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内出血


内出血ってどんな病気?

血管の損傷

 

イメージ画像 内出血は血管が怪我によって破れても、皮膚や粘膜が破れなければ、出血した血液は体の中に貯まります。この目に見えない出血を内出血といいます。
 一般に打撲などによって皮膚の下の血管が破れ、出血し皮膚の下に血が貯まったことによって、皮膚の上からは紫色のあざのように見えます。
 怪我をしても外から見ただけではすぐに腫れている状態しかわかりません。数日後、あざとして目で見えるのが一般的で、吸収されて消えるのに数週間かかります。

出血性ショック

 

 外出血や内出血によって多量の血液が失われると、出血性ショックといって重要臓器の機能不全を引き起こし、最終的には死に至ります。
 人間の体の中には4リットル〜5リットルの血液が流れているため、牛乳瓶1本分の200ml程度の出血では命に別状はありませんが、出血が1リットルを超えるようになると脈は弱く、速くなります。呼吸も浅く、速くなり、顔面は青白く、手足は冷や汗をかいて冷たく、グッタリとしてくるショック症状を示します。

死亡することも

 

 内出血は出血量を外表面から診断することが困難です。
 しかし、胸腔(きょうくう)と呼ばれる胸部の空間、腹腔(ふくくう)と呼ばれる腹部の空間、後腹膜腔(こうふくまくくう)と呼ばれる背中〜腰〜臀部(でんぶ)にかけては、大量の血液が内出血として貯留することがあります。
 胸腔、腹腔、後腹膜腔の3ヶ所はいずれも、数リットルの血液が貯留するスペースがあるため、大量の内出血によって死亡する可能性もあります。


内出血の部位は?

四肢の内出血

 

イメージ画像 内出血は一般に四肢に多くみられます。打撲で腫れる場合の多くは、皮下に内出血が起こっています。

頭部の内出血

 

 頭の中に出血する場合は、頭蓋内出血と呼ばれます。麻痺を起こしたり、意識がなくなったり、量が多ければ死亡することもあります。

胸部の内出血

 

 胸の中に出血する場合は、肺の中や胸腔と呼ばれる肺の膨らむ場所に出血が貯まり、呼吸ができなくなることもあります。

腹部の内出血

 

 腹部の中では、肝臓、脾臓(ひぞう)などの血液が多い内臓が怪我をすると、お腹の中に大量に出血して血圧が下がります。

骨折による内出血

 

 骨盤や四肢の骨が骨折した場合、打撲に比べて骨からの出血が加わり出血量が多くなります。


内出血の診断は?

出血の量が問題に

 

イメージ画像 病院にいる医師も、意識、呼吸、循環の状態が悪い傷病者、高エネルギー事故の傷病者の場合、正確な診断が下されるまで、胸腔・腹腔・後腹膜腔の内出血があるものと仮定しながら診察を行います。
 単純な骨折といえど、大腿骨のように大きな骨の損傷の場合、それだけで1リットル程度の出血が起こりえるので、注意が必要になります。


内出血の応急処置は?

四肢の打撲

 

 一般的な四肢の打撲による内出血には、3つの原則があります。怪我の程度をそれ以上悪化させないように予防します。

内出血した部位を冷やす
それ以上に出血が多くならないように軽く圧迫する
挙上する(足なら座布団などで少し足を高くして寝る)

重篤な内出血の場合

 

イメージ画像 平らなところに仰向けに寝かせます。
 枕や毛布を丸めた物の上に足を乗せて高く上げ、上半身への血液の循環を少しでも良くし、毛布などで体を包んで保温に努めます。
 もし自宅にO2パックなどの簡易酸素吸入装置があれば、これを用いて酸素吸入を行っておくのも良いでしょう。


胸腔の内出血は?

