そらいろネット > 家庭の医学 > 脳・神経・筋の病気 > 肋間神経痛
肋間神経は、背中(脊髄)から出て、胸腹部に分布する末梢神経(まっしょうしんけい)で胸髄神経(きょうずいしんけい)と呼ばれます。右側と左側のそれぞれ12歩、計24本(12対)あります。 上部(首に近い方)の7対は肋骨に沿い、胸骨(胸の中央に縦に長く触れる骨)に向かって伸びています。下部(腹部の方)5対は、前下方に向かって伸び、腹部に分布します。
肋間神経痛では、肋間神経に沿って、発作性、反復性の痛みが起こります。痛みは針で刺されたような鋭い痛みで、不規則な間隔で繰り返し起こりますが、長時間持続することはありません。 身体をねじったり、深呼吸などのように肋骨の動きによって誘発、増強されます。
医学的には以下のような特徴がみられる場合、神経痛といいます。また、発症が中年以降の人に多いのも神経痛の特徴です。
多くの場合は、原因が不明な特発性神経痛です。原発性神経痛、真性神経痛とも呼ばれます。 綿密に診察や検査を行っても、痛みを起こす病変が見つかりません。
脊髄の変形性病変、脊椎の変形性病変、ウイルス感染による帯状疱疹(たいじょうほうしん)、腫瘍(しゅよう)、肺ガン、胸膜炎、肺炎、カリエスなどにともなって発症することがあります。特に帯状疱疹の後に良くみられます。鼻風邪などにともなって痛むこともあります。 このように原因がはっきりしている場合は、症候性神経痛、または続発性神経津と呼びます。
脊椎(背骨)から片側1本の肋骨に沿って、激しい痛みが突然起こります。肋骨に沿った部位、腹直筋(腹部の筋肉)の上に、指で押すと痛みの起こる圧痛点が存在することが少なくありません。 深呼吸、咳、大声などで痛みが誘発されるほか、痛みのない側へ身体を曲げ肋間神経を伸ばすようにしても痛みが誘発されます。 頻度の高い神経痛です。
本人が自覚していないことが多いのですが、綿密な検査を行ってみると、運動障害、筋肉の委縮。発疹、しびれ、突っ張り、こわばりなどの知覚障害。反射の障害が明らかにされるケースも少なくありません。
肋間神経は肋骨の下縁に沿って走行しているため、肋骨の下縁に線状に圧痛点があります。 多くの場合、他には神経学的に異常は見付かりません。
痛みの起こっている場所に発疹・帯状疱疹がないかどうかを調べます。 レントゲン写真で肋骨骨折、胸膜炎、胸水が溜まっているか、肺の腫瘍、肺の炎症、高度の変形性脊椎症、転移性腫瘍がないかどうかを検査します。 肋間神経に圧迫や炎症がないか詳しく診断するためには、CTやMRIなどの画像診断を行います。また、神経の電気的診断のために、筋電図検査も必要になります。 原疾患が見付かった場合、原疾患の治療を優先的に行います。
中心となる治療法は、薬物療法です。
薬物療法があまり有効でない場合には、神経ブロック療法、外科療法が考慮されます。 痛みのある脊髄髄節(せきずいずいせつ)に、硬膜外にカテーテルという消毒した細い管を挿入して、そこから麻酔薬や鎮痛薬を注入する硬膜外科麻酔が有効です。
痛みを抑える治療をペイン(痛み)クリニックと呼びます。おもに麻酔科で行われますが、脳神経外科や神経内科でも行っている医療機関もあります。 普通は、「痛み外来」、「ペインクリニック外来」という名称で実施されています。
さまざまな鎮痛薬の内服や座薬ではどうしても止められない痛みや、いったんは止まっても再発を繰り返す慢性の痛みに対して行われることが多いです。ペインクリニックの治療により、頑固に再発を繰り返す痛みから解放される場合も少なくありません。
ペインクリニックでの治療法は局所麻酔と同様で、神経に麻酔薬などの鎮痛薬を注入します。
肋間神経痛の原因になっている炎症、腫瘍、血管による圧迫の有無などを良く調べる必要があります。痛みがいつまでも続くときは、内科を受診し、原因をはっきりさせることが大切です。 専門医に相談して適切な診断をしてもらい、その原因に対して適切な治療を行ってもらうことが大切です。
管理人も肋間神経痛で通院していたことがあります。肋間神経痛では何科を受診すればいいのか良くわからない病気ですが、手術後だったため外科に通ってみました。 自然気胸で内視鏡手術の手術後、肋間神経痛になりました。原因は、内視鏡を通す時に肋骨の間隔を広げるため、神経が刺激されたとのことでした。 時間が経てば自然に治癒していくとのことで、湿布薬と塗り薬を処方されました。どちらを使ってもほとんど効果はありませんでしたが、3年〜4年くらい経って少しずつ治っていきました。