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原因は? |
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健康な人でも、睡眠時は筋緊張がゆるみ、上気道は狭くなります。飲酒などがあると、さらに筋のゆるみは増強され、いびきの原因ともなります。また、仰向けに寝た場合、重力の影響で軟口顎(なんこうがい)や舌根(ぜつこん)が沈んで上気道は狭くなります。
健康な人では、睡眠によって上気道が狭くなっても(上気道狭窄)、必要な呼吸換気量は確保されます。
睡眠時無呼吸症候群の人では、気道や呼吸中枢神経系になんらかの異常があり、それがもとで気道狭窄を引き起こします。原因からみて、閉塞性呼吸障害と、中枢性呼吸障害に分けられ、両者の混合型もあります。 |
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閉塞性呼吸障害 |
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もっとも一般的なタイプです。アメリカでは、中高年の男性の約4%〜6%、女性の1%〜2%がこの睡眠障害をもっているといわれています。
閉塞性呼吸障害は、鼻、咽喉、口腔、喉頭、下気道と気道の色々な部位の狭窄が原因で発症します。とくに軟口顎の形態異常、アデノイド、口顎扁桃肥大が重要です。下顎顔面骨の発育、形態異常が原因になることもあります。
肥満が発症の原因となっていることもあります。肥満があると身体各部に脂肪沈着がおこり、上気道の狭窄を引き起こします。同時に、心肺機能にも負担がかかります。肥満傾向の人にはいびきの常習者が多く、睡眠時無呼吸症候群の70%〜80%の方が肥満傾向にあります。
子供は、大人に比べて気道が狭く、呼吸障害を引き起こされやすく、注意が必要です。子供は一般的にいびきをかきませんので、いびきをかいていたら何らかの影響で気道が狭くなっていることを疑う必要があります。扁桃やアデノイドの肥大が閉塞性睡眠時無呼吸を引き起こします。 |
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中枢性呼吸障害(非閉塞性呼吸障害) |
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まれなタイプで、呼吸を調節している脳領域(脳幹)の機能障害によって発症します。
脳幹は、正常であれば血液中の二酸化炭素量の変化に敏感に反応します。しかし、中枢性睡眠時無呼吸では、二酸化炭素量の変化に対する脳幹の感受性が鈍くなっています。血液中の二酸化炭素の増加に対する反応が遅いため、体が過剰反応して過換気になり、その状態が長びいてしまいます。同様に血液中の二酸化炭素の除去に対する脳幹の反応が遅いため、一時的な呼吸停止が長びいてしまいます。
脳幹の機能障害の原因には脳腫瘍が考えられます。心不全の患者さんにも中枢性睡眠時無呼吸が起こります。中枢性睡眠時無呼吸の一種である『オンディーヌの呪い』と呼ばれるタイプでは、はっきりと目が覚めているとき以外は十分に、あるいはまったく呼吸ができません。
また、肥満とは関係ありません。 |
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混合型呼吸障害 |
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まれなタイプです。閉塞性と中枢性の両方の特徴をもっています。 |