━	統合失調症
社会に適応できない	┳	他人が悪意を持っていると思い込む、他人から注目されたい、性格の偏り、思春期以降			━	パーソナリティ障害
	┗	うつ、過食、対人関係が不安定、リストカット、境界例の特徴がある			━	ボーダーライン・境界例
自分がわからない	┳	自分が自分でない、自分の体に実感がない、感情がなくなる			━	離人性障害
	┗	一人の中にいくつもの人格が存在する、それぞれの人格は独立して出現する			━	多重人格
身体症状	━	心理的な原因によって特定の器官に身体的症状が現れる、症状が出ると不安が増しさらに悪化する			━	心身症
物事を忘れる	┳	部分的な健忘	━	ストレスを受けた後それに関連することだけ忘れる、ストレスの後に意識を失ったように無反応になる解離性昏迷	━	解離性健忘
	┣	すべて忘れる	━	衝撃が非常に大きかった時に名前や年齢など自分に関するすべてを忘れる、失踪して新しい場所で新しく生活を始める	━	全生活史健忘
	┗	高齢者	┳	65歳以上、徐々に物忘れがひどくなり計算力・判断力も衰える、言葉が出ない、妄想、徘徊	━	アルツハイマー型認知症
			┗	脳卒中発作後の物忘れ、感情の起伏が激しい、計算力や一般常識は衰えない	━	脳血管性認知症
子供	┳	対人関係・社会適応がうまくいかない	┳	聴力・精神遅滞はない、言語によるコミュニケーションができない	━	コミュニケーション障害
	┃		┣	知能・言語能力は高く一見すると社会生活に不都合はない、他人の気持ちが想像できず同世代と交流できない、思春期では集団生活に加われない	━	アスペルガー障害
	┃		┣	3歳以降明らかに、言語発達の遅れ、甲高い声やオウム返し、対人関係がうまくいかない、特定物への強いこだわり	━	自閉症・自閉性障害
	┃		┣	7歳未満で発症、成人にも発症、勉強・仕事に集中できない、終始体を動かし座っていられない、走り回る、喋りすぎ	━	注意欠陥多動性障害・ADHD
	┃		┗	ADHDを基盤にすることが多い、反抗的、挑戦的、拒絶的	━	反抗挑戦性障害
	┣	喋らない	━	家族や親しい人と会話するが幼稚園や学校では会話しない、場面や相手によって言葉を発しない	━	選択性緘黙
	┗	不随意運動	━	特定の動作を突発的に繰り返す、首曲げ、肩すくめ、足を踏み鳴らす、汚言	━	子供のチック
眠れない・不眠	┳	うつ病・気分障害・神経症性障害・統合失調症などの症状、夜中に何度も目が覚める			━	入眠障害・深夜の覚醒
	┣	入眠はできるが早朝に目が覚めその後眠れない			━	早朝覚醒
	┣	認知症、脳血管疾患、脳腫瘍などの症状			━	神経の病気
	┣	自分の意志と無関係に体が動く、睡眠時に脚が何度も痙攣して動き目が覚める			━	夜間ミオクローヌス
	┗	加齢により睡眠と覚醒のリズムが崩れる、夜間の決まった時間に眠れない			━	加齢によるもの
睡眠不足	┳	睡眠中に様々な異常行動をとる、覚醒後は覚えていない			━	睡眠時随伴症
	┣	睡眠中に10秒以上呼吸が止まる、いびきが激しい			━	睡眠時無呼吸・低呼吸症候群
	┗	睡眠中に脚に虫が這う不快感、足を動かすと不快感が消える			━	むずむず脚症候群
過眠	━	日中に強い眠気がありどんな状況でも発作的に眠ってしまう、手足の脱力感、入眠時に生々しい現実感と感情を伴う強い幻覚（金縛り）			━	ナルコレプシー・過眠症
睡眠と覚醒のリズムの乱れ	┳	睡眠時間が遅い時間にずれて固定される、深夜に入眠し遅い時間に起きるため社会活動に支障が出る			━	睡眠相後退症候群
	┣	入眠時間が早い時間に固定される、夕方近くに寝て深夜に目が覚める			━	睡眠相前進症候群
	┣	睡眠覚醒周期が約25時間になる、入眠時間・覚醒時間が毎日1時間ずつずれる			━	非24時間睡眠覚醒症候群
	┗	入眠と覚醒の時間が一定しない			━	不規則型睡眠・覚醒パターン