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 放射線肺炎・放射線性肺炎

放射線肺炎・放射線性肺炎の概要は?
おもな症状
  発熱

呼吸困難
頻呼吸
症状が似ている病気
  さまざまな肺炎
起こりやすい合併症
  風邪やインフルエンザなどの感染症

放射線肺炎・放射線性肺炎ってどんな病気?
放射線治療が原因
  イメージ画像 肺ガン、縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)、食道ガン、乳ガン、胸壁に発生したガンなどの放射線治療のため、やむをえず正常な肺に対して放射線を照射することが避けられない場合があります。
 こうした治療行為である放射線照射によって、肺に間質性肺炎を起こしてしまいます。さらに線維症を起こす病気を、放射線肺炎、または放射線性肺炎と呼んでいます。
 放射線が照射されている部分にのみ起こる放射線肺炎と、照射部位から離れた部位に起こる放射線肺炎の2つの病態が存在すると言われています。

放射線肺炎・放射線性肺炎の原因は?
被曝線量が多いほど発生
  イメージ画像 前述の通り、放射線肺炎の原因は、放射線治療によって起こります。
 ガンなどを根治する目的で大量に放射線照射をすれば、間質性肺炎が生じるのは避けることができません。照射する部位を小さくするなどの配慮が行われています。
 直接、肺に照射される放射線量が約40Gy(グレイ)以上になると、放射線肺炎になる頻度がさらに高率になります。
発症率を高くする原因
   過去に照射歴がある場合、同一部位に放射線照射を行うと、放射線肺炎の発症率はさらに高くなります。
 ガンに対する化学療法薬・抗ガン薬(ブレオマイシン、マイトマイシン、メトトレキサート、ブスルファン、ビンクリスチン、シクロホスファミドなど多数あります)の併用によって、放射線肺炎の発症率は高くなります。
 放射線治療と抗ガン剤による化学療法を同時に併用すると、放射線肺炎の発症率はより高率になります。

放射線の限度量と医療で使う放射線は?
放射線被曝の限度量
  イメージ画像 放射線の被曝は、できるだけ少ないことに越したことはありません。
 国際放射線防護委員会(ICRP)では、やむを得ない場合の上限値として放射線の線量限度の勧告を行っています。
 1990年(平成2年)、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告によると、放射線作業従事者は5年間で100mSv(100ミリシーベルト)、かつ1年間で50mSv(50ミリシーベルト)となっています。一般公衆(医療行為とは別)では1年間で1mSv(1ミリシーベルト)となっています。
医療で使う放射線
   放射線による検査や診断における被曝量は、検査の種類、身体の部位にもよりますが、多くはひとつの検査につき0.1mSv〜数mSvというわずかなものです。
 放射線療法では、ガン細胞に最大のダメージを与えて、健康な細胞には最小限の影響しか与えないように被曝線量は決まっています。
 1日あたり2Gy(2グレイ)、週5日、6週間の計30回で合計60Gy(60グレイ)が標準線量であり、最大線量です。ただしガンの種類や大きさ、進行度によって線量は決定されます。
シーベルトとグレイ
   Sv(シーベルト)は、放射線が人体に与える影響を計る単位で、線量当量です。
 Gy(グレイ)は、生体に吸収されるエネルギー量を表す単位で、吸収線量です。

放射線肺炎・放射線性肺炎の症状は?
症状はゆっくり現れる
  イメージ画像 放射線肺炎は、放射線照射後、すぐには発症せず、1ヶ月〜3ヶ月後に現れることが多い傾向にあります。
 早期では無症状です。徐々に、発熱、咳、呼吸が速くなるなどの症状が現れます。進行すると組織に線維が増えて硬くなり、肺は縮小してしまいます。
 放射線を照射した部位以外にも病変が現れる場合は、症状が急速に進行することがあります。

放射線肺炎・放射線性肺炎の診断は?
行われるさまざまな検査
  イメージ画像 放射線照射後に現れた症状、身体的所見、血液検査による血液中の炎症所見、肺線維症のマーカー(KL-6、SPDなど)、胸部エックス線検査・CT検査による画像所見、呼吸機能検査などから、他の疾患を除外していき、放射線肺炎と診断します。胸部エックス線検査では、照射した部位に一致した侵潤の陰影が見られます。
診断の難しさ
   区別するべき疾患としては、ガンの肺内への転移、感染症などがあります。
 照射した部位に現れる放射線肺炎の診断は比較的容易ですが、照射部位以外に病変が発生する場合は診断が困難になります。

放射線肺炎・放射線性肺炎の治療法は?
軽症なら経過観察
  イメージ画像 軽症であれば、自然治癒することが期待できます。
ステロイド薬や免疫抑制薬
   重症の場合、メチルプレドニゾロンやプレドニゾロンなどのステロイド薬の投与が行われますが、これらの治療の効果には疑問を投じる意見もあります。
 プレドニゾロンで治療した場合には、プレドニゾロンをゆっくりと減量していくことが多く、その減量中に再び放射線肺炎が悪化する可能性があるため注意が必要になります。
 ステロイド薬ではなく、アザチオプリンなどの免疫抑制薬の投与を行うこともあります。
感染症やガンの治療
   進行した放射線肺炎では、呼吸不全に対する治療が必要になります。
 続いて発症する感染症や、放射線照射を行うことになった原因疾患であるガンに対する治療も同時に行う必要があります。

放射線肺炎・放射線性肺炎の予後は?
症状によって予後は大きく左右される
  イメージ画像 おもに照射部位にみられるような限局性の放射線肺炎や、軽症の放射線肺炎であれば、予後は比較的良好です。
 範囲が広い場合や重症の場合、致死的になる場合も少なくありません。

放射線肺炎・放射線性肺炎かなと思ったら?
放射線治療を受けた病院へ
  イメージ画像 放射線治療を行い、放射線照射が肺にも当たるような場合、治療から1ヶ月〜3ヶ月後でも熱、咳、呼吸困難などの症状が現れたら放射線肺炎の疑いがあります。放射線治療を行っている病院、または放射線治療を行ったことのある病院を受診するようにしましょう。
 呼吸器科、放射線治療をよく行う腫瘍疾患を扱う病院や科を受診しても良いでしょう。
感染症に注意
   一般的に言えることですが、放射線肺炎に限らず、間質性肺炎でも、感染症に注意する必要があります。
 風邪などに気を付けることも必要で、インフルエンザワクチンの接種を受けるのも良いでしょう。
放射線にまつわる病気
   事故などによる放射線被曝によって起こる放射線障害、事故や放射線治療によって起こる放射線皮膚炎放射線肺炎、放射線の影響を受けやすい腸管粘膜に起こる放射線腸炎などがあります。この他にも、放射線角化症、放射線膀胱炎などがあります。
 通常、放射線治療によって発症しますが、原子力発電所や放射線を取り扱う機器の事故によって被曝し、発症することもあります。
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