そらいろネット > 家庭の医学 > 皮膚の病気 > 皮膚炎を起こす海の生き物
夏になると、海岸や砂浜、磯浜など、海辺に出掛けて、海水浴や磯遊びを楽しむ機会も多くなると思います。 海は地球上の生命の源でもあり、海中には数十億種類以上もの生き物が生活していると考えられています。 海辺で様々な生き物と遭遇し、その生態を観察することは、子供にとっても、大人にとっても、楽しいひと時です。
海に生息する生き物の中には、鋭い歯を持っていたり、トゲを持っていたり、場合によっては毒針を持っているものも存在します。 不用意に近付けば、怪我をしてしまうことも少なくありません。 ちょっとした不注意で怪我や事故を起こしてしまい、せっかくの楽しいひと時が台無しになってしまうこともあります。
このページでは、海辺で楽しむために注意すべきことを掲載しています。 過度に恐怖心を抱く必要はありませんが、海の生き物をより詳しく知ることで、安全に自然と触れ合い楽しむことができるようになります。
身近に生息する海の生き物でも、身体を傷付ける生き物が存在します。
オニヒトデ、ガンガゼ、オニオコゼなどの生き物は、鋭い毒棘を持っています。毒棘で相手を刺すことで、被害を与えます。 刺された場合、激しく痛みます。場合によっては、アナフィラキシーショックによって死に至ることさえあります。 海の生き物による被害でもっとも多いのは、有毒器官による受傷です。
噛み付いて毒を注入するもの、棘を使って刺してくるもの、強力な顎を持ち噛み付いて指などを噛みちぎるものなど、物理的に攻撃をしてくる生き物がいます。 ウツボの仲間の多くは、毒はないものの、鋭い歯を持っており、噛み付かれると大きな傷を負ってしまいます。 マダラウミヘビは、数本の毒牙を使って噛み付くため、出血は少量であっても、強い毒によって重症化してしまいます。 アカエイでは、尾にノコギリ状の棘を持っており、刺されると傷が大きく広がってしまいます。 こうした生き物は、こちらから刺激を与えない限り、攻撃してくることは少ないと考えられています。万が一、出会ってしまった場合は、相手に刺激を与えないようにしましょう。
海辺には人に危害を与える生き物も、たくさん生息しています。 しかし、ほとんどの場合は、注意することで、危険から回避できたり、被害を少なくすることができます。 海辺で楽しく遊ぶためには、知っておきたいポイントがあります。
どのような生き物が、人の身体に危害を加えるのかを知ることが大切です。身体を傷付けるような生き物には、近付かないようにします。
生き物によって、活動場所、活動する季節、活動時間は異なります。 危険な生き物は、いつ頃、どのような場所に生息しているのかを知っておくようにしましょう。生き物に出会ってしまっても、対応しやすくなり、危険を回避できます。
人にとって危険な生き物であっても、それは人間を中心とした考え方になります。 生き物が、刺したり、噛んだり、毒を持っていたりするのは、外敵から身を守るためのものです。生き物が攻撃をしてくるのは、驚いたり、危険を感じたりした時です。 こちらから刺激を与えるようなことをしなければ、攻撃されることはほとんどありません。
有毒器官を持った生き物は、死んでいても毒や器官は働いており、危険なことが多いです。 死んでいるように見えても、実は生きているということもあります。 死んでいるからと言って、興味本位で手を出したりするのは控えるようにしましょう。
自然のサンゴ礁や岩場で遊ぶ場合、水着の上から、ウエットスーツ、ラッシュガード、Tシャツなどを着るようにしましょう。 手には軍手をつけ、裸足ではなくマリンシューズを履くなどによって、被害を防ぐことができます。特にマリンシューズは、鋭利な物から足の裏を守ってくれる上、動きやすくなるので、必ず履くようにしましょう。
海中や海辺には、数十億種類以上もの生き物が生息しています。 その中には、鋭い歯を持つもの、鋭利な棘を持つもの、毒針を持つものなどがいます。海水浴や磯遊びなどで、人の身体に傷をつけるものもたくさん生息しています。しかし、身近な海に生息し、出会うことの多い生き物は、それほど多くはありません。 神経毒を持つ生き物の場合、運動失調を起こすことがあるため、溺れたり、場合によっては溺死してしまうこともあります。不用意に触ったりしなければ、被害に遭うことはありませんので、必要以上に恐れる必要はありません。
太平洋沿岸など、土用波の頃に多く現れる、青色の浮き袋を持ったクラゲです。 とても長い触手を持っており、触手に触れると激しい電気的な痛みを感じます。刺された場所はミミズバレになり、その後、激しい痒みが起こります。頭痛、嘔吐、発汗、めまい、筋肉痙攣、呼吸困難など、全身症状を起こすこともあります。
海藻のように見える、クラゲの仲間です。 海岸の磯に生息しており、触れると針の束で刺されたような痛みを感じます。その後、痒みをともなったミミズバレになります。
