大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死（だいたいこっとうえし）ってどんな病気？

	大腿骨頭の破壊
	脚の付け根にある股関節の中の大腿骨頭の軟骨直下の骨が、なんらかの理由によって血行障害で栄養が十分に行き渡らず、脆弱化してしまい、つぶれて破壊されてしまう病変です。
	特定疾患、いわゆる難病
	小児に発生するペルテス病も、ほぼ同様の部位に発生しますが、修復能力が高いことが特徴です。　しかし大人の大腿骨頭壊死は、血行障害のために治りにくく、厚生労働省の難病に指定されています。
	患者さんの人数は？
	日本全国における1年間の新規発生数は2000人よりやや多いと推定されています。　男女比は5:4でやや男性に多く、発症のピークは男性では40代、女性では30代になります。　遺伝する心配はありません。

大腿骨頭壊死の原因は？

	原因不明
	原因は研究中ではっきりとした原因は不明ですが、かなり解明も進んできました。　アルコールを10年以上、ほぼ毎日飲んでいる人、特殊な病気の治療で大量の副腎皮質ホルモン薬・ステロド薬の投与を受けている人に多くみられます。アルコールをほぼ毎日飲んでいる人では中年男性に多く、ステロイド薬の投与を受けている人では若年～中年の女性に多くみられます。　また、どちらもない人にもみられます。
	外傷の後に発生
	大腿骨頸部骨折、股関節脱臼骨折など、股関節の大きな外傷の後に発生することが多いことも知られています。　原因が明らかな場合は、大腿骨頭壊死とは呼ばれず、症候性大腿骨頭壊死症と呼ばれます。特定疾患（難病）に指定されていませんので、医療費の助成制度は適用されません。症候性大腿骨頭壊死症は外傷にともなうものが多いです。

大腿骨頭壊死の症状は？

無症状から歩行困難まで

イメージ画像　左右両側に発生する場合が、半数以上を占めます。
　大腿骨頭壊死でも、骨の脆弱な部分が小さな場合には無症状です。数ヶ月～数年かけて、進行していくこともあります。まったく心配のいらない場合もあります。
　自覚症状は、急に股関節部痛があらわれます。腰痛、膝痛、殿部痛などが初発する場合もあります。初期の痛みは安静にしていれば、2週間～3週間で軽減します。
　一般的には、壊死の範囲が大きいと体重に耐え切れず、脆弱部の骨が陥没してしまい、直上にある関節軟骨も変形してしまうため、股関節痛や歩行困難などの症状がわらわれます。
　細菌感染はともなわないので、いわゆる腐った状態ではありません。

大腿骨頭壊死の診断は？

	エックス線とMRI
	初期の骨の変形が少ないうちは、エックス線像の所見がはっきりしない時期があります。　大腿骨頭壊死が疑われる場合には、MRI検査を受けることで、容易に性格な診断をつけることができます。

大腿骨頭壊死の治療法は？

	壊死自体の治療法はない
	現在では、壊死そのものを改善される治療法は開発されていません。
	保存療法
	壊死の大きさ、位置から、予後がよいと診断できる場合や症状が発症していない場合は、保存療法が適応されます。　痛みがある場合には、歩行を制限するか、杖歩行を行います。また、鎮痛消炎剤の投与を行います。
	さまざまな手術
	若年者に起こった場合は、骨頭の陥没変形の発生を防止するために、種々の骨切り手術が行われることがあります。ただし、手術後の治療期間が非常に長くかかることが、大きな問題となります。　また、骨頭の陥没、破壊が進行してしまい、歩行不能となった場合には、人工関節手術を行うこともあります。
	アルコール愛飲歴・ステロイド薬大量投与歴
	アルコール愛飲歴のある人、ステロイド薬の大量投与の経験のある人に股関節痛がある場合は、エックス線画像検査、MRIの検査を受けて、大腿骨壊死かどうかの診断を受ける必要があります。