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胸部打撲


胸部打撲ってどんな病気(怪我)?

胸部の強打

 

イメージ画像 胸部の外傷は、刺創(しそう)、切創などの鋭的外傷(えいてきがいしょう)と、交通事故などの鈍的外傷とに分類されます。胸部打撲傷は、鈍的外傷に分類されます。
 胸部打撲は、交通事故、高所からの墜落事故など、鈍的(どんてき)な外力によって胸壁を強打するものです。
 胸壁の骨折、創傷(そうしょう)などが生じ、場合によっては胸腔内の臓器損傷を伴うこともあります。慎重に対処しなければならない損傷形態です。

骨折と内臓損傷

 

 胸部打撲による損傷は、弾力のある左右12対の肋骨(ろっこつ)、胸骨(きょうこつ)、左右の鎖骨(さこつ)・肩甲骨(けんこうこつ)、12個の胸椎(きょうつい)からなる胸郭(きょうかく)の損傷があります。この胸郭によって、肺、心臓、気管、大動脈、食道、横隔膜などが保護されています。
 胸腔内にある心臓、肺、気管・気管支、食道、大動脈・大静脈、横隔膜(おうかくまく)などの内臓損傷があります。


胸部打撲の原因は?

事故や暴行など

 

イメージ画像 交通事故、労災事故、転落・転倒、スポーツ事故、高所からの墜落、暴行などが原因となる場合が多いです。
 胸部打撲で重傷になるものは、胸壁に大きな外力が加わる交通事故、転落事故、土砂崩れなどで起きやすくなっています。

車に関係する事故

 

 交通事故では、自動車乗車中の正面衝突事故で多くみられます。自動車のハンドルにぶつかるハンドル外傷、シートベルト外傷、エアバッグ外傷、ダッシュボードにぶつかるダッシュボード外傷が良く知られています。
 二輪車・バイク・自転車の転倒事故、歩行者が車にはねられ地面に叩きつけられる事故なども多く存在します。


胸部打撲の症状は?

軽い打撲

 

イメージ画像 胸部打撲の程度が軽いものでは、打撲部の疼痛、腫れ、皮下出血がみられる程度です。

激しい打撲

 

 打撲の程度が激しい場合には、肋骨骨折や胸骨骨折を起こして疼痛はより激しさを増します。呼吸運動に合わせて痛みは増強するようになり、呼吸困難をともなうようになります。

ものすごく激しい打撲

 

 非常に大きな力が胸部に加わった打撲では、単なる胸郭の損傷のみでは終わりません。
 胸腔内臓器の損傷もともない、呼吸困難、皮膚などが紫色になるチアノーゼ、脈拍が早く血圧が下がり体温が低下するショック症状が現れ、生命の危険は急激に増大します。


胸部打撲の診断は?

まずは視診を入念に行う

 

イメージ画像 鈍的胸部外傷では、視診時に、胸部だけではなく、着衣を脱がせて全身を診る必要があります。全身にわたって、挫創、皮下出血、腫脹部位、疼痛部位の有無を検査します。
 このほか、聴診、触診、打診によって身体所見を把握します。

精密な検査

 

 視診後に、血液検査、尿検査、心電図検査、胸部単純エックス線撮影、胸部CT検査などを行って診断を確定します。
 意識レベルの低下した患者さんの場合、頭部外傷の合併、外傷性ショック、出血性ショックなどが疑われるため、血圧の変動、呼吸数、呼吸の深さ、努力呼吸、胸郭の変形に注意します。
 皮下の触診で雪を手で握ったブツブツという握雪感(あくせつかん)があれば、皮下気腫であり気胸を疑います。
 胸郭の呼吸運動で吸気時に陥没し、呼気時に膨らむ奇異呼吸があれば、多発肋骨骨折によるフレイチェストであり、肺挫傷をともなっている場合が多くなります。
 頸静脈の怒張(どちょう)が強ければ心タンポナーデ、緊張性気胸(きんちょうせいききょう)など、急性循環・呼吸不全が疑われます。


胸部打撲の治療法は?

軽度の胸部打撲

 

イメージ画像 軽度の胸部打撲では、安静を保ち、消炎鎮痛薬を内服し、損傷部に冷湿布を貼ることによって、数日間で軽快します。
 挫傷(ざしょう)をともなっている場合は、その部分の洗浄、消毒を行う必要があります。

重傷度の胸部打撲

 

 胸郭の骨折、胸腔内の臓器損傷をともなう場合には、それぞれの損傷に応じた治療が必要になります。


胸部打撲の応急処置は?

素人判断は危険

 

イメージ画像 胸部打撲の程度は、極めて軽症のものから最重症で命に関わるものまで、千差万別です。
 生命に関わる重度の損傷をともなっている場合でも、骨性の胸郭に囲まれた胸腔内の病変はとらえにくく、体表面に損傷を示唆するような症状はほとんど現れないことも良くあることです。
 一般の人が胸部打撲の重症度、内臓損傷の有無を適切に判断することはほぼ不可能です。

迷わず119番

 

 胸部打撲を受けた患者さんが、胸痛や呼吸困難を訴えている場合には、すぐに119番通報をするようにしましょう。
 迅速に救急隊を要請し、医療機関を受診し、適切な診断、適切な治療を受けることが大切です。

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