血胸の存在

 

イメージ画像 肋骨骨折、肺の損傷などによって胸腔に血液が貯留し、血胸(けっきょう)と呼ばれる状態になります。
 病院に到着する前に、血胸の有無を診断するのはとても難しいです。ですが、ハンドルやシートベルトの痕など胸部外表面の外傷の有無、血胸がある側の呼吸音が減弱するため聴診上で呼吸音の左右差、血胸がある側では濁音になるため打診による左右差、触診上の痛みや変形の有無などを観察し、血胸の存在を疑います。
 病院に搬入後は、エックス線検査、超音波検査、CTなどで確定診断をします。

胸腔ドレーン

 

 胸腔に大量の血液が貯留すると、内出血による失血以外にも、肺を圧迫して呼吸状態を悪化させることがあります。
 胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを胸部の皮膚を貫いて胸腔内に挿入し、胸腔内に貯留した血液を抜く処置を行います。

手術による止血

 

 胸腔ドレーンによって胸腔内に貯留した血液を抜いたあと、呼吸状態が改善してチューブから流出してくる血液量が次第に減少してくる時は、胸腔ドレーンによる治療のみで回復する場合も多いです。
 胸腔ドレーンによる治療を行っても呼吸状態が改善しなかったり、チューブから出てくる血液の量がとても多かったり、急速に血液が流出してくる場合には、手術を選択し、止血を行うことになります。

命にかかわることも

 

 胸部の大血管が損傷したために大量の血胸が貯留していることもしばしばあり、その場合は治療が難しくなります。
 生命の危険にさらされる場合もあります。


腹腔の内出血は?

臓器や血管の出血

 

イメージ画像 肝臓、脾臓(ひぞう)、大動脈、下大静脈(かだいじょうみゃく)などの腹部の臓器、血管の損傷により腹腔内に出血が起こり、血液が貯留します。
 血胸と同様に腹腔内出血の有無も、病院に到着する前に正確に診断することは難しいです。
 腹部の膨満(ぼうまん)は数リットルの血液が貯留しないとはっきりと認識できないことが多いため、ハンドルやシートベルトの痕など腹部外表面の外傷の有無、押すと痛むといった触診上の圧痛の有無などで、腹腔内出血の疑いがあると判断します。
 病院に搬入後、エックス線検査、超音波検査、CTなどで確定診断をします。

止血が必要

 

 ごく少量の出血の場合、自然に止血されることもあります。
 出血が多い場合、出血が急激に増えている時、呼吸や循環の状態が悪い時などは、積極的に止血を行う必要があります。
 止血には手術がもっとも一般的ですが、最近はカテーテルによる血管内治療(TAE)によって、さまざまな物質を注入して出血している血管を詰める治療法も普及してきています。


後腹膜腔の内出血は?

骨盤骨折

 

イメージ画像 骨折単独で死亡することがあるとは想像しにくいと思いますが、骨盤骨折はそれだけで死亡する原因になることがあります。

慎重な対応が必要

 

 骨盤骨折の場合、背中〜腰〜臀部にかける後腹膜腔と呼ばれる空間に、大量の血液が貯留します。
 交通事故、墜落事故などで腰を強打した人に、骨盤骨折はよく起こります。
 骨盤骨折も病院に到着する前に正確に診断することは困難です。
 無理な触診をすると、さらに出血量が増える場合があるため、救急隊員も慎重に観察することになります。病院に搬入後、エックス線検査、CTなどで確定診断します。

カテーテルによる血管内治療

 

 治療法はもちろん手術があります。ですが、カテーテルによる血管内治療(TAE)が、止血の手段として非常に有効だとされています。


骨折の内出血は?

骨折で死亡することは少ない

 

イメージ画像 骨盤以外の骨折が直接的な原因で死亡することは少ないです。
 しかし、大腿骨のような大きな骨の骨折や、数多く骨折した場合などは、総出血量が多くなり、生命の危険に繋がることがあります。


内出血の量は?

部位による内出血量

 

 各損傷にともなう、およその出血量は以下の通りです。

血胸 1000ml〜3000ml
腹腔内出血 1500ml〜3000ml
骨盤骨折 1000ml〜4000ml
大腿骨 1000ml〜2000ml
下腿骨 500ml〜1000ml
上腕骨 300ml〜500ml
床や衣類の血液 約30cm四方で100ml
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