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 やけど・火傷・熱傷

やけど・火傷・熱傷の概要は?
おもな症状
  疼痛(とうつう)
皮膚の発赤(ほっせき)
水疱・水ぶくれ
深い火傷では皮膚が白くなり焦げる
似ている病気
  電撃傷(でんげきしょう)
雷撃傷(らいげきしょう)
化学損傷(かがくそんしょう)
起こりやすい合併症
  患部の化膿
色素沈着
ケドイド
広範囲の火傷では血圧低下、ショック、呼吸不全敗血症

やけど・火傷・熱傷ってどんな病気?
皮膚の高温障害
  イメージ画像 火傷は、高熱による皮膚の障害で、本来持っているべき防御機能が失われてしまった状態です。一生のうち誰もが一度は経験するほど、頻度の高い外傷です。
 受傷部位には、発赤、水ぶくれ、痛みの症状があらわれます。
 火傷の面積が広い場合、血圧低下、尿量の減少、頻脈(ひんみゃく)、感染症などの全身症状があらわれます。
重傷度
   火傷の程度は、皮膚に受けた熱の温度と、熱を受けた時間によって決まります。高温でも瞬間的に受けた熱では、比較的浅い傷害でとどまります。低温でも長時間受け続けると、深い傷害になってしまいます。

やけど・火傷・熱傷の原因は?
高温によるやけど
  イメージ画像 火傷の原因としては、熱湯がもっとも頻度が多いです。次に暖房器具、バイクの排気などが続きます。そのほかにも、お茶やコーヒーをこぼす、ポットのお湯がかかる、アイロンに触る、炊飯器の立ち上る蒸気に手を出す、熱湯の浴槽に入る、火遊びして衣服に引火するなどがあります。
 家庭内では、10歳未満の小児・子供に多く、とくに2歳未満の乳幼児が受傷する割り合いが多いです。
 火災・爆発事故などによる火傷もあります。爆発によるやけどでは、気道にも火傷の症状がみられる場合があります。
いろんなやけど
   アンカや温風による低温火傷では、見かけよりも損傷が深くなります。
 特殊な火傷としては、酸、アルカリなどによる化学熱傷があります。
最近多いやけど
   近年では高齢者による仏壇のロウソクの火、台所のガスコンロの火が、衣服に燃え移ることによる火傷も増加しています。
原因は日常生活の中に
   火傷の原因の多くは、日常生活の中に潜んでいます。日常生活の中を注意することにより、多くの火傷は未然に防止することができます。

やけど・火傷・熱傷の症状は?
3段階に分類
  イメージ画像 強い痛みが初期症状です。しかし、深い火傷では神経が障害されるため、痛みを感じない場合もあります。
 火傷の深さによって、1度熱傷、2度熱傷、3度熱傷の3段階に分類されます。
  1度熱傷
     もっとも軽いタイプの火傷です。
 皮膚のみが障害を受けます。皮膚が赤くなってヒリヒリと痛みます。水疱・水ぶくれにはなりません。
 通常ですと、1週間以内に治癒します。
  2度熱傷
     表皮の下の真皮に達する火傷です。
 強い痛みがあり、熱傷受傷後24時間以内に水疱・水ぶくれができます。
 浅い2度熱傷は2週間〜3週間で治癒し、傷跡は残りません。深い2度熱傷では、治るまでに3週間以上かかり、傷跡が残ります。
  3度熱傷
     皮膚は壊死(えし)を起こして、神経も変性するため、痛みを感じません。皮膚表面は白くなるか、焼け焦げて黒く硬い焼痂状態で覆われることもあります。壊死を起こした皮膚は、やがて脱落します。その後は、深い潰瘍となります。
 火傷を起こした部分に感染を起こすと、傷はさらに深くなり、治りにくくなるとともに、傷跡も残りやすくなります。
 深い火傷が治ったあとは、隆起したケロイド様の肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)となります。関節部分では硬くなってひきつれるような拘縮(こうしゅく)を起こし、伸展・屈曲のさいに可動制限が生じることもあります。
  広範囲の熱傷
     広範囲の火傷では、循環血液量の減少にともなって、尿量の減少、頻脈がみられることがあります。
 受傷面積が10%以上あると、血圧低下をきたすショックを起こす可能性があります。小児・子供の場合、受傷面積が5%でも、ショックを起こす可能性があります。

やけど・火傷・熱傷の診断は?
重症度によって異なる検査
  イメージ画像 3度熱傷かどうかの検査は、針による痛覚試験を行ないます。しかし、痛みがある場合は、必要ありません。
 熱傷範囲が広い場合は、血圧、尿量の検査を行います。さまざまな合併症が起こる可能性があるので、注意深い観察と検査が必要になります。
誤った自己判断は危険
   自己管理が可能と考えられる火傷は、深さは1度までで、広さは体表面積の1%未満です。おおむね、手の平の面積が体表面の1%に相当します。
 誤った自己判断が、火傷による傷を悪化させてしまう最大の原因となります。

