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保存的治療と手術的治療 |
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慢性副鼻腔炎の治療法は、大きく保存的治療と、手術的治療とに分類できます。
自覚症状や鼻の中の検査結果、またCTなどの検査結果を総合的にみて、慢性副鼻腔炎の程度を診断します。
軽度の場合や、中等度でも発症してからの経過期間が短いようなら、鼻水の吸引や副鼻腔の洗浄といった局所治療、薬を内服する薬物療法などの保存的治療を行います。
全身状態を良好にするため、睡眠時間の確保、休養を十分にとると共に、喫煙者・飲酒については節度を守るようにしましょう。 |
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薬物療法 |
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炎症を抑え、粘膜や粘液の性情を改善する消炎酵素薬、粘液溶解薬の他、アレルギーの関与する場合には抗アレルギー薬が使用されます。
抗生物質は細菌に対して良く効きますが、なかでも免疫機能を向上し、鼻からの分泌物を抑制する効果のあるマクロライド系抗生物質が良く用いられています。マクロライド系抗生物質は、通常の使用量より少なめの量を数ヶ月〜半年の長期間使用することが多く、軽度の副鼻腔炎なら、保存的な治療のみで症状を改善することが可能です。 |
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手術療法 |
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副鼻腔炎の症状が強い場合や、病変が高度の場合、中等度でも保存的治療を数ヶ月〜半年間続けても治らない場合、鼻腔と副鼻腔を繋ぐ孔を広げる手術が必要になります。
鼻の孔から内視鏡を入れて行う内視鏡下副鼻腔手術(ないしきょうかふくびくうしゅじゅつ)がおもに行われています。鼻内の操作だけなので、術後に顔が腫れることもなく、出血量も少なめです。身体への負担が少ない手術といえます。
副鼻腔の換気と排泄を改善することを目的とした手術なので、副鼻腔の構造を保ったまま、より生理的に治癒へと導くことができます。
鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)、鼻粘膜が厚くなる肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)など、鼻腔内の形態異常がある場合には、その矯正手術も同時に行います。 |
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予後・術後 |
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慢性副鼻腔炎を治すためには手術だけでなく、術後の治療も手術同様に重要です。この術後治療が適切に行われないと、慢性副鼻腔炎を治癒させることができず、再発の可能性が高くなります。
特に内視鏡下副鼻腔手術は、副鼻腔の形態を保ち、副鼻腔粘膜もなるべく残すようにしているので、術後に感染などが加わると、術後経過が悪くなり、再発の原因になります。
術後は医師による鼻の処置を受け、分泌物や血液を吸引します。また場合によっては、鉗子(かんし)などで腫れた粘膜を取り除くこともあります。抗生物質や副腎皮質ホルモン剤(ステロイド薬)を副鼻腔に吸入するネブライザー療法を行い、粘膜の回復を助けます。内服薬としては、少量のマクロライド系抗生物質を長期間服用します。 |