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言語発達障害・学習障害・特異的発達障害


言語発達障害・学習障害・特異的発達障害ってどんな病気?

特定の領域の遅れ

 

イメージ画像 さまざまな呼ばれ方をする病気ではありますが、子供の発達段階の早期、おもに幼児期に明確になってくる病気です。
 明らかな知的遅れ・精神遅滞がないのに、学習面のある特定の領域に明らかな遅れが認められます。これを総称して、「特異的発達障害」と呼んでいます。
 特定の領域とは、言葉の表現や理解、文字を書くこと、文字を読むこと、計算すること、運動することなどがあります。遅れはこれらのうちのひとつ、あるいは複数の領域にわたります。

種類


 遅れを示すおもな領域によって、それぞれの種類に名前が付けられています。
 言語発達障害・発達性言語遅滞、発達性書字障害、発達性読字障害、発達性計算障害、発達性協調運動障害などの呼び名があります。
 学習能力について特異的に発達が遅れている場合、学習障害(LD)と呼びます。自閉症や精神遅滞などと診断された場合、学習面での困難はあっても学習障害とは呼びません。

対人関係や行動の問題も合併

 

 ほとんどの場合、学習面での特異な遅れだけではなく、多少なりとも対人関係の問題、行動上の問題が認められます。


言語発達障害・学習障害・特異的発達障害の原因は?

脳の機能障害説

 

イメージ画像 発達段階での学習面の遅れは、脳機能上の特異的な障害に基づいていると推測されています。しかし、明確な根拠はありません。

他の病気はないか


 言語発達障害を疑う場合、視覚、聴覚などの感覚器官に異常がないこと、明らかな身体運動機能の障害がないこと、統合失調症自閉症などのはっきりとした精神障害がないこと、明らかに不適切な養育環境に置かれていないことなどの条件を満たす必要があります。

言語発達障害・学習障害・特異的発達障害の症状は?

共通する症状が存在

 

イメージ画像 言語発達障害はいくつかの種類に分類することができます。乳幼児期の発達経過の中で良くみられる特徴には、共通点が多くあります。

乳児期


 生後半年くらいは、ほとんど異常が認められないことが多いです。両親などのあやしかけに良く反応し、良く甘えていたということが多い傾向があります。
 しかし通常では人見知りや後追いがみられる時期になっても、人見知りや後追いがみられません。そして誰にでもすぐに懐き、愛想が良い子供だと言われたりします。
 一方で、簡単な身振りの真似を促しても、なかなか乗ってこなかったりします。

幼児期早期

 

言語発達の遅れと聴覚障害の疑い

   

 幼児期の早期には、発語が遅れることが多い傾向があります。聴覚障害の疑いが持たれることもありますが、話し言葉以外の音の刺激には良く反応するため、聴覚障害ではないことが判明します。
 話し言葉の理解は良くできていても、発語が上手くできなかったり、相手の話におよその見当を付けて反応しますが、実際には正確に指差しができなかったり、自分の意志を言葉で表現することができなかったりします。

 

歩行開始の時期

   

 歩行開始が遅れたり、歩けるようになってもひどくぎこちなく、良く転んだりする場合があります。
 一方で、はいはいの時期があまりなく、歩き始めが早く、歩き出すとじっとしていることがなく、親子の間でゆったりとした交流が持てないことがあります。

 

身振り手振りで意思を読み取っている

   

 話し言葉が理解できなくても、相手の身振りを見て相手の意思を読み取ろうとします。また、みずからも身振りで意思を伝えようとする仕草がみられることもあります。

幼児期後期

 

落ち着きがなくなる

   

 落ち着きのなさがひどくなります。じっとしていることができず、終始、動き回っています。
 些細な刺激にもすぐに反応して、集中力がなく、何かをさせようとしてもすぐに他の事に気を取られてしまいます。
 集団遊戯にもなかなか参加することができず、自分勝手な一人遊びに逃げ込みやすい傾向があります。その場にも慣れてきて集団遊戯ができるようになっても、なかなか上手くできずに、すぐに他の事に逃げ込んでしまったりします。

 

情緒不安定になる

   

 情緒不安定で、癇癪を起しやすかったり、衝動的に突発的な行動をすることがあります。特に集団生活の中で不適応が顕著になってくると、突発的な行動を起こすことが増えます。

学童期

 

学習面での特徴的な症状

   

