そらいろネット > 家庭の医学 > 脳・神経・筋の病気 > 急性脳症
今まで健康に育ってきた子供に、脳機能障害の症状である意識障害や痙攣(けいれん)が出現し、髄液検査(ずいえきけんさ)で細胞増加などの炎症所見のないものを、急性脳症としています。 おもに、乳幼児が多くを占めます。
髄液検査で炎症所見がある場合は、急性脳炎として区別されます。
急性脳症の原因には、以下にあげるようなさまざまな要因があります。原因がわからないこともあります。
低酸素症、低血糖症、血流障害など。
先天代謝異常症、肝不全、膵炎、糖尿病、中毒。
電解質異常、中毒。
ライ症候群、最近やウイルス感染、インフルエンザにともなう急性脳症。ライ症候群も、急性脳症のひとつになります。
元気がなく、うとうとし出し、呼びかけたり、揺すったりしないと目を開かなくなります。まもなく、全身性の痙攣が現れます。しばしば意識障害や痙攣の止まりにくい状態である、痙攣重積状態となります。 異常に興奮することもあります。 大抵は発熱をともない、下痢、嘔吐が起こることもあります。
症状、髄液検査(圧上昇)、脳のCTやMRI(脳浮腫像)、脳波(高振幅徐波)から診断します。 急性脳炎との区別が困難なケースも多くみられます。
原因を調べるために、血液検査、尿検査、胸部エックス線検査、心電図などの検査も必要になります。
入院して全身管理をしながら、治療を行います。 全身の痙攣、意識障害に対しては、抗痙攣薬、脳のむくみを取る薬、酸素吸入など、脳を保護する治療を行います。 原因疾患の治療と脳浮腫の治療のため、輸液制限、濃グリセリン・果糖の点滴を行います。
予後は原因によって異なります。 一般的に、意識障害や痙攣が長引くほど、神経後遺症のリスクが高くなります。呼吸障害や循環障害をともなうものは、予後が悪いことが知られています。 生命をまっとうしても、麻痺、知能障害、精神障害、運動障害、重症の痙攣などの後遺症を残すケースも少なくありません。
症状が落ち着いたら、後遺症に対する治療を行います。 機能訓練、抗痙攣薬の使用、知的障害に対する教育上の配慮などが中心になります。
眠っているのであれば、起こすと目を覚ましますが、意識に障害がある場合は、目を開けてもすぐ元の状態に戻ったり、異常な興奮がみられたりします。 このような場合は、救急車を呼んで小児科を受診するようにしましょう。