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アデノイド・アデノイド増殖症


アデノイド・アデノイド増殖症の概要は?

おもな症状

 

鼻閉
口呼吸
食事摂取の困難
いびき
難聴
アデノイド顔貌
顔面骨の発育異常
漏斗胸・鳩胸
精神遅滞

似ている病気

 

鼻腔異物(びくういぶつ)
後鼻孔閉鎖症(こうびこうへいさしょう)
上咽頭腫瘍(じょういんとうしゅよう)

起こりやすい合併症

 

中耳炎
副鼻腔炎
下気道の炎症性疾患(咽頭炎気管支炎


アデノイド・アデノイド増殖症ってどんな病気?

アデノイドは扁桃組織

 

アデノイド アデノイド肥大、咽頭扁桃肥大症などとも呼ばれます。英語では、「Adenoid Vegetation」と言います。
 咽頭(いんとう、のどのコト)には、扁桃(へんとう)と呼ばれるリンパ組織の集まったものがあります。そこは、外界から細菌やウイルスが体内に侵入しようとするのを防ぐ役割を果たしています。
 口蓋垂(こうがいすい、のどちんこのコト)の横、左右に一対あるのが口蓋扁桃(こうがいへんとう)です。鼻腔の奥にあるのが、上咽頭にクルミのように付いているのが咽頭扁桃(アデノイド)になります。この2つが、代表的な扁桃組織です。
 咽頭扁桃は軟口蓋の裏側(のどちんこの裏側)にあるので、口蓋扁桃のように目視で確認することはできません。

3歳頃から大きくなる

 

 3歳頃になるとアデノイドが増大し始め、6歳頃にもっとも大きくなります。その後、思春期頃には次第に委縮(いしゅく)していきます。
 普通は、アデノイドの肥大は病的な意味を持ちません。
 アデノイドの肥大によってさまざまな症状が現れるようになると、アデノイド増殖症と呼ばれるようになります。


アデノイド・アデノイド増殖症の原因は?

子供の病気

 

子供の病気 アデノイドや口蓋扁桃は、リンパ系の組織です。
 リンパ系の組織は、2歳〜5歳くらいでもっとも大きくなり、その後は少しずつ小さくなっていきます。
 しかし、この年齢では骨格や筋肉が十分に発達していないので、相対的に見てアデノイドや口蓋扁桃がのどに占める割合はとても大きなものになってしまいます。
 このため、アデノイド増殖症は、子供特有の病気になります。

個人差が大きい

 

 アデノイドが生理的に増殖・肥大する時期や程度には、個人差があります。アデノイドが大きいのに、猩々が現れないこともあります。
 また、何が原因で病的なまでに大きくなるのか、症状が現れるのか、ハッキリとはわかっていません。
 生まれつきの体質が関係していると言われています。
 アデノイドなどのリンパ系の組織は免疫に関係しているので、風邪をひいたあとなどにアデノイド肥大の症状が悪化することがあります。


アデノイド・アデノイド増殖症の症状は?

鼻の症状

 

アデノイド 鼻腔(びくう)と咽頭(いんとう)の間が閉塞(へいそく)されることによって、鼻づまり、大きないびき、鼻声などの症状が現れます。
 乳児の場合、鼻呼吸が重要なので、アデノイド肥大による鼻づまりで呼吸困難になり、哺乳の際に息苦しくなり、十分にミルクが飲めなくなる哺乳障害・栄養障害の原因となります。
 鼻呼吸が難しくなり口で呼吸をするようになるので、締まりのない顔つきになります。これは、アデノイド顔貌と呼ばれていますl。

耳の症状

 

 難聴になることがあります。
 中耳と咽頭は耳管という管で繋がっているので、アデノイドが肥大すると滲出性中耳炎になりやすくなります。

全身の症状

 

 口蓋扁桃やアデノイドの肥大が原因で夜間の呼吸が妨げられ、睡眠時無呼吸症候群になることがあります。
 その結果、本人は覚えていませんが、眠っている間に呼吸が苦しくなって一時的に目を覚まし、睡眠が浅くなります。睡眠中に激しく身体を動かしたり、夜驚症や夜尿を起こすこともあります。朝は寝起きが悪くなり、日中は注意力が散漫になり、行動に落ち着きがないなどの症状が見られるようになります。


アデノイド・アデノイド増殖症の合併症は?

成長障害

 

鼻づまり 成長障害、集中力低下のため学習障害を生じます。

呼吸障害が長引くと

 

 重症の呼吸障害が長期間続くと、眠っている間の血液中の酸素量が低下するため、脳にダメージが生じることがあります。
 心臓に負担がかかり、肺高血圧症、心不全などの合併症を生じることがあります。
 鼻水の流れを妨げるので、慢性副鼻腔炎を起こし、症状の改善を遅らせてしまいます。

さらに症状が長引くと

 

 口を開け、下を出した締まりのない顔つきになる、アデノイド顔貌が見られるようになります。
 漏斗胸(ろうときょう)、鳩胸(はとむね)など胸郭(きょうかく)の変形を起こすことがあります。
 つねに口を開けているので、歯並びが悪くなります。


アデノイド・アデノイド増殖症の診断は?

