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アレルギー性鼻炎・花粉症


アレルギー性鼻炎・花粉症ってどんな病気?

アレルギー性疾患
  イメージ画像 抗原と抗体が鼻の粘膜で反応して、くしゃみ、鼻水、鼻閉・鼻詰まりを起すのがアレルギー性疾患です。
 もともとアレルギー体質の強い人に発症しやすいと考えられています。
心因性難聴・ヒステリー難聴
   アレルギー反応で起こる病気には、他のも気管支喘息アトピー性皮膚炎アレルギー性結膜炎などさまざまな病気があります。
 これらのアレルギー性疾患は、しばしば同時に発症します。

アレルギー性鼻炎・花粉症の原因は?

原因物質
   アレルギーの原因になる物質(抗原・アレルゲン)は、いろいろな種類があります。
 おもなものとしては、ハウスダスト、ダニなどの家のほこり、スギ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、カモガヤ花粉、シラカバ花粉、真菌・カビ、ペットとして飼っているイヌやネコの毛などがあります。
 関東地方では、スギ花粉が2月〜4月、ヒノキ花粉が5月〜6月、カモガヤ花粉が6月〜8月、ブタクサ花粉が8月〜9月、ヨモギ花粉が8月〜9月です。
 抗原・アレルゲンの写真 
詳細情報
身近な植物図鑑:スギ(杉)
身近な植物図鑑:ヨモギ(蓬)
身近な植物図鑑:カモガヤ(鴨茅)
身近な植物図鑑:イネ科の植物
身近な植物図鑑:オオブタクサ(大豚草)
身近な生き物図鑑:身近なイヌ図鑑
身近な生き物図鑑:身近なネコ図鑑
吸入するとアレルギー反応
   抗原は息を吸うと鼻の中に入り(吸入抗原)、鼻の粘膜にある抗体と出会い、アレルギー反応を起します。
 抗体はIgE抗体と呼ばれ、アトピー体質のある人の体内で作られます。このIgE抗体は、鼻の粘膜で肥満細胞(ひまんさいぼう)という細胞と強く結び付く性質を持っています。
ヒスタミン
   アトピー体質のある人が、抗原を吸うと抗原抗体反応が鼻の粘膜で起こり、肥満細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。
 放出されたヒスタミンなどの物質が、鼻の粘膜を刺激して、くしゃみ、鼻水、鼻閉・鼻詰まり、鼻のかゆみを起します。
スギ花粉症もアレルギー性鼻炎
   スギ花粉症も、アレルギー性鼻炎に属します。
 1961年、日本で初めてブタクサによる花粉症の患者さんが発見され、1963年にスギ花粉症の患者さんが発見されました。花粉症は新しい病気ですが、大気汚染、食生活の変化によって、花粉症・アレルギー性鼻炎ともに患者さんは増加しています。
年齢による違い
   ダニアレルギーの多くは10歳以下で発症します。小児アレルギー性鼻炎の大部分は、ダニアレルギーだといわれています。
 季節性アレルギー性鼻炎・花粉症の発症は、20歳〜30歳に多くなっています。

アレルギー性鼻炎・花粉症の症状は?

ハウスダストとスギ花粉
  イメージ画像 家のほこり(ハウスダスト・ダニなど)と、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎の患者さんがもっとも多いです。
 ハウスダストによるアレルギー性鼻炎の症状の特徴は、一年中、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続くことです。鼻づまりが強く、くしゃみや鼻水の症状が弱い場合、くしゃみと鼻水が強く、鼻閉・鼻詰まりが弱い場合などがあります。
気管支喘息・アトピー性皮膚炎も
   くしゃみは発作性に起こることが多く、一度起こると、何度も立て続けに出ます。
 ハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎の患者さんには、しばしば気管支喘息、アトピー性皮膚炎を併発しています。
スギ花粉症
   スギ花粉症の特徴は、スギ花粉が飛散する毎年2月〜4月にかけて、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを起します。スギ花粉が飛散しない季節には、症状はありません。
 アレルギー性結膜炎を併発させることが多く、鼻の症状以外にも、目のかゆみが強く起きます。
 花粉症では、果物を食べることによって唇がはれたり、口の中が痛くなる、口腔アレルギー症候群という病気を合併する場合もあります。これは花粉症の抗原と、果物の抗原の構造が良く似ているために起こります。

アレルギー性鼻炎・花粉症の診断は?

