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滲出性中耳炎


滲出性中耳炎の概要は?

おもな症状

 

軽度・中等度の難聴
耳閉塞感
注意力低下
落ち着きがない

似ている病気

 

急性中耳炎
慢性中耳炎

起こりやすい合併症

 

急性中耳炎
上咽頭腫瘍(じょういんとうしゅよう)


滲出性中耳炎ってどんな病気?

中耳にたまる滲出液

 

イメージ画像 急性炎症をともなわず、中耳に滲出液がたまっている状態を滲出性中耳炎といいます。中耳腔に滲出液がたまるため、難聴が起きます。
 子供〜大人まで、あらゆる年齢層に発症しますが、子供の頻度が圧倒的に多いです。大人では片側性のことがありますが、子供では大半が両側性です。4歳〜5歳の小児を中心にひとつのピークがあり、次いで40歳〜50歳にもうひとつのピークがあります。

言語障害や知能の遅れ

 

 小児ほ発症率は100人に1人くらいです。小児が滲出性中耳炎にかかっても、年齢が進むにつれて80%の患者さんは治癒すると報告があります。
 しかし、小児期に難聴になることはコミュニケーション欠如が起こり、サ行とタ行を聞き間違える言語障害(前置子音違聴症・ぜんちしおんいちょうしょう)や、知能の遅れを招いてしまい、好ましくない状態です。そのため、テレビの音を必要以上に大きくして聞いていたり、画面に顔を近づけて見ている子供には注意が必要です。

放置すると・・・

 

 放置しておくと鼓膜が陥没したり、萎縮したり、取り返しのつかない変化が起こることがあるので、適切な治療を受けることが必要です。


滲出性中耳炎の原因は?

中耳炎が長引いて

 

イメージ画像 子供の滲出性中耳炎では、中耳炎が長引いて起きることが大半です。また、度重なる急性中耳炎の繰り返し、風邪症状にともなう中耳腔の感染の治療が中途半端な状態で放置されると、滲出性中耳炎になることがあります。
 原因には、耳管の機能不全による中耳換気障害が存在します。アデノイド肥大、口蓋裂(こうがいれつ)、粘膜下口蓋裂(ねんまくかこうがいれつ)など、はっきりとした原因がある割り合いはそれほど多くありません。
 どのような原因にせよ、度重なる咽頭や風邪症状を繰り返すことは好ましくありません。

上咽頭ガンの可能性も

 

 大人の痛みのない滲出性中耳炎では、まれに上咽頭ガン(上咽頭腫瘍)の初発症状の場合もあります。片側のみで治癒しても効果のない場合、頑固な難聴には、上咽頭ガンの注意を要します。


滲出性中耳炎の症状は?

症状の主体は難聴

 

イメージ画像 滲出性中耳炎の主症状は軽度〜中等度の耳痛のともなわない難聴(なんちょう)です。耳閉塞感が起こります。
 中耳腔に滲出液がたまるために鼓膜の音に対する振動が阻害されて生じる伝音難聴です。

気が付きにくい病気

 

 初期では、家人がまったく気が付かないことがほとんどです。
 乳幼児では訴えが少なく、返事が悪くなったり、テレビの音を大きくしているなどの症状が上げられます。聞こえが悪いために、小児では注意力が散漫になり、学童では落ち着きがないなどの症状があらわれます。
 まわりの大人が気が付いてあげるようにしましょう。気が付いたら、一度専門医の診察を受けるようにしましょう。

大人の症状

 

 大人では、難聴以外にも、耳が詰まる、声が響く、頭が重いなどの症状を訴えます。


滲出性中耳炎の診断は?

顕微鏡で検査

 

イメージ画像 滲出性中耳炎の診断は、顕微鏡で鼓膜を観察すれば容易に診断できます。
 一般に鼓膜は陥没していることが多く、中耳の貯留液が認められます。そのほか、聴力検査、鼓膜の可動性をみるティンパノメトリーなどが行なわれます。
 また、耳のエックス線検査や、CT検査が行なわれることもあります。


滲出性中耳炎の治療法は?

年齢によって変わる治療法

 

イメージ画像 中耳周囲の空間の発達がよい場合は、治療法を選択する際には参考になります。
 学齢期になると自然に治癒することが多いので、保存的治療が基本となります。

基本的な治療法

 

 耳管機能に影響する鼻咽腔の炎症を取り除くために、鼻ネブライザー、さらに耳管通気(じかんつうき)が行なわれます。
 また、マクロライド系抗生剤の少量長期投与や、抗アレルギー薬、粘液調整薬、漢方薬なども併用されます。

軽症の場合

 

 軽症の滲出性中耳炎の場合は、経過観察ですます場合もあります。しかし悪化時には、適切な対応が重要となります。

発育に影響を与えることも

 

 4歳を過ぎても保存的治療の効果がない場合、または難聴が30dB(デシベル)以上の場合、発育にも影響を与えてしまうので、積極的に鼓膜切開(こまくせっかい)が行なわれます。
 鼓膜切開とは、乳幼児でも外来で簡単に行なうことが可能で、感染がなければ鼓膜の穴は数日で閉鎖するので心配はいりません。

重症の場合

 

 鼓膜切開を繰り返し行なってもすぐ再発してしまう場合や、鼓膜の陥没が強い場合には、鼓膜を切開し、穴が塞がらないように細いシリコン性チューブを置き、外耳道を経由して換気できるようにします。
 乳幼児では、体動による損傷を防ぐために、全身麻酔が必要となります。
 中耳が正常化するまで、長期間の留置が望ましいので、定期的に耳鼻科の診察を受ける必要があります。

合併症など

 

 耳に水が入ると中耳炎を起こす危険性があります。入浴時や水泳時などには、耳栓を使うなどの生活指導が必要です。
 アデノイド肥大によって耳管を圧迫している場合や、扁桃肥大があり感染を繰り返す場合には、アデノイド切除術、口蓋扁桃切除術(こうがいへんとうせつじょじゅつ)を行なうこともあります。


滲出性中耳炎かなと思ったら?

治療は長くなる

 

イメージ画像 聞こえが悪いのではないかと感じたら、すぐに専門医の診察を受け、相談してください。
 子供の場合は慢性化することが多いため、長期間の治療が必要となります。病状には変動がありますが、大半の患者さんでは成長と共に軽快します。根気よく通院することが大切です。

外科的治療の目的

 

 外科的治療の目的は、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)、真珠腫性中耳炎などの重篤な合併症の予防と、難聴の持続による発達への悪影響を避けるためであることを、よく理解しましょう。


滲出性中耳炎の予防法は?

風邪をひかないこと

 

イメージ画像 滲出性中耳炎の予防法は、風邪をひかないように注意することです。気温と体温の差を考えて衣服を選ぶようにしましょう。

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