 学童期になると多少なりとも落ち着いてきますが、学習面での特有な障害が顕著になっていきます。
 本を読んだり、文字を書いたり、計算をしたりする能力の獲得に、著しい困難を示すようになります。
 ひとつひとつの文字を読むことができても、文章の内容を理解することが難しい。数字を読むことはできても、物の数を数えることができない。工作や体育が苦手など。

 

問題行動がみられるようになる

   

 子供自身に苦手意識が芽生えてくると、苦手な課題を避けるようになり、生活面でさまざまな問題が現れていきます。
 大人との間ではある程度うまく振る舞うことはできますが、同年代の子供同士の交流は困難な場合がほとんどです。次第に集団の中から孤立するようになります。
 このようなことから被害的な気持ちを持つようになり、他の子供に対して攻撃的行動を示す場合もあります。


言語発達障害・学習障害・特異的発達障害の診断は?

家族歴・既往歴の検討

 

イメージ画像 遺伝、周産期障害などが原因のひとつとして考えられています。
 血縁者に言葉や学習能力の遅れ、不器用な子供など、類似の障害を持った人の有無を調べます。胎生期の異常の有無、新生児期の生育状況、乳児期に中枢神経系に影響を及ぼす可能性のある疾患の既往歴などをチェックします。

精神発達の経過


 症状の項で記した、発達経過の特徴と照らし合わせることが重要になります。

検査

 

 認知機能の障害像を客観的に把握するために、さまざまな検査を行います。良く行われる検査には、以下のようなものがあります。
 身振り模倣検査、人物像描画法、ベンダー・ゲシュタルト・テストなどの神経心理学的検査。WISC-Wなどウェクスラー知能検査。ITPA言語心理能力検査。


言語発達障害・学習障害・特異的発達障害の治療法は?

子供にとって好ましい方向に持って行くこと

 

イメージ画像 脳の機能障害に基づくハンディキャップを持つと考えられるため、従来の狭い医療の枠内で考えるのではなく、子供の精神発達全般にわたり、どうすれば良い方向に持って行くことができるのかを基本に考えます。
 子供の障害を把握することはもちろんですが、成育史の特徴、家族背景、現在置かれている社会的環境なども考慮に入れます。

ハンディキャップを理解する


 子供の示す症状は、わがままや育て方の問題ではなく、生来的なハンディキャップを持つ子供だと考えて対応することが、家族や周囲の人に理解してもらう必要があります。
 こうした認識のもとで、子供の成育環境を整えていくことが大切です。

具体的な治療法

 

 具体的な治療法では、身体運動訓練、言語指導、学習訓練など、それぞれの子供の障害に合わせて適度に組み合わせて行います。
 多動の改善を目的にリタリンなどを使った薬物療法を併用することもあります。

子供との心の繋がりを大切に

 

 子供と養育者との間で、情緒的な心の繋がりが希薄になりやすい傾向があります。訓練そのものをメインにするのではなく、子供の心の成長に主眼に置いた働きかけを目指します。
 本人への精神療法的援助、家族へのカウンセリングも重要です。


言語発達障害・学習障害・特異的発達障害かなと思ったら?

専門医の診察を

 

イメージ画像 発達障害が疑われる場合、専門医による診察を受けることが望まれます。
 しかし治療を専門家に任せるのではなく、あくまでも子供が現在暮らしている場での生活を保証しながら、個別的に配慮することが必要です。発達障害のひとつのタイプであり、自閉症や精神遅滞と同じ配慮が必要です。子供の能力を正しく評価して、根気強く教えていくことが大切です。

成功体験が子供を伸ばす


 言語発達レベルに合わせた言葉かけをしながら、集団遊戯では子供に合わせた簡単な課題から取り組めるように工夫をします。温かく励ましながら、少しでも成功したら褒めてあげて喜びを体験させるなど、子供の意欲を高めて自発性が育つように心がけます。
 やる気がない、根性がないと、頭から怒ってもまったく効果がなく、子供を不安にしてイライラさせるだけです。

学習面

 

 専門家から学習面のチェックだけでなく、情緒面のチェックも受けるようにしましょう。幼稚園・保育園・学校の担任との連携をとって、子供にはたらきかけていくことが大切です。
 与えられた刺激が子供にどのように受け入れられたか、これまで経験したり学習してきた事柄と比較しながら反応をしているのか検討し、子供に合った個別指導を行うことも大切です。課題の取り組み方などに工夫をします。

症状改善のための薬物療法

 

 多動、情緒障害が激しく、はたらきかけが困難な場合、児童精神科医による薬物療法を行うこともあります。

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