さまざまな検査方法
  イメージ画像 アレルギー性鼻炎の診断には、鼻水の中に好酸球(こうさんきゅう)というアレルギーの細胞があるかどうか、抗原を皮膚に注射してアレルギー反応が起こるかどうかをみる皮膚反応、血液中のIgE抗体の測定、抗原を鼻に入れてアレルギー反応が起こるかどうかをみる鼻誘発テストが行われます。
風邪と良く似ている
   良く似た病気には風邪(感冒)があります。
 アレルギー性鼻炎には、鼻のかゆみがあります。風邪には黄色や緑色の鼻水が出ますが、アレルギー性鼻炎では水性の鼻水が出ます。
 また、風邪の場合には、アレルギー性鼻炎で行われる検査はすべて陰性になります。

アレルギー性鼻炎・花粉症の治療法は?

抗原を避ける
   アレルギー性鼻炎の改善でもっとも効果的なのは、抗原が鼻の中に入らないようにすることです。
 ハウスダスト・ダニは、布団、じゅうたん、畳に多いので、丹念に掃除機などで取り除くことによって、症状はある程度改善されます。
 スギ花粉症では、スギ花粉のないところに住めば、症状は出なくなります。
治療法の選択
   実生活上では、掃除をしてもホコリはすぐにたまりますし、スギ花粉のないところに引っ越すことも困難なものです。
 そこで、減感作療法(げんかんさりょうほう)・特異的免疫療法という体質改善の治療と、抗アレルギー薬で症状を抑える治療がメインに行われます。
 スギ花粉症の治療では、花粉の飛散する1週間〜2週間前から治療を開始します。眼の症状に対しては、目薬・点眼薬を用います。
 炎症をとる効果のあるステロイド薬は、点鼻薬(フルナーゼなど)の場合、副作用は少ないといわれています。
 症状が改善してもすぐに投薬を中止せず、数ヶ月間の安定を確かめ、少しずつ服薬量を減らしていきます。
 アレルギー性鼻炎診療ガイドライン 
重症度 軽症 中等度 重症・最重症
病型   くしゃみ・鼻水型 鼻づまり型 くしゃみ・鼻水型 鼻づまり型
薬剤 @第2世代H1拮抗薬
A遊離抑制薬
@第2世代H1拮抗薬
A遊離抑制薬
B局所ステロイド薬
@LTS拮抗薬
ATXA2拮抗薬
B局所ステロイド薬
@局所ステロイド薬
A第2世代H1拮抗薬
@局所ステロイド薬
ALTS拮抗薬
BTXA2拮抗薬
治療法 @Aのどれかひとつ @ABのどれかひとつ
@と、AかBの併用
@ABのどれかひとつ
@と、AかBの併用
@Aの併用 @Aの併用
またはB
必要に応じ点鼻薬血管収縮薬を治療開始5日〜7日間使用
外科的         鼻腔形態異常を伴う症例では手術
並行   特異的免疫療法
抗原除去、または回避
減感作療法・特異的免疫療法
   減感作療法とは、ハウスダストや花粉などの抗原からの抽出物を少量ずつ定期的に注射して、アレルギー反応を鈍感にさせる方法です。現在では、根治治療にもっとも近く、治療終了後にも症状の改善が持続します。
 症状を抑える抗アレルギー薬(ザジテン、インタール、オノンなど)とは異なります。
副鼻腔炎
   慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)を併発している場合は、マクロライド系の抗生物質(エリスロシンなど)や、カルボシステイン(ムコダイン)の併用も有効です。
 マクロライド系の抗生物質は、少量で使っても抗生物質としての効果は少ないですが、炎症止めとして効果が期待できます。
 カルボシステインは、痰切りとして古くから使われている薬ですが、副鼻腔炎や中耳炎などの膿を外に出すことを手助けする効果があります。
体質改善
  イメージ画像 アレルギー関連の病気は、日常生活の鍛錬によって治っていく可能性もあります。
 運動、乾布摩擦、冷水浴など、すぐに効果は出ませんが、続けていくことによって、将来は症状が改善されることもあります。
全身ステロイド療法
   全身ステロイドの注射を行う方法もあります。しかし、重い副作用が起こることもあるため、安易にすすめられる治療法ではありません。

アレルギー性鼻炎・花粉症かなと思ったら?

掃除・マスクなど
   原因がハウスダストなど、家内のほこりの場合には、家の中を掃除し、清潔にすることが重要となります。
 スギ花粉症では、花粉対策用のマスクや、メガネが市販されています。花粉症対策用品のページを別途作成したので、参考にしてみてください。
生活に支障があれば耳鼻科へ
  イメージ画像 自分で対策を行っても症状の改善がみられず、生活に支障がある場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。気管支喘息で呼吸器内科に通っている場合は、主治医に相談してください。
 どのような症状がどの程度なのか、原因抗原が何なのかによって、治療法が異なります。治療法に関しては、専門医の指示に従ってください。
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