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さまざまなタイプの鼻詰まりがある |
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病的な鼻詰まりには、鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)や先天性後鼻孔閉鎖(せんてんせいびこうへいさ)など鼻の骨の構造に原因のある構造的な鼻詰まり、アレルギー性鼻炎など炎症で鼻の粘膜の腫れ・腫脹による機能的な鼻詰まり、鼻腔内のポリープや腫瘍による器質的な鼻詰まりがあります。
手術などによって鼻の中が広くなりすぎて抵抗感がまったくなくなった場合の鼻閉感もあります。こうしたケースは、エンプティーノーズと呼ばれます。
過剰な鼻汁による鼻漏による鼻詰まり、鼻前庭湿疹(びぜんていしっしん)などによるかさぶたや鼻糞(はなくそ)などの痂皮(かひ)による鼻詰まり、鼻腔異物による鼻詰まりもあります。
鼻閉感を訴えない人でも、いつも口を開けて口呼吸をしている時は鼻詰まりがあるはずなので、検査する必要があります。 |
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鼻以外が原因の鼻詰まり |
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鼻以外に原因がある鼻閉感もあります。
小児・幼児では、鼻の奥にある扁桃腺の腫れ・アデノイド肥大が大きいため、鼻呼吸ができないことが多くあります。
上咽頭(じょういんとう)の腫瘍など、上咽頭の病気が、後鼻孔を塞ぐなどにより鼻詰まりを起こすことがあります。
成人では、仰向けに寝ると鼻呼吸ができない場合はのどちんこ・口蓋垂(こうがいすい)が大きい場合があります。大きないびきや、睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
鼻は通っているのに鼻詰まりや呼吸困難を自覚する、心因的鼻閉(しんいんてきびへい)。鼻粘膜の乾燥やストレスが原因になっていることもあります。 |
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甲介骨の働き |
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鼻には、吸い込んだ空気を加湿・加温する働きがあります。
鼻の中には甲介骨(こうかいこつ)という数枚の骨が突出しています。ラジエーターの放熱板のように表面積を広くして、呼気を加湿・加温しやすくしています。
下鼻甲介骨(かびこうかいこつ)には海綿状静脈洞(かいめんじょうじょうみゃくどう)という分厚い血管網が表面を取り巻き、その表面をさらに粘膜が覆っています。そのため温かい血液と、吸い込んだ空気の間で熱交換が行われ、呼気は温められます。
自律神経の作用で多くの血液が海綿状静脈洞に流れ込むと、血管が拡張して粘膜が膨張し、鼻の中の空間が狭くなって鼻詰まりを起こします。 |
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アレルギー性鼻炎の鼻詰まり |
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海綿状静脈洞に血液が多く流れ込み粘膜が膨張するのは、陰茎が勃起するのと同じメカニズムです。バイアグラなど、ED・勃起障害の治療薬でも、鼻詰まりが起こります。
生理的鼻閉、風邪をひいた時の両側性鼻閉も、同じ仕組みで起こります。
アレルギー性鼻炎の両側性鼻閉では、血管の拡張による原因と、好酸球(こうさんきゅう)という白血球の炎症による粘膜のむくみ・浮腫による原因があります。アレルギー性鼻炎では白血球の炎症による粘膜の浮腫が原因によることが多く、ダニ・ハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎では9割、スギ花粉症では7割が白血球の炎症による粘膜の浮腫が原因です。 |