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 自然気胸

自然気胸の概要は?
おもな症状
  急におこる胸の痛み
呼吸困難
チアノーゼ
似ている病気
  胸膜炎
肋間神経痛
肺炎
カゼ
狭心症
起こりやすい合併症
  呼吸不全
肺炎

自然気胸の症状は?
おもな症状
  イメージ画像 急におこる胸の痛みと、呼吸困難があります。ひどくなり息が十分に吸えなくなると、唇や手指の色が紫色になります(チアノーゼ)。
 熱が出るようなことはありません。
 症状が良く似た病気に、胸膜炎肋間神経痛、肺炎、かぜ、狭心症などがあります。
 おこりやすい合併症は呼吸不全です。手術の際には、肺炎にも注意が必要です。
  若い男性に多い病気です
     自然気胸は青年期(13歳〜35歳くらい)の背が高く、痩せ型の男性に多い病気です。男性が、女性の7倍〜10倍多いとされています。とくに原因がなく、突然に起こる胸痛、息苦しさ、呼吸困難が起こる病気です。
 最近、非常に増えてきている病気です。芸能人でも自然気胸になる人が多いようです。
  再発を繰り返す人は危険な状態です
     肺の表面から胸の中に空気が漏れ出して、肺を圧迫し、肺が縮んでしまい、十分に膨らむことができなくなります。
 肺の表面から漏れ出る空気の量が多くなると、片側の肺がすっかり縮んでしまうだけでなく、反対側に圧迫されて心臓や血管もおされてしまいます(縦隔転移といいます)。このような状態の気胸を緊張性気胸と呼び、大変危険な状態です。軽い自然気胸を繰り返して、突然起こってくることが多いので、正しい治療を受ける必要があります。

自然気胸の原因は?
なぜブラフができるのかはわかっていません
  イメージ画像 病気の原因は、肺の表面に薄い空気の袋ができます。気腫性肺のう胞といい、一般にはブラ、またはブラフといいます。カエルの卵のような、カツオノエボシのようなものができます。これが破れて、肺から空気が胸に漏れ出るためにおこります。
 なぜこのブラと呼ばれる空気の袋が肺の表面(多くの場合、肺の上方・肺尖部)にできるのかについては、色々な説がありはっきりとしていません。体質的なもの、大気汚染との関係、成長期で痩せ型の体型で胸郭の成長につれて肺が過度に伸びるなど、さまざまな説が言われています。

外傷性気胸ってどんな病気?
外傷気胸と医原性気胸
   交通事故、銃創(じゅうそう)、刺創(しそう)、肋骨骨折などによって、肺に穴があき、気胸を起こした場合を外傷性気胸と呼びます。
 特殊な外傷性気胸としては、医師が胸水の検査や気管支鏡検査を行う際に肺を傷付けてしまい、気胸が起こることがあります。これは医原性気胸と呼びます。
人工気胸
   人為的に胸腔内に空気を送入して気胸を起こしたものを、人工気胸と呼びます。かつては、肺結核の虚脱療法として試みられていた治療法でもあります。
 現在では、胸腔鏡検査の際に検査をしやすくするため、あらかじめ人工気胸を起こしておくこともあります。

続発性気胸ってどんな病気?
他の病気が起因する気胸
   肺気腫(はいきしゅ)、気管支喘息、肺繊維症(はいせんいしょう)、肺結核肺化膿症、肺好酸球性肉芽腫など、肺疾患に続発して起こる気胸を続発性気胸と呼びます。
 これらの基礎疾患はブレブができやすく、また肺結核や肺化膿症では空洞が直接破裂することによって気胸が起こります。
死の危険も
   好発年齢は、基礎疾患の関係上、50歳以上の高齢者に多く、体形による特徴はありません。
 症状、診断、治療法は、自然気胸と同じです。しかし、肺気腫、肺繊維症の患者さんが気胸を起こすと、死に至るケースもあるので、早期の受診が必要となります。

