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運動障害などの一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)
小児脳梗塞(しょうにのうこうそく) 脳出血 てんかん
精神遅滞
脳血管の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)が徐々に進行すると、それにともなってさまざまな神経脱落症状が起こってきます。 もやもや病に特徴的なのは、『もやもや血管』と呼ばれる側副血行路です。 脳血管撮影では、両側の内頚動脈(ないけいどうみゃく)の末端の狭窄や閉塞が徐々に進行すると、それにともなって『もやもや血管』が出現します。
もやもや病は、日本人に特に多く、外国人の報告例は非常に少ない疾患です。日本では約4000人ほどの患者さんがいます。 初発年齢は、0歳〜9歳と、30歳代にピークがあります。半数以上は15歳以下で発症します。 小児と成人とでは発症形式が異なります。小児では脳虚血発作で発症し、成人では頭蓋内出血で発症します。 また、男女比は1 : 1.8と女性の方が多い病気です。
もやもや病の原因は、まだわかっていません。 既往歴では、高い確率で頸部よりも上の炎症、とくに扁桃炎(へんとうえん)の既往歴があり、もやもや病の原因として注目されています。しかし、免疫学的な検討もされていますが、はっきりとしてことはまだわかっていません。 約10%の確立で家族内発生例がみられるため、遺伝子レベルでの研究もされています。
現在、厚生労働省によって、難病に指定されています。 原因も含め、多方面での研究がなされています。
運動障害が最も多く、ついで頭蓋内出血、けいれん発作などが起こります。 運動障害の多くは、一過性脳虚血発作によるものなので、24時間以内に正常に回復します。 これらの症状は、泣いたとき、激しい運動をしたとき、強く息をする過呼吸時などにあらわれるのが特徴です。症状は血管の変化が両側性のため、左右交互にあらわれることがあります。
病状が進行すると、慢性の脳乏血状態(のうぼうけつじょうたい)となり、運動知覚麻痺、視野障害、精神遅滞といった症状が残ります。 成人例では、頭蓋内出血で発症し、通常は脳室内出血で、重篤な意識障害があらわれることが多いです。
もやもや病は、まだ原因が明らかになっていないので、根本的な治療や予防の方法は確立されていません。
内科的治療としては脳虚血型やてんかん型モヤモヤ病に対して脳血流改善剤や抗てんかん剤がそれぞれ投与されます。 外科手術では、側副血行路を増強させ、脳循環障害の改善を図ることが治療として行われています。浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術、脳・筋肉・血管癒合術などがあります。 また、頭蓋内出血の原因となる脳動脈瘤の合併も指摘されているので、動脈瘤の根治術が必要な場合もあります。
小児期の脳血管障害は、発生頻度も少なく、疑われにくい疾患です。一過性の運動障害などに注意して、早期に専門的な検査を受けることが良いです。小児例では発見時にすでに重度の脳梗塞に陥り予後が悪い場合があります。
歌手の徳永英明さんは、もやもや病を克服されたと、最近のニュースで掲載されていました。かなりの長期間、活動を中止していと思います。
もやもや病という名前から誤解されやすいのですが、精神的になんとなく心がモヤモヤ〜っとするから「もやもや病」というわけではありません。脳血管の病気です。 正式には「ウィリス動脈輪閉塞症」と言いますが、「もやもや病」が一般的です。海外でも、「Moyamoya Disease」で通じるようです。