鉄骨造2階建てで、1934年(昭和9年)頃に建設されました。
現在は米海軍横須賀基地司令部として使われていル米海軍横須賀基地C2建物です。
当初は鉄骨平屋の会議所を予定していましたが、鎮守府庁舎3階にあった人事部・艦船部が手狭となったため、2階建てに変更し、1階を艦船部庁舎と会議所付属室に変更し、増額した工事予算で計画されました。艦船部は鎮守府に属し、鎮守府所属の艦船の保存と整備を管轄する組織です。
当時の建築工事の所管は、横須賀海軍建築部ですが、この庁舎の設計担当技術者については詳細はわかっていません。
関東大震災後に建設された横須賀鎮守府管領下の庁舎の中では、もっとも装飾性に富んだ昭和初期の遺構として貴重です。
鉄骨造2階建てで、梁間が約19.8m、桁行が31.7m、平面形状が外部に2階の演壇部分が突き出した長方形です。
1階の平面は、妻側の正面入り口に玄関と玄関入り口があり、玄関から中廊下に各部屋を配置しています。2階の平面は、講堂と玄関入り口から階段とホール、背面に外側階段が設けられています。玄関入り口の階段から2階のホールまでの空間は、大理石が張られて重厚な雰囲気を与えています。
屋根は鉄骨トラスによる切妻の大屋根となっています。
正面中央の外観は、外壁があずき色の煉瓦タイル張りで、上部には大きな三角破風を乗せ、中央に柱頭飾りのある大オーダーの柱形が立ち上がってエンタブレチュアーを支える歴史主義建築の骨格を踏襲した左右対称です。三角破風の中央の幾何学的装飾、エンタブレチュアーの小さなアーチの装飾列、左右の壁面上部の白いバンド等の浮き彫り装飾は、壁面のアクセントになっています。
入り口上部の曲面のある2階バルコニーは、和風意匠の肘木を模した受け木で支えられています。
桁行側の外観は、1階の腰壁が石張りで、白い水平と垂直のバンドによって強調された矩形の縦長窓が連続しています。
正面入り口には、「横須賀鎮守府会議所」と「横須賀海軍艦船部」の表札が掲げられています。
講堂内部は鉄骨トラスの小屋組の見える大きな空間でしたが、現在は入り口から入った左右に控室とトイレが増設されました。
講堂内部の前面には、中央に柱と大きな半円アーチの演台があります。この演台の左右には入り口が設けられており、外階段で1階に降りることができます。
講堂の左右の壁面は、柱間に縦長の大きな矩形の開口部を全面に付け、講堂内に多くの採光を導いています。
天井上部、鉄骨トラスなどには、幾何学的な浮き彫りの装飾があり、講堂内の空間を引き締めて拡張を与えています。
2016年(平成28年)、日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴」に指定されました。
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