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3つの型がある |
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ヒトに感染するインフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3つがあります。
A型の2亜型(Aソ連型、A香港型)とB型は重症化しやすいという特徴があります。 |
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抗原変異(こうげんへんい) |
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特にA型はウイルスの表面にあるスパイクという感染の際に役立つトゲのようなものが、時々姿を大きく変えるため、ワクチンが効かなくなることがあります。これを抗原変異による新型、または亜種の出現といいます。
10年〜30年ごとに新型が出現し、大部分のヒトが新型への免疫を持っていないために大流行となり、多数の患者さんが死亡します。 |
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スペインかぜ |
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もっとも有名なのは、1910年代後半に流行したスペインかぜ(HswN1)です。世界史の教科書でもお馴染みですね。
青壮年から高齢者まで、世界中で4000万人以上が死亡し、日本でも38万人以上が死亡しました。この当時、日本の人口は現在の半分程度だったので、現在と同じ状況で起こったら約80万人近くが亡くなる計算となります。 |
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飛沫感染 |
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患者さんの咳やクシャミは、インフルエンザウイルスを多数含んだしぶき(飛沫)を周囲に撒き散らします。
冬の乾燥した空気中では、ウイルスを包む水分が蒸発しやすく、ウイルスが身軽になって浮遊し、周囲の人がウイルスを吸い込みやすくなります。これを飛沫感染(ひまつかんせん)といいます。
ウイルスが身軽になるほど気道の奥まで吸い込まれます。冬にインフルエンザが流行するのは、ウイルスが身軽になり活発化するので、爆発的に流行する原因のひとつとなっています。 |
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感染と増殖のメカニズム |
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吸い込まれたインフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にあるヘムアグルチニンというスパイクで、気道の粘膜に吸着し、細胞に侵入します。
侵入したウイルスは、細胞の仕組みを利用して、自分の遺伝子を増殖させ、自分と同じ姿の子供をたくさん作ります。生まれた子供は細胞の外へ出て、まだ感染していない細胞へ感染し、同じように自分の子供をたくさん複製します。 |
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新しい薬の開発 |
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ウイルスが細胞の外へ出る時に役立つもうひとつのスパイクを、ノイラミニダーゼといいます。インフルエンザウイルスに直接作用する薬は、このノイラミニダーゼの働きを抑える薬です。
これ以外にも、インフルエンザウイルスが感染する仕組みを抑える薬が多数開発されつつあります。 |
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タミフル耐性インフルエンザの出現 |
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2009年の国立感染症研究所が調べた結果、Aソ連型ウイルス(H1N1)35株のうち34株(97%)が、治療薬タミフルに耐性を持つウイルスだったと発表されました。
2008年まではAソ連型のうちタミフル耐性だったのは2.6%にすぎず、欧米などで既に高い割合で見つかっている耐性ウイルスが日本に本格的に上陸したことが裏付けられる結果となりました。 |