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呼吸困難と呼吸不全 |
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呼吸不全を発症した場合の症状のひとつとして、呼吸困難があります。吸気時、呼気時の不快で困難な呼吸で、呼吸を不快な努力をともなって意識されるものです。
しかし呼吸困難はすべての呼吸不全の患者さんにみられるわけではありません。また逆に、呼吸困難を訴えている人すべてに呼吸不全があるわけでもありません。 |
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精神的な作用が影響する呼吸困難 |
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呼吸困難感は、精神的作用が大きく関係する場合もあります。
重大な事件・事故・災害が起きた場合や巻き込まれた場合、咽喉頭違和感(いんこうとういわかん)がある場合、身体の中の酸素量は正常であっても、呼吸がしにくいと感じることがあります。 |
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自覚症状のない呼吸不全 |
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呼吸不全が慢性的にゆっくりと起こると、身体の酸素量は低くなっているのに、呼吸困難として感じないこともあります。
標高の高い場所に住んでいる人と同様、身体が低い酸素に慣れてしまうことがあるためです。 |
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高炭酸ガス血症・酸性血症 |
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高炭酸ガス血症、酸性血症の有無によって、症状が出ることもあります。
急性高炭酸ガス血症をともなう場合、軽微な人格の変化、頭痛、明らかな錯乱、昏睡までさまざまな変化が生じます。重症の場合、生命を脅かす可能性が高くなります。 |
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急性呼吸不全特有の症状 |
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呼吸困難をともなう事が多く、呼吸数の増加する頻呼吸(ひんこきゅう)、脈の回数が速くなる頻脈(ひんみゃく)、努力呼吸、チアノーゼなどがみられます。
重症度によって仰臥している時に呼吸困難が強くなり、座った姿勢の方が楽になる起座呼吸難(きざこきゅうなん)をともないます。また、酔っ払いのように暴れる不穏状態、意識障害、昏睡(こんすい)まで症状はさまざまです。
呼吸不全を起こしている原因疾患の症状を加わります。肺炎であれば、黄色の膿性痰(のうせいたん)、発熱などの症状がみられます。敗血症であれば、原因になった局所感染の症状がみられます。 |
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慢性呼吸不全特有の症状 |
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慢性呼吸不全では自覚症状が出にくいため、注意が必要です。
身体的所見では急性呼吸不全と同様、頻呼吸、頻脈、肺動脈圧の上昇、肺動脈・頸静脈の怒張(どちょう)・膨れ、浮腫、チアノーゼなどがみられることがあります。
さらに痩せ、時に著しい痩せ、呼吸時に使う筋肉の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)・斜角筋(しゃかくきん)が肥大して鎖骨上の陥凹(かんおう)がみられたり、肩を使った呼吸、口をすぼめるような呼吸をしたりします。 |