そらいろネット > 家庭の医学 > 食中毒による病気 > シガテラ中毒
熱帯〜亜熱帯地域、とくにサンゴ礁海域に生息する魚類を食べることによって起こる食中毒です。致死率は低くい食中毒で、シガテラ魚中毒(しがてらうおちゅうどく)と総称しています。
日本では、南西諸島が中毒海域にあたります。南西諸島以外の国内でも、南方から持ち込まれた魚による中毒例があります。
プランクトンが作った毒を魚が摂取し、蓄積したものを人が食べることによって起こる、内毒性魚中毒(ないどくせいうおちゅうどく)です。 シガテラ魚中毒の原因となるプランクトンの分布、生態は謎に包まれたままです。サンゴが死滅した後、大量発生することはわかっています。
近年、本州でも発生するようになりました。はっきりした原因は不明ですが、魚を毒化するプランクトンの生息域が、海水温上昇によって広がった可能性が指摘されています。
中毒症状は非常に複雑です。摂取後、24時間前後に発症します。 水に触れるとドライアイスに触れたような感覚や、電気ショックを受けたように感じるシガテラ魚中毒特有の症状で、ドライアイスセンセーションと呼ばれる温度感覚異常があらわれます。
ほかにも、筋肉痛、関節痛、口周囲の不規則性機能亢進などの神経系障害。下痢、嘔吐などの消化器系障害。血圧低下などの循環器系障害がみられます。 致死率は低く、日本国内では死亡例はないものの、回復には時間がかかり、とくに神経系障害は長引くことがが多く、完全回復するには半年〜1年かかります。
シガテラ毒魚は、数百種類にも及びます。 その中でも中毒例の多い魚は以下の通りです。これらの魚の多くは市場価値がなく、ほとんど出回らず、漁師や釣り人が口にする程度です。
毒性は、内臓の方が筋肉の数倍も強いのですが、食中毒の大半は筋肉部分を食べることによって起こっています。 また、毒性は藻食魚よりも肉食魚の方が強く、小型魚よりも大型魚の方が強い傾向にあります。同じ魚種でも、個体、漁獲場所、漁獲時期により、無毒の場合もあれば、強毒まで著しい差異があり、中毒発生の予測を困難にしています。
シガテラ毒の主成分は、脂溶性のシガトキシン(CTX)で、その他に水溶性のマイトトキシン(MTX)、スカリトキシンなどが知られています。
現在のところ、シガテラ中毒の効果的な検査法や、治療法は確立されていません。