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筋断裂・肉離れ

筋断裂・肉離れの概要は？

おもな症状

スポーツ中に突然筋肉に刺すような痛みを感じて走れなくなる

似ている病気

アキレス腱断裂
座骨結節や腓骨頭などの裂離骨折

筋断裂・肉離れってどんな病気？

筋断裂と肉離れは一緒

　スポーツなどで筋肉に急激に強い収縮力が働いた時、強く引っ張られ過ぎて自分の筋力が耐え切れなくなり筋組織が断裂することがあります。疾走中、跳躍時、急に停止しようとした時に、外力が加わらなくても断裂することがあります。
　このように筋肉の一部の断裂、あるいは筋膜の断裂した病態を一般的に「肉離れ」と呼ばれています。
　同様に急な力を入れた時に腱が切れるのが、腱断裂です。
　筋肉や腱が切れて完全に連続性がなくなった状態を完全断裂と呼び、一部だけが切れた状態を不完全断裂・部分断裂と呼びます。筋肉に直接外力が加わって断裂する場合、筋挫傷と呼びます。

太腿やふくらはぎに多発

　太ももの裏側の筋肉にあたる大腿屈筋（だいたいくっきん）・大腿ハムストリング、太ももの前側の筋肉にあたる大腿直筋（だいたいちょっきん）、太ももの内側の筋肉にあたる大腿内転筋（だいたいないてんきん）などの大腿部の筋肉と、ふくらはぎの筋肉の腓腹筋（ひふくきん）に発生することが多いです。
　大腿部の筋断裂・肉離れは、20代前半の若年層に多く発生します。

内出血をともなう

　筋断裂・肉離れの程度は、さまざまです。
　筋断裂・肉離れの部位には、内出血をともないます。

筋断裂・肉離れの症状は？

急な強い痛み

　典型的な症例では、短距離走など瞬発的なランニングの時、急に激しい疼痛が生じ、走ることができなくなってしまいます。損傷音が聞こえることもあります。
　筋肉を収縮したり引き伸ばしたりする時の疼痛のため、隣接する関節の運動が障害されます。
　損傷の程度によっては、歩行が可能な場合もあれば、歩行困難な場合もあります。
　損傷部位には腫れが生じます。程度によっては、皮下出血、切れた部分にくぼみを触れることがあります。また損傷部位を押すと、圧痛があります。

起こりやすい合併症

　腱付着部の剥離骨折（はくりこっせつ）が起こることもあります。

筋断裂・肉離れの診断は？

原因と症状から診断

　受傷の原因と、臨床症状で、診断することが可能です。
　筋断裂の中心部は押すと痛む圧痛が強く、重症の時は筋断裂部の凹みを指で触れることもあります。
　MRI、超音波検査が可能であれば、断裂の程度が診断できます。

筋断裂・肉離れの治療法は？

保存療法

　一般的な治療法は、保存療法です。狭い範囲の断裂なら、3週間程度の固定で治療できます。
　急性期には1日〜2日、局所を冷却し、弾性包帯によって圧迫・固定を行います。
　その後は、少しずつ関節自動運動を開始し、圧迫包帯を除去していきます。
　しばらくの間、ストレッチングを行った後、軽いランニングから運動を再開します。
　温熱療法や超音波などの理学療法を行うと、治療を促進するのに役立ちます。

リハビリの進め方

　リハビリテーションの進め具合は、筋断裂の程度によって変わります。特にスポーツ復帰時期については、主治医とよく相談してから決めるようにしましょう。

手術を行う場合

　大きな断裂になると、手術によって縫合し、その後、固定を行うこともあります。
　慢性になった場合、手術で傷跡の瘢痕組織（はんこんそしき）を除去することがあります。

筋断裂・肉離れかなと思ったら？

RICE療法

　損傷部位を氷などを使ってすぐに冷やして、弾性包帯やサポーターで圧迫します。患部は心臓より高い位置に上げ、うっ血を防ぎ、安静を保ちます。この処置によって、組織の腫れ・腫脹・浮腫・内出血を抑えます。
　安静（レスト）、冷却（アイシング）、圧迫（コンプレッション）、拳上（エレベーション）の英語の頭文字をとって、RICE療法と呼ばれています。

早めに整形外科へ

　早期に整形外科を受診するようにしましょう。病因を受診するときは、歩かないようにしてください。

筋断裂・肉離れかの予防法は？

十分な準備体操を

　肉離れでは、予防が大切になります。
　運動を始める前に、ウォーミングアップやストレッチングを十分に行うことで、筋断裂や、スポーツ障害の予防に効果があります。