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老人性難聴


老人性難聴の概要は?

おもな症状

 

ゆるやかに進行する難聴
耳鳴り


老人性難聴ってどんな病気?

高齢者にみられる難聴

 

イメージ画像 元々聞こえに問題のなかった人が、高齢者にみられる聴力の生理的な年齢変化のことを指します。
 生理的変化は、生活習慣病などさまざまな個人的な身体的条件に影響されている可能性があります。
 そのため、実際の難聴の程度には、個人差が大きくみられます。

老人性難聴の傾向

 

 難聴で耳鼻科を受診する患者さんでは、65歳代で約40%、70歳代で約50%、75歳代で約65%、80歳代で約70%、85歳以上で約75%が、難聴を訴えています。
 女性より男性の方が難聴になりやすいとされていますが、80歳以上になると性差はなくなります。


老人性難聴の原因は?

加齢によるもの

 

イメージ画像 加齢にともない、内耳蝸牛(ないじかぎゅう)の感覚細胞が障害を受けたり、内耳から脳へと音を伝える神経経路や中枢神経系に障害が現れたり、内耳蝸牛の血管の障害が起こったり、内耳内での音の伝達が悪くなったりします。
 蝸牛の感覚細胞や、そこから脳に伝える神経や脳細胞は、年齢とともに数が減少し、再び増えることがないため、音を捉えたり、脳内で音の情報処理をする機能が低下すると考えられています。
 これらの原因が、ひとつ、または複数組み合わされて老人性難聴が発生すると考えられています。


老人性難聴の症状は?

高音域から

 

イメージ画像 聴力の低下は高音域から発生し、徐々に会話音域、低音域へと広がっていきます。両側性で左右にあまり差がないのが特徴です。
 早期には難聴の自覚がなく、多くの場合は静かな場所で「キーン」や「ジー」というような高い音の耳鳴りだけど感じる場合があります。
 進行すると、サ行の音などから言葉の聞き間違いが多くなっていきます。

言葉の聞き取り

 

 難聴が発生した場合、ただ単に音が聞こえなくなっただけではなく、音は聞こえていますが何を言っているのかわからないという状態がしばしばみられます。
 これは言葉の聞き取り能力の低下で、老人性難聴の特徴のひとつです。
 一般的には、聞き取り能力の低下は50歳代〜60歳代にかけて、顕著になってくると言われています。


老人性難聴の診断は?

聴力検査による診断

 

イメージ画像 純音聴力検査では、125Hz(ヘルツ)〜8000Hzまでの7種類の周波数で聴力検査を行います。
 老人性難聴の場合、4000Hz、8000Hzの高音域での聴力低下が顕著に現れます。
 左右で聴力に差があったり、高音部中心の聴力低下ではない場合、他に原因がないことを確認して診断します。
 難聴の程度は、500Hz、1000Hz、2000Hzの会話音域の聴力低下に応じて、正常、軽度難聴、中等度難聴、高度難聴、聾(ろう)の5段階に診断されます。

語音明瞭度検査による診断

 

 言葉の聞き取り能力の低下は、語音明瞭度検査で測定します。
 語音明瞭度検査は、「タ」、「モ」、「ア」などの単音節語音と言われる無意味な単語を聞かせて、聞き取った単語を紙に書き取ってもらいます。
 誤った数から正答率を求めることで、評価することができます。


老人性難聴の治療法は?

治療対象外

 

イメージ画像 薬物治療はあまり期待ができないため、難聴を直接回復させる方法はありません。老人性難聴は聴力の生理的変化と考えられるため、一般には治療の対象にはなりません。
 難聴が進行し日常会話に支障が出てきた場合は、補聴器の装用を考慮する必要があります。
 純音聴力検査、語音明瞭度検査を行い、生活環境も考慮して、補聴器が必要かどうかを判断します。

補聴器のタイプ

 

 補聴器は、箱形、耳掛け形、挿入形に分類できます。
 本人が難聴であることを自覚していて、テレビやラジオ、人の話を聞きたいという意欲が大切です。補聴器を用いるにも訓練が必要で、補聴器を通した音に慣れるまでの根気も大切になります。
 使用時にピーピーというハウリング音が発生することがないように、自分で簡単に操作できるタイプがおすすめです。ハウリング音を予防するために、個人の耳の形に合わせた耳栓を作るイヤーモールドが有効です。


老人性難聴かなと思ったら?

補聴器が必要かどうか

 

イメージ画像 老人性難聴は、補聴器が必要かどうかを判断する必要があります。
 耳鼻咽喉科を受診し、その検査結果から、どのような補聴器が自分に合っているのか、補聴器の利点や限界について良く相談してから決めるようにしましょう。
 難聴の程度に応じて、身体障害者福祉法による補償で補聴器の購入費補助が行われています。申請書類の記入は、耳鼻咽喉科で行われています。


老人性難聴の日常生活の注意

日頃から健康的な生活を

 

イメージ画像 聴覚に悪影響を与える因子として、喫煙動脈硬化、内耳リンパ圧を変動させるストレスが知られています。
 一般的な老化防止、心身の健康管理、適度な運動、病気はきちんと治療をしておくことなどが大切だと考えられます。


老人性難聴の人の介助

人それぞれに聞き取りやすい話し方があります

 

イメージ画像 老人性難聴では、物音や人の声は聞こえても「言葉」を聞き分けるのが難しい点にあります。そのため相手の言葉が聞き取れないため、相手が話している通りに理解できず、聞こえた部分をヒントにして推測による理解になってしまいます。時として都合の良い事だけしか聞かないという不評を買ってしまうこともあります。こうなると本人はかえって疑い深くなったり、引っ込み思案になったり、頑固さが増すようにも見えてしまいます。本人の性格ではないため、丁寧に接することが大切です。
 ゆっくりしすぎた話し方や、口を大きく動かしすぎると、かえってわかりにくくなることがあります。声の大きさも大きければ良いというわけではありません。人によって聞き取りやすい言葉のスピードや、声の大きさがあります。

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