ファイバースコープ検査

 

診察 鼻からのファイバースコープ検査などによって、診断は比較的容易にできます。
 しかし、多少の痛みと恐怖感があるので、子供に使用するのは難しいこともあります。

エックス線検査

 

 エックス線検査も診断に有効です。
 アデノイドの増殖の程度、鼻の空気の通り道の挟まりの度合いを確認することができます。

睡眠中の状態

 

 睡眠中のいびき、息の詰まり、無呼吸、寝相の悪さ、寝起きの悪さなどの症状が参考になります。
 また、視診によってアデノイド顔貌、口呼吸の状態を見ます。
 胸をはだけた状態で、睡眠中の様子を録画しておけば、息を吸うときに家族が驚くほど胸の中央部分が大きく凹み、それが診断の手掛かりになります。

腫瘍の検査も

 

 まれではありますが、腫瘍が疑われることもあるので、組織の一部を採って検査をすることがあります。

アデノイド・アデノイド増殖症の治療法は?

一時的なもの

 

手術 風邪などの急性の炎症でアデノイドが一時的に腫れているような場合、炎症を抑える薬の服用や、血管収縮作用のある点鼻薬で症状を軽減することができます。
 アデノイド肥大の症状が日常化している場合、薬による治療の効果は期待できません。

治療は症状によって

 

 アデノイドは8歳〜10歳になると委縮していくき、骨格も大きくなるので、症状が軽度なら経過観察だけで治療の必要はありません。
 症状の強い場合、アデノイド切除術を行います。
 アデノイド増殖症を起こしている子供は扁桃肥大も起こしていることが多いので、多くの場合、口蓋扁桃も同時に摘出します。

アデノイド切除術

 

 アデノイドが生理的増殖・肥大を起こす3歳〜6歳ごろに手術が行われます。
 最近では、それ以下の年齢でアデノイド症状を起こす子供が増えていて、症状が軽快するまでにかなりの時間が必要になることから積極的に手術を行うこともあります。
 アデノイド切除術の手術は、全身麻酔をかけて口の中から行います。
 手術後に外から傷が見えることはありません。


扁桃摘出術とは?

耳鼻科で一番多い手術

  イメージ画像 扁桃摘出術・アデノイド切除術は、耳鼻科ではもっとも多く行われる基本的な手術です。
 手術の難易度としては高くありませんが、口の深いところでの操作を必要とし、手術後の出血を起こさないように止血操作を十分に行う必要があります。

子供に多い手術

   扁桃摘出術を受ける患者さんは、子供が多く、気道を直接的に触る手術となります。手術後の出血を考えると、その頻度は少ないとはいえ、耳鼻科医として神経を使う手術です。

全身麻酔か局所麻酔

   通常は全身麻酔で手術を行います。痛みを感じるのは、準備段階での点滴程度で、手術そのものは痛みを感じることはありません。
 患者さんが10歳以上で、患者さんの理解・納得が得られれば、局所麻酔でも行うことのできる手術です。

手術時間は1時間〜2時間

  イメージ画像 全身麻酔での手術は、手術台に仰向けに寝て、頭を少し下げた状態で、口を広く開け、ヘッドライトで口の中を覗きながら行います。
 手術時間は麻酔の時間も含めると、1時間〜2時間程度です。
 近年では、高周波、超音波メス、吸引凝固装置など、最新の機械の導入によって、痛みをともなわないような手術が行われるようになりました。

手術のリスク

   扁桃摘出術の危険性としては、麻酔合併症が1万件に1件程度です。手術後1時間〜6時間以内と、5日後〜7日後に出血の起こるケースが、1%〜3%です。

数日間の入院

   入院期間は、手術後3日〜7日程度です。食事は手術後4時間以上経過すれば、水分・プリン・ゼリーなどを摂ることが可能です。
 手術に必要な費用は、病院、入院日数によって異なりますが、3割負担で10万円〜15万円が目安となります。

アデノイド・アデノイド増殖症かなと思ったら?

耳鼻咽喉科へ

 

耳鼻咽喉科 症状が多様なため、アデノイド増殖症が原因だと気が付かないことが多いです。
 気になる症状があれば、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。


アデノイド・アデノイド増殖症の予防法は?

鼻を綺麗に

 

予防 生理的な増殖・肥大によって症状が起こるので、確実な予防法はありません。
 しかし、感染を繰り返すとアデノイドの増殖を助長すると考えられているので、風邪で鼻水が出ている時は、しっかり鼻をかむようにしましょう。
 必要があれば耳鼻咽喉科で鼻の掃除をしてもらうなど、鼻の中を清潔に保つように心掛けましょう。

いつも気にしてあげましょう

 

 耳の聞こえ、鼻詰まりなどの症状は、ちょっとした関心を持てば比較的簡単に見付けることができる症状です。にもかかわらず、症状が強くなるまで見逃されてしまうことも多いです。
 症状に気が付いても、そのまま放置されてしまうことも多いです。
 子供の症状には十分に注意を払い、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

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