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 壊疽性筋膜炎
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壊疽性筋膜炎ってどんな病気?
急激な進行性の炎症
  イメージ画像 肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)、外傷、尿路感染がきっかけとなって、陰部や肛門周囲に急速に炎症が進行し、急激な経過をたどる病気です。
 会陰部(えいんぶ)、陰嚢(いんのう)に生じる壊疽性筋膜炎を、フルニエ症候群と呼び、肛門周囲膿瘍が急激に広がっていきます。肛門科の領域では、もっとも危険な病気のひとつです。
糖尿病の患者さんに多い
   約半数は糖尿病の患者さんに発症します。
 50歳代〜70歳代に多く発症します。男女比では25対1と、圧倒的に男性に多い病気です。
 死亡率は約10%です。

壊疽性筋膜炎の原因は?
膿が溜まりガスが発生
  イメージ画像 A群β溶連菌などの細菌が皮下組織に感染し、肛門周囲、陰部、大腿部の筋膜や筋肉内で膿汁の貯留が起こり、腐敗ガスや毒素を発生させ組織が腐ることが原因になります。
 嫌気性菌(けんきせいきん・ビブリオ、嫌気性連鎖球菌)と、好気性菌(こうきせいきん)の混合感染によって、重症化します。
半数は肛門の病気から
   壊疽性筋膜炎では、肛門の病気を契機として発症するものが全体の約半数を占めます。痔瘻・肛門周囲膿瘍によって生じた最近感染が、急速に広範囲に広がっていきます。
 この他にも、直腸ガンの腸管壁穿破(ちょうかんへきせんぱ)、放射線治療後に発症します。

壊疽性筋膜炎の症状は?
全身症状
  イメージ画像 皮膚症状に比べて全身症状が強く、脈拍が速くなり、40度を超える発熱や関節痛、吐きけ、全身倦怠感などが現れます。
 進行するとショック症状、意識が朦朧(もうろう)とする精神症状が現れ、最悪の場合、敗血症になり命を落としてしまうこともあります。
局所症状
   初期症状は、丹毒や蜂巣炎に似ています。
 肛門や陰嚢周囲の発赤、腫脹(しゅちょう)、圧痛、著しい浮腫・むくみがみられます。
 皮膚が剥ける表皮剥離、出血のため一部の皮膚が紫色になる紫斑、ブラックスポットと呼ばれる黒色壊死部(こくしょくえしぶ)など、多彩な皮膚症状がみられます。嫌気性菌やグラム陰性桿菌によるものでは、プチプチとした髪の毛を擦ったような感触の捻髪音(ねんぱつおん)は、ガス産生の特徴的な所見で、ガス壊疽と呼ばれ重症を意味しています。
 皮下気腫や皮下の硬結は、腹部や首・頸部(けいぶ)に及ぶことがあります。

壊疽性筋膜炎の診断は?
画像検査
  イメージ画像 腹部単純エックス線写真、CT検査で、会陰部、大腿部、鼠頸部(そけいぶ)の皮下ガス像が認められたら、確定診断となります。
原因菌の診断
   膿の顕微鏡検査を行い、原因菌を調べます。
外攻型と内攻型
   壊疽性筋膜炎は、体表に沿って炎症が拡大する外攻型、骨盤内結合織(こつばんないけつごうしき)を経て後腹膜(こうふくまく)に進行する内攻型があります。
 内攻型は診断が困難で、予後は不良です。
 そのため壊疽性筋膜炎の診断には、腹部や胸部などを含めたCT検査が必要です。

壊疽性筋膜炎の治療法は?
全身療法
  イメージ画像 すぐに入院し、敗血症、細菌性ショック、高血糖に対する全身療法を行います。
 糖尿病などの基礎疾患がある場合は、その治療も同時に行います。
外科的な治療
   膿汁の貯まっている部位を徹底的に切開・開放して、過酸化水素(オキシドール)やポビドンヨード(イソジン)で消毒します。細菌感染や血流障害で壊死した部位は、外科的に除去します。
 筋膜下の膿汁を排出し、筋肉を露出させ、十分に空気にさらします。
 治療後も炎症が広がることがあるので、何度も繰り返し行います。治療効果を観察し、植皮手術などで傷口を覆います。
 後腹膜に進展する内攻型では、開腹手術も必要になります。
薬を使った治療
   抗生剤も有効なものを選び大量に投与し、注意深い全身管理を行います。
 特殊な治療では、エンドトキシン吸着療法、γ-グロブリン製剤の静脈注射、高圧酸素療法が有効です。

壊疽性筋膜炎かなと思ったら?
救急車で病院へ
  イメージ画像 保存的治療はありません。一刻も早く病態を把握し、徹底的に手術することが生存率を上げることに繋がります。
 救急車を呼び、すぐに病院で診察を受けるようにしてください。
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