自然気胸の診断は?
レントゲンとCTスキャン
  イメージ画像 何も原因がなく、突然に胸痛、息苦しさが痩せ型の若い男性に現れたらこの病気の可能性があります。すぐにレントゲン写真の撮れる設備のある医院、病院に受診しましょう。
 胸部レントゲンのほかにも、治療前と治療後にはCTスキャンを行います。

自然気胸の治療法は?
基本的には入院します
  イメージ画像 基本的には入院が必要な病気です。重症度により手術も必要になってきます。
  中程度の場合
     胸の中に胸腔ドレーンと呼ばれる細いチューブを入れて、数日間持続的に胸の中にたまった空気を抜きます。専門用語で胸腔チューブドレナージと言います。
 数日間の入院が必要です。外科的にはそれほど難しい治療法ではないようです。
  再発を繰り返す場合
     肺から空気の漏れが持続する場合、気胸を2回〜3回以上繰り返す場合、両側に気胸または高度のブラがある場合などには、手術でブラを切除して、空気漏れの部位の肺を縫い合わせて、空気漏れを防ぐ必要があります。同時に、肺と胸膜とを癒着させ、再び肺から空気が漏れることがあっても肺が縮まないように処置するのが普通です。
 手術は胸腔鏡を利用した胸腔鏡下手術を行います。3箇所の穴を肋骨の間にあけ、そこから数本の胸腔鏡を差し込み、モニターを見ながら手術をします。まれなケースですが、胸腔鏡で届かないところにブラがあったり、空気漏れの部位がある場合は、肋骨を切って手術を行うことになります。
 最近では、再発を防止するために、初めての発症時にも手術を行うことがあります。
  軽い場合
     肺の虚脱度が25%以下なら、安静にするだけで良くなります。

自然気胸の予防法は?
肺に負担をかけないように
  イメージ画像 予防法はとくにありませんが、タバコはよくありません。
 一時的に肺に強い負荷のかかる運動(腹筋、腕立てなど)は避けた方がよいでしょう。力を込めた瞬間に、ブラが破れて空気が漏れてしまうことがあります。
 飛行機搭乗、ダイビング、登山も気圧の変動があるので注意が必要です。

自然気胸の再発の可能性は?
再発率の高い病気です
  イメージ画像 気胸は再発の多い病気です。再発率は、内科的に治療した場合、再発率は約50%、2回起こすと再発率は80%以上と考えられています。
 外科的手術を行えば再発率は格段に抑えることができ、再発率は数%程度となります。
 体への負担を考え、医師と相談して、どのような治療法を選択するか決めるのがよいでしょう。

