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性同一性障害


性同一性障害ってどんな病気?

性の自己認知・意識の不一致

 

イメージ画像 ヒトには、生物学的性別として男女の別があります。男性は「自分が男である」と認め、「男として生きるのがもっともしっくりする」と感じ、逆に女性は「自分は女である」と認め、「女として生きるのがもっともしっくりする」と感じています。これを「ジェンダー」といいます。
 ところが時には、生物学的性別と、性の自己認知、あるいは自己意識と呼ばれるジェンダー・アイデンティティが一致しないことがあります。
 これを、性同一性障害と呼んでいます。


性同一性障害の症状は?

さまざまな症状

 

イメージ画像 生物学的性別と、ジェンダー・アイデンティティが一致しないと、さまざまな症状があらわれてきます。

 

自身の身体への嫌悪感

   

 自分の生物学的性別を象徴するものに嫌悪感を示したり、取り除こうとします。
 その結果、「自分の性器は間違っている」、「成人になれば反対の性器を持つようになる」、「自分の性器はなかったら良かった」と考えるようになります。
 また、月経、乳房のふくらみなどに嫌悪感をおぼえます。

 

違う性別になりたいと思う

   

 反対の性別に強くひかれ、「反対の性別になりたい」と思うようになります。反対の性別の服装や遊びを好みます。

 

行動にもあらわれる

   

 家庭、職場、儀式、社会的人間関係、言葉遣い、身のこなしなど、さまざまな場面で反対の性別として行動することを希望し、実際にそのような行動をとるようにします。

性同一性障害の診断は?

2種類の検査

 

イメージ画像 診断は生物学的性別の決定と、ジェンダー・アイデンティティの決定によって行われます。

 

生物学的性別の決定

   

 生物学的性別の決定は、性染色体検査、ホルモン検査、内性器・外性器の検査、生殖腺検査などを行います。これらの検査によって、男女のいずれであるかを決定します。

 

ジェンダー・アイデンティティの決定

     性別の自己意識・自己認識の決定を行います。
 小さな頃からの生活の状況、服装、遊びなどを詳しく聞きます。写真などの具体的な事実を物語るものを見せたり、本人だけでなく家族や親しい関係にある人たちからも情報を得ます。
 そして、本人のジェンダーを決定します。

生物学的性別とジェンダー・アイデンティティの不一致

 

 2種類の検査から、生物学的性別と、ジェンダー・アイデンティティが異なることを明らかにします。
 半陰陽、あるいは間性などと呼ばれる生物学的性別に異常のあるものは除かれます。
 また、職業上の理由、趣味、嗜好の理由から、別の性別を望む場合も除かれます。しばしば同性愛と混同されることもありますが、まったく意味合いの異なるものです。


性同一性障害の原因は?

染色体とジェンダー

 

イメージ画像 生物学的性別は、卵子と精子が受精した際、Y染色体の有無によって決定されます。
 しかし、ジェンダーがどのようにして決定されるのかは、必ずしも一定の結論が出ているわけではありません。

もっとも有力な説

 

 現在では性同一性障害の原因にかんして、さまざまな研究が行われていますが、少しずつ解明されてきています。
 もっとも有力な説では、受胎後、胎生期に男女の性器の分化が起こります。その際、男女それぞれの性別にふさわしい性ホルモンが分泌され、その性ホルモンによって脳にも性差が生じます。この脳の性別化が、ジェンダーと関係していると考えられています。
 脳の発達の経過中に、母親がホルモン投与を受けたり、ストレスにさらされたり、ホルモン異常が引き起こされると、脳の性差に異常が生じて、性同一性障害が生じると考えられています。


性同一性障害の治療法は?

治療の行われる順番

 

イメージ画像 性同一性障害の治療は、以下のような順序によって行われます。

 

精神療法

   

 精神療法は、本人のこれまでつらかったこと、困難、悩みを良く聞き取ります。
 そして、人生を快適に暮らすためには、どちらの性別で暮らしていくのが良いのかについて、充分な検討を行います。
 精神療法は、ホルモン療法、手術療法の前、または継続中、終了したあとにも、継続して行われる治療法です。

 

ホルモン療法

   

 充分な精神療法が行われた後、身体的、精神的な安定感を得るためには、ホルモン療法が必要と診断された場合には、ホルモン療法が行われます。
 男性が女性性を望む場合は女性ホルモンを投与します。女性が男性性を望む場合は男性ホルモンを投与します。

 

手術療法

   

 充分なホルモン療法にも関わらず、それまでの治療には限界があり、手術療法が必要とされた場合、手術が選択されます。
 以前は、「性転換手術」と呼ばれていましたが、現在では「性別適合手術」と呼ばれています。


性同一性障害かなと思ったら?

性別違和症候群

 

イメージ画像 性同一性障害の周辺には、さまざまな程度の、自らの性別に違和感を抱いている人が存在していることが知られています。広く「性別違和症候群」と呼ばれています。
 性同一性障害、性別違和症候群の人たちも含めて、単純な性別二分法ではない緩やかな社会的枠組みの必要が求められています。

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