最近ではMRSA感染症がマスコミなどで話題になることはまれになりましたが、医療現場でのMRSAによる院内感染症は減少していません。
2001年のMRSA感染症の報告件数は、1定点施設あたり約40件です。VRE感染症、PRSP感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症などと比べると、格段に高いといえます。年間の報告総数は約18000件で、毎月平均1500件以上が報告されいます。2003年11月に施行された感染症法一部改正により、5類感染症の起因菌の中にMRSA株が指定され、定点施設においてMRSA感染症例が発生した場合には報告を求められるようになりました。
内科系より外科系の疾患のある患者さんで問題となる場合が多いです。骨折後の骨髄炎、開腹、開胸手術後の術後感染などでは治療困難な例も多いくあります。血液疾患、ガンなどの悪性消耗性疾患を持つ患者さんの場合、リスクが高くなります。
新生児や高齢者などもハイリスクグループとなります。新生児室などでMRSAが蔓延し問題となることもありますが、手袋の使用、手洗いなど、適切な対策でMRSAの感染は改善することができます。 |