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急性虫垂炎・盲腸


急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)・盲腸(もうちょう)の概要は?
おもな症状
  吐き気、あるいは嘔吐をともなう上腹部の鈍痛かは始まることが多い
数時間後には右の下腹部にはっきりした痛みが生じる
似ている病気
  卵管炎(らんかんえん)
卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)
子宮外妊娠
クローン病
過敏性腸症候群
起こりやすい合併症
  虫垂壁に穴が開き、穿孔性(せんこうせい)の急性腹膜炎(きゅうせいふくまくえん)

急性虫垂炎・盲腸ってどんな病気?
一般的に盲腸と呼ばれています
  イメージ画像 急性虫垂炎は、一般に盲腸(もうちょう)と呼ばれる病気です。医学的には急性虫垂炎が正式な名称です。
 小腸(回腸)が大腸(盲腸)に繋がるところを、回盲部(かいもうぶ)と呼びます。盲腸は、大腸の始まりの部分で、先端から少し上に盲部があります。小腸で消化された便が、回盲弁から大腸に入り、上行結腸に向かって移動します。
虫垂の炎症
   盲腸の先端にある直径1cm以下、長さ6cm〜8cmの細い管状のものが虫垂で、この内腔が炎症を起こしたものが虫垂炎です。
起こりやすい年齢
   10代〜20代前半に多い疾患です。ですが、より若い年代でも発症しますし、高齢者でも発症することがあります。
 小児で腹痛の原因になる外科的疾患では、急性虫垂炎の頻度がもっとも高くなります。特に6歳以下の乳幼児では、診断の遅れにより、50%〜60%の患者さんが穿孔性虫垂炎になってしまいます。
 乳幼児では、虫垂突起の壁が薄く、いったん炎症が起きると炎症の進行が早く、容易に虫垂壁に穿孔が起こり、腹膜炎となります。また、乳幼児は腹痛の症状、部位を的確に表現することができないことも、診断を難しくし、病状を進行させてしまいます。
 6歳以上の子供では、十分に症状を表現できるため、診断は容易となります。

急性虫垂炎・盲腸の原因は?
虫垂に何かが貯まる
  イメージ画像 発症原因についてはさまざまな説がありますが、はっきりとした原因は不明です。
 便(糞石)、異物、腫瘍などで、虫垂が閉塞を起こして発症することが多いといわれています。

急性虫垂炎・盲腸の症状は?
急激な激痛
  イメージ画像 ヘソの周囲に急激な激痛、差し込むような痛みの疝痛(せんつう)が起きます。
 虫垂の炎症がひどくなるにつれ、痛みは次第に右下の方に移ります。炎症が虫垂の接する腹膜にまで及ぶと、その部分に痛みが集中します。この部分を「マックバーネー点」と呼び、ヘソから右の腰骨までの線上の外側3分の1の部位に相当します。
特徴的な痛みの症状
   虫垂炎を起こすと、マックバーネー点を押さえた時、強い痛みが起こります。
 腹の右側をしばらく押さえていて、急に手を離すと、さらに痛みが強くなります。これを反跳痛(はんちょうつう)と呼びます。
 飛び跳ねたとき、歩いてかかとをトンと着いた時などに、強い痛みが現れるのも特徴的な症状です。
発熱、吐き気、嘔吐も
   37.5℃前後の微熱〜軽度発熱、吐き気、嘔吐を起こすことも、一般的な症状です。炎症性疾患なので、発熱は必ずともないます。消化器疾患なので、食欲も低下します。
 腹膜への炎症が始まってきた時には、腹部の緊張を緩めるために、おなかを抱えて丸くなる姿勢をとることがよくみられます。
腹膜炎に進行することも
   虫垂の炎症が強くなって破裂し穿孔(せんこう)が起こると、痛みは一時的に消えてしまうことがあります。
 しかしその後、腹膜炎を併発して万力で締め付けるような強い痛みが出てきます。この時は、腹は固くこわばり、押さえると非常に痛みます。
 病理医学的には、以下の3段階に区分できます。診断が遅れても、Aの段階で手術をすることが、術後の経過においても重要となります。
  カタル性虫垂炎
     抗生剤の投与で治療可能です。
  蜂窩織炎性虫垂炎(ほうかしきえんせいちゅうすいえん)
     膿が虫垂突起の中に充満しますが、穿孔はありません。治療には手術が不可欠となります。
  壊疽性虫垂炎(えそせいちゅうすいえん)
     虫垂組織が壊死し、穿孔があり、腹膜炎、膿瘍(のうよう)をともないます。治療には手術が不可欠です。
急性虫垂炎・盲腸の診断は?
診察と症状から診断可能
  イメージ画像 腹部の診察と症状から、ほとんど診断は可能です。診断は、医師が手で腹部を圧迫する腹部触診、肛門から指を挿入して炎症の進行程度を診断する直腸診が有効です。
 発症から12時間を経過すると、血液検査で白血球が増え、炎症反応(CRP)が陽性となります。
 炎症が進行した場合では、腹部超音波検査、CT検査で、虫垂の形態的な変化を確認して診断することがあります。
乳幼児の場合
   触診時に、6歳以下の子供の場合は、泣いたり動いたりして、十分な協力が得られないことが多く、検査できないことがあります。
 こうした場合は、超音波検査で急性虫垂炎の診断を行います。

急性虫垂炎・盲腸の治療法は?
基本は虫垂切除術
  イメージ画像 基本的には、虫垂切除手術を行います。
 従来では、右下腹部を数cmにわたって切開して手術を行いましたが、現在では腹腔鏡で手術をすることも可能となりました。腹腔鏡での手術は、傷が極めて小さく、退院までの日数も短縮できます。
 強い腹膜炎がない場合は、手術後24時間経過し排ガスがあれば、食事も可能になります。数日間の点滴と、抗生剤の投与は必要です。
 症状によってどちらの手術を選択するかが決まってきます。
抗生剤の内服
   発症後、間もない時には、抗生剤の内服で炎症を抑えることができます。しかし、再発の可能性が残ります。
 穿孔が起こった時には、おなかを大きく切開する必要があり、治療にも長い期間が必要となります。
壊疽性虫垂炎では
   壊疽性虫垂炎となって腹膜炎を併発し、腹腔内に膿が溜まり、腹腔外に誘導するチューブを留置した場合は、長期の点滴、抗生剤の投与が必要です。経口栄養摂取はできません。
 入院が1ヶ月以上になることもあります。

急性虫垂炎・盲腸かなと思ったら?
外科医の診察を受けましょう
  イメージ画像 右下腹部の痛み、歩くと響くような感じ、おなかを抱え込むような姿勢をとる、発熱。これらの症状が揃ったら、急性虫垂炎の可能性が大きくなります。
 穿孔が起こると腹膜炎となり、治療にさらに時間がかかることになるので、早めに外科医の診察を受ける必要があります。
 子供の場合は、小児外科専門医の診察を受けます。
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