やけど・火傷・熱傷の治療法は?
まずは応急処置を
  イメージ画像 火傷をしてしまった場合、あわてて医療機関を受診する前に、まずは応急処置を行ないましょう。そうすることで、火傷による傷を大きくしないですむことがあります。
 火傷は治ってもケロイドなどの肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)を形成し、かゆみ、痛みの原因になったり、美容上の問題が生じることもあります。火傷を受けたあとは、応急処置後にすみやかに医療機関を受診しましょう。
1度熱傷の治療法
   初期症状での治療法は、冷やすことです。
 1度熱傷のような軽症であれば、無治療でも治癒します。ステロイド外用薬のみの治療でも軽快します。
2度熱傷の治療法
   2度熱傷では、水疱部を消毒し、穿刺(せんし)して、中にたまった液体を抜き出します。しかし、水疱の蓋は取り除かないようにします。水疱の蓋が取れてしまった場合は、ブタの乾燥皮膚で覆う場合もあります。
 ワセリンなど、症状にあわせた外用薬をガーゼに伸ばして患部に当て、ぬらさないように注意をします。顔面ではガーゼを当てずに、開放のままにする開放療法を行ないます。表皮の形皮が遅く、潰瘍が続く場合は、壊死組織や変性組織の除去と皮膚移植を行ないます。
3度熱傷の治療法
   3度熱傷では、壊死組織を除去しないと治癒が遅れてしまいます。壊死組織の下で、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
広範囲の熱傷の治療法
   広範囲の火傷では、血液量が減少し、血圧低下や腎機能低下の原因となるので、輸液が必要になります。
 早期に輸液を行なわないと、ショックを起こして生命に危険が及びます。

やけど・火傷・熱傷の応急処置は?
局部の冷却
  イメージ画像 初期治療でもっとも大切なことは、冷やすことです。受傷後、すぐに冷やすことが重要です。
 疼痛の緩和、炎症の抑制、感染の防止に効果的です。原因や程度を問わず、熱いと感じたらすぐに冷やすようにしましょう。
 流水で30分以上冷やすのが効果的です。四肢では直接勢い良く水をかけるのではなく、受傷部の周囲から水を流すようにしたり、清潔な洗面器などに入れた水道水で冷やします。顔面や体幹部では、清潔なタオルに水を含ませて冷やします。
 小児、子供、高齢者では、冷やした時の体温の低下には気をつけましょう。また、患部を過度に冷やすことで凍傷(とうしょう)をまねく可能性もあります。氷嚢やアイスノンなどを使う場合、患部に直接触れないように清潔なタオルなどで包んで使いましょう。
衣服・装身具の除去
   脱がせにくい衣服を着ている場合は、衣服の上から水道水で冷やします。冷やす時間は15分〜30分を目安にし、その後、衣服を脱がしてから、再び水道水で冷やします。
 受傷の局所では血管からの体液の喪失が亢進し、受傷後時間がたつと浮腫・むくみが強くなります。身に付けている指輪、腕時計などのアクセサリー類は、浮腫・むくみが強まってからでは除去が困難になり、患部の循環障害の原因になります。すぐに取り去るようににましょう。
 患部を冷やしたあとは、清潔なタオルなどでおおい、すぐに医療機関を受診しましょう。
民間療法・消毒
   民間療法では、火傷に効果があるとされるアロエ、野菜、味噌などを、直接患部に貼ったり、塗ったりします。しかし、清潔保持の面からは好ましいことではありません。患部から侵入した細菌によって生じる傷の感染は、火傷を深くする原因になり、もし万が一、破傷風菌(はしょうふうきん)が侵入すると致命的になるので注意が必要です。
 消毒薬でも、患部に色が付いてしまうようなものを使うのは避けるようにしましょう。患部の状態がわかりにくくなり、診断の妨げとなってしまいます。
水疱・水ぶくれ
   患部にできた水疱・水ぶくれは、可能なかぎりそのままにしておくべきです。
 以前は水疱を除去するのが一般的な治療法でしたが、近年になって、水疱液には皮膚再生の成分が含まれていることがわかりました。そのため、水疱・水ぶくれは残したまま治療を行なうようになってきました。
救急車を呼ぶ
   熱傷面積が10%以上、小児・子供で5%以上の広範囲にわたる場合は、ショックなどの全身症状が現われ、早期死亡の原因になります。ショックに陥るのを防ぐためには、早期からの大量の点滴が必要なので、救急車を利用して、できるだけ速やかに医療機関を受診し、治療を開始する必要があります。
 火傷が広範囲に及ぶ場合、冷却による低体温状態になる可能性があるため、冷却は行ないません。
 基本的に入院治療が必要となります。
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