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 低血糖症

低血糖症ってどんな病気?
血糖値が下がったとき
  イメージ画像 血糖値は、食事によって多少の変動をしています。
 血糖値が正常な変動幅を超え、低い方に傾き、それが原因で症状が現れた場合、低血糖症といいます。
血糖降下薬によるもの
   血液中のブドウ糖は体内のさまざまな組織でエネルギーとして使用されます。特に脳はブドウ糖の欠如に敏感で、機能低下を起します。脳を守るため、体には低血糖を防ぐ仕組みが備わっており、血糖値が正常範囲より低下すると交感神経の活動が高まります。
 血糖降下薬を服用していない場合、交感神経の働きにより肝臓などに貯蔵されたブドウ糖が血中に放出され、血糖値は正常に戻ります。血糖降下薬を服用していると、血糖値が下がりすぎて、頭痛、集中力の低下、意識障害などが起こります。
正常な人でも
   血糖値の正常な変動幅は、70mg/dl〜120mg/dlの間におさまります。
 ですが、絶食時間の長さ、年齢、性別、妊娠の有無などによって、正常な人でも通常では示さないような低い血糖値を示すことがあります。
 このような場合、イライラ感が強くなる程度の症状でおさまることが多いです。
血糖値だけではわからない
   実際には、「血糖値でいくつ以下なら低血糖である」、と断言することはできません。
 血糖値が正常範囲を超えて低くなっても、症状が出にくいこともあります。低血糖症を引き起こす血糖値を、数値によって表すことができないことと関連しています。

低血糖症の原因は?
外因性の原因
  イメージ画像 外因性の原因として多いものは、インスリンや経口血糖値降下薬などの糖尿病治療薬によるもの、アルコール摂取(特に空腹時のアルコール摂取)、抗不整脈薬などの薬剤によるものが考えられます。
内因性の原因
   胃切除後のダンピング症候群や胃下垂の人、インスリン感受性の高い人など、反応性低血糖が考えられます。ですが、食事の摂り方に注意することで、予防することができます。
  治療が必要な内因性の原因
     治療が必要な内因性の原因としてもっとも多いのは、膵臓β細胞(すいぞうべーたさいぼう)の腫瘍性増殖(しゅようせいぞうしょく)で、インスリノーマと呼ばれます。
 第二は、平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)、肝ガンなどの腫瘍によるもの。
 第三は、インスリン自己免疫症候群です。
  インスリン自己免疫症候群とは?
     インスリン自己免疫症候群とは、インスリン注射の治療をしたことがないにもかかわらず、自発性低血糖を起して、血液中に大量のヒトインスリンと、このインスリンの90%以上とが結合した抗体が存在する疾患です。
約80%は自然に治ります
   低血糖の持続期間は、約70%が3ヶ月以内です。また、約80%は自然治癒します。
 早朝の空腹時低血糖でよく発見されますが、反応性低血糖と呼ばれる食後3時間〜5時間後に低血糖を起すこともよくあります。

低血糖症の症状は?
中枢神経症状と自律神経症状
  イメージ画像 低血糖症は、一般的には自律神経症状と、中枢神経症状とに分類されます。
 血糖値が急激に下がる時は自律神経症状が強く、血糖値が緩やかに下がる時は中枢神経症状が強くあらわれます。
  中枢神経症状
     意識の混濁、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視(ふくし)、痙攣(けいれん)、昏睡(こんすい)、など。
  自律神経症状
     空腹、発汗、震え、不安、動悸(どうき)、口唇乾燥など。
 自律神経症状は、おもにインスリン拮抗ホルモンの作用によるものが原因です。インスリン拮抗ホルモンとは、低血糖になると分泌が亢進するホルモンで、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどがあります。
  無自覚性低血糖
     本人が低血糖症状を自覚しない、あるいは自覚できない、他人の介助を必要とするものなどをいいます。
 低血糖を何度も起していると、中枢神経や自律神経の症状を起す閾値が低下してしまい、インスリン拮抗ホルモンの反応も低下することが原因と考えられています。
 糖尿病神経障害があり、無自覚性低血糖を合併すると、生命に危険を及ぼすこともあります。

低血糖症の診断は?
血糖値の測定
  イメージ画像 まず血糖の測定をおこないます。
 できるだけ、低血糖を起したとき、もしくは低血糖を起した直後に測定します。いつ低血糖を起したのかも重要となってきます。
意外と複雑な検査
   血中のインスリン値や、インスリン抗体を測定することによって、インスリン自己免疫症候群の診断に近付きます。
 48時間絶食して低血糖が起きるかどうかを調べる絶食試験によって、インスリノーマの診断に近付きます。
 75gブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験なども行います。同時にインスリン拮抗ホルモンの測定も行います。
さまざまな検査が必要
   インスリノーマや、膵外腫瘍(すいがいしゅよう)の診断には、超音波画像診断、CT、選択的血管造影などを行います。
 インスリノーマの確定診断には、選択的カルシウム動注負荷後肝動脈採血法があります。

低血糖症の治療法は?
低血糖の治療法
  イメージ画像 低血糖に対しては、ブドウ糖の静脈注射、グルカゴンの筋肉注射か皮下注射を行います。
インスリノーマの治療法
   インスリノーマに対しては、腫瘍を切除します。
インスリン自己免疫症候群の治療法
   インスリン自己免疫症候群に対しては、1日6回の食事にする分割食を行います。さらに、α-グルコシダーゼ阻害薬の投与が有効です。

低血糖症のかなと思ったら?
甘い物を
  イメージ画像 まず、甘い物を摂取します。それで症状が良くなるなら、低血糖の可能性があります。
再び症状が現れたら
   もし再度、症状が現れたら、近くの医療機関を受診し、血糖値を測定してもらいましょう。
対策
   常にブドウ糖、砂糖、ジュースなどを携帯しておきましょう。特に運動時や、自動車の運転時には注意が必要です。
 冷や汗、動悸、手の震え、空腹感、脱力感が起こったときは、我慢せずにすぐに摂取しましょう。
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