管理人の自然気胸体験
自然気胸になりやすい体質
   自然気胸になりやすい人の典型的タイプと言うべきでしょうか、いわゆる痩せ型で、胸に厚みのない体型です。
 私が初めて自然気胸になったのは、18歳の時でした。突然、左胸が痛くなり、ちょうどそのころドラゴンボールで孫悟空が心臓病になっていたりもしたので、『これは心臓病なのでは!?』と思い、家の近くの診療所に行きました。まだ年若き18歳なので何科に行けば良いのかわからなかったので、家から一番近いお医者さんだった外科に行ってみました。偶然にもこのときの選択は正しかったようです。
 聴診器をあてられ、レントゲンを撮り、診断結果は、、、『即刻、入院』とのことでした(^^ゞ
 そのままベッドの空いている病院に行き、生まれて初めての入院をすることになりました。症状はそれほどひどくはないので、肺への感染症を防止する処置をしただけで、2週間ほど入院しました。
当時は治療法もなく・・・
   この当時の手術方法は、肋骨を切って胸を開いて手術をするだそうです。
 その後、左胸の自然気胸が数回、再発しましたが、1回目ほどひどくはなく、1回目も安静にしていただけで完治したので、入院するようなことはありませんでした。
再発を繰り返し
   そしてしばらく再発することもなく生活を送っていたら、数年後、今度は突然、右胸に痛みが・・・。しかも今回はかなり痛くて、息苦しい。急いで家の近くの外科の先生に見てもらったら、ふたたび『即刻、入院』とのことでした(^^ゞ
 状態がひどいということで、手術を行うことになりました。全身麻酔をして胸腔鏡を使った手術だそうです。当時では胸腔鏡は新しい良い物を使っていたそうです。空気が漏れる原因となるブラを切除して、ホチキスのようなもので肺を縫合する手術です。空気の漏れる部位のある場所によっては、肋骨を切って胸を開いて処置をする必要があるとのことでしたが、幸いなことに胸腔鏡下手術だけですみました。
2度目の手術
   そして数年後、さらに激しい右胸の痛みが。しかも今回は今までにない激しい痛みで、呼吸もマトモにできなくて。前回手術を行った病院に行ったところ、『救急車を呼びなさい』と叱られて、入院&手術を行うことがその場で決まりました。
 今回も胸腔鏡下手術でしたが、当時使っていたものよりも技術が格段に進歩して、今までよりも細い管で、色々な角度にクネクネと曲げたりすることもでき、色々な機能があるので、肋骨を切って胸を開くようなことはないそうです。新しくできたブラを切除して、特殊なホチキスのようなもので肺を縫合しました。さらに今回は、新しくできたブラが破れても肺が圧迫されないように、胸膜の内側の層と外側の層を癒着させる手術も施しました。
 その後、再発することもなくなりましたが、気管支や肺の病気には気を付けた方が良いということで、毎年インフルエンザの予防接種を受けるようにしています。
設備の整った病院での手術がオススメ
   日本では治療法法が確立されているので、自然気胸に関してはほとんど研究されていないようです。
 ただ、胸腔鏡の技術は日々発展しているので、手術を行う場合は、新しい胸腔鏡のある病院を選ぶのが良いと思います。病院によっては手術前日に入院して、数日後には退院できるところもありますが、安全のためにもあまり短い日数で手術を行うのは避けた方が良いかもしれません。
 両方の肺が同時に気胸になると、死んでしまうこともあるそうです。

管理人の全身麻酔の恐怖体験
全身麻酔から覚めない人も
   自然気胸の手術で、生まれて初めて全身麻酔を受けました。
 意外と知らない人が多いかと思いますが、全身麻酔をすると、ごくごくまれにそのまま麻酔から覚めない人もいるそうです。手術前に怖がらせるようなことを言うなよーと思いましたさ(^^ゞ。だってさー、ただでさえ手術前は恐怖や不安で緊張するというのに。しかも自分が全身麻酔のあとに目が覚めなくても、意識がないんだからどうだっていいのになーなんて思ったりもしました。
 ドラマでは、手術が終わると病室で目が覚めるシーンが多いようですが、実際には麻酔が覚めるのは手術室になるようです。麻酔科医が監視するのが普通です。全身麻酔を行う病院で麻酔科医がいない場合は、全身麻酔は避けた方がいいかもしれません。
手術中に全身麻酔から覚めちゃう人も(^^ゞ
   全身麻酔を行えば手術が終わるまでは安全かといえば、そんなことはありません。手術中にも危険とは隣り合わせです。
 手術中は麻酔科医が麻酔の効き具合などを常に監視していますが、ごくごくまれに手術中に目が覚めてしまう人もいるんです。そのため、手術中に目が覚めて体を動かしたりすると危険なので、手術前には手や足をベルトで手術台に固定されました。
 私は、その、ごくごくまれなケースの中に入ってしまいました(^^ゞ
 目が覚めたので手術が終わったのかなーと思って目を開けてみたら、驚いたことにまだ手術中だったんです。でも、麻酔のせいで頭がボーっとしていたし、脊椎麻酔をしていたためか、不思議と痛みはありませんでした。やばいと思っていたら、いつの間にか再び眠りに落ちたようです。
 手術が終わってから、手術中に目が覚めて焦ったと言われました(^^ゞ
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