そらいろネット > 家庭の医学 > 運動器の病気 > 関節ねずみ・関節内遊離体
さまざまな疾患によって、関節内に骨・軟骨片などの遊離体がみられることがあります。 この遊離体が関節内を移動する時に、何かの拍子に関節内でひっかかり嵌頓(かんとん)して、疼痛を引き起こすので、「関節ねずみ」と呼ばれます。
関節内遊離体の原因疾患は、骨軟骨骨折(こつなんこつこっせつ)、滑膜骨軟骨腫症(かつまくこつなんこつしゅしょう)、剥離性骨軟骨炎(はくりせいこつなんこつえん)、変形性関節症などがあります。
骨軟骨骨折は、骨折の部位が関節内だけに存在する外傷のことです。多くは膝関節にみられます。
関節内遊離体発生の仕組みは、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)にともなうものが大半です。膝蓋骨が外側に脱臼する時、または脱臼から戻る時に、大腿骨外側顆(だいたいこつがいそくか)と、膝蓋骨の関節面がぶつかる剪断力(せんだんりょく、はさみ切る力)によって、膝蓋骨骨軟骨骨折が発生してしまいます。 膝蓋骨側ではなく、対応する大腿骨外側顆に骨軟骨骨折が生じる場合もあります。
膝蓋骨脱臼によるもの以外では、スポーツ活動において、大腿頚骨関節で圧迫力が働き、凸面の大腿顆部関節面に生じる場合もあります。 直達外力が関節面に働いて、生じる場合もあります。
骨軟骨骨折は、X線写真で診断できます。しかし、骨をともなわない軟骨骨折だけの場合は、診断は困難となります。 外傷によって靭帯(じんたい)の剥離骨折(はくりこっせつ)を起した場合も、骨軟骨骨折を起し、X線写真で遊離体のように見えます。ですが、関節内遊離体には含まれません。 膝関節のX線側面写真では、膝の後方に遊離体のような骨片が時々見られます。これはファベラという膝関節の後方外側にある外側腓腹筋(がいそくひふくきん)の種子骨(しゅしこつ)なので、異常ではありません。
関節内遊離体を引き起こす、滑膜骨骨軟骨腫症は、関節の滑膜から多数の骨軟骨腫が発生するまれな病気です。 変形性関節症では、進行した症例で、遊離体がX線写真で見られることがあります。 離断性骨軟骨炎、骨の血行が悪くなり、骨の一部が死んでしまいます。死んだ骨が周囲の正常な骨から分離されて浮き上がり、遊離体が発生します。
骨軟骨片が大きい場合、手術で骨片を整復して内固定します。小さい場合は、骨片摘出、またはそのままにして経過観察を行います。 手術の目的は、骨軟骨片の処置とともに、脱臼の再発防止で、さまざまな手術方法が行われています。