日本国内では、沖縄に生息しています。傘が半透明をしているため、水中では目立ちません。 触手に触れると、毒の刺激によって焼けるような痛みを感じ、水疱、潰瘍ができます。呼吸停止などのショック症状を起こし、溺れて溺死してしまうこともあります。
8月以降、太平洋沿岸などに出現するクラゲの仲間。傘の高さは約3cmの小型のクラゲで、4本の桃色の触手を持ちます。 触手に触れると、痛みを感じた後に、痒みをともなったミミズバレになります。海水浴客の被害が多いクラゲですが、カツオノエボシほど毒性は強くありません。
生きているサンゴの触手は、クラゲと同様に刺胞を持っています。 皮膚の薄い部分の触手が触れると、刺されてしまい、痛みを感じ、赤く腫れます。
日本国内では、沖縄に生息しています。褐色の海藻のような姿をしており、大きさは10cm〜20cmになります。イソギンチャクの仲間では、最も強い毒性を持ちます。 刺されると、激痛とともに赤く腫れ、水疱などができます。 身近な生き物図鑑:身近なクラゲ・イソギンチャク・サンゴ図鑑
日本国内では、奄美大島や沖縄などのサンゴ礁に生息する、イモガイの仲間。ノコギリのような歯をした歯舌歯などに、毒器官があります。 歯舌歯で刺されると、5分後〜10分後に発声、起立、歩行、呼吸などの随意運動不能になります。浅い海であっても、身体が動かなくなってしまい溺れてしまいます。
日本国内では、沖縄などに生息しているヒョウモンダコの仲間。体長は約10cmで、黄色に円盤状の青色斑紋があります。 噛まれると、痛みと出血をともないます。フグ毒と同じ毒を注入するため、局所の麻痺、口渇感、嘔吐、運動失調、呼吸困難、意識不明などになります。短時間で死に至ることもあります。 身近な貝殻図鑑
本州中部以南に生息し、海面を遊泳します。体表には多数の剛毛が毛虫のように生えています。 毛に触れると、毛が抜けて皮膚に刺さり、痛みを感じ、赤く腫れます。のちに、痒みが現れます。釣りをしていると、釣れてしまうこともあります。
本州中部以南の、砂中や岩石下に生息しています。 毛は針状で軽く、刺されると多くの毛が刺さり、患部に残ります。刺されると激しい痒みと痛みを感じ、皮膚炎を起こします。 身近な生き物図鑑:いろんな生物図鑑
日本国内では、奄美大島や沖縄などのサンゴ礁に生息するヒトデの仲間。11本〜16本の腕を持つ大型のヒトデで、紫赤色の背面に2cm〜3cmの鋭い棘が多く生えています。 棘に刺さると、激痛を感じ、赤く腫れた後に、小膿疱ができて、なかなか治りません。嘔吐などの症状を起こすこともあります。
神奈川県の三浦半島から沖縄にかけての、岩礁やサンゴ礁に生息するウニの仲間。棘は細い針状で、とても長いです。 刺されると、激痛が走り、赤く腫れます。刺されると、棘は折れて患部に残ります。
神奈川県の三浦半島から九州にかけての、浅海に生息するウニの仲間。長い棘は持っていないものの、短い花弁状の棘を多く持っています。 棘に触れると、強い痛みを感じます。軽いめまい、舌・唇・まぶた・筋肉などの麻痺、失語、体温低下、呼吸困難などが起こります。 身近な生き物図鑑:身近なウニ・ヒトデ図鑑
本州中部以南の岩礁やサンゴ礁に生息するカサゴの仲間。胸びれと背びれが非常に発達しており、背びれの前半に12本の細長い毒棘を持ちます。 刺されると激痛と腫れが起こり、指先を刺されても肩まで腫れあがることもあります。
本州中部以南に生息するカサゴの仲間。体長は20cm以上になり、胸びれや背びれに、多くの毒棘があります。 刺されると激痛を感じて、患部が腫れます。
本州中部以南の沿岸に生息する、オコゼの仲間。体長は約10cmと小型で、背びれに鋭い毒棘を持ちます。 刺されると激しい痛みが続きます。釣りをしていると、釣れることの多い魚です。
本州中部以南に生息する魚。背びれ、胸びれ、腹びれ、尾びれに多くの毒棘を持ちます。 触れると激痛を感じ、発赤、発熱、腫脹、麻痺、嘔吐などの症状を引き起こします。
本州中部以南の岩礁の影に生息する魚。体長は約80cmになり、カミソリのように鋭い歯を持ちます。 毒はありませんが、噛まれると激しく痛みます。
本州中部以南の沿岸に生息し、幼魚は群れをなして泳ぎます。背びれと、左右の胸びれに合計3本の鋭い毒棘を持ちます。 刺されると激痛を感じ、赤く腫れ、浮腫が患肢全体に及ぶこともあります。釣りをしていると、釣れることの多い魚です。
体長1mにも達する、大型のエイの仲間。ムチ状の尾の背面基部寄りに、ノコギリ状の鋭い毒棘を持ちます。 受傷すると激痛を感じ、傷は大きく開き、毒によって紫赤色に腫れます。腫れはひどく、壊死を起こすこともあります。血圧低下、嘔吐、下痢、筋肉麻痺、呼吸困難、失神を起こすこともあります。干潮の干潟などで、誤って踏み付けてしまうことがあります。 身近な生き物図鑑:身近な魚類図鑑
日本国内では、奄美大島や沖縄のサンゴ礁に生息するウミヘビの仲間。それほど多く生息しているわけではありませんが、ウミヘビの仲間では攻撃的な性格をしており、触ろうとしたり、いたずらすると噛まれます。 強い神経毒を持ち、噛まれると全身症状を起こし、数時間で死に至ることもあります。 身近な生き物図鑑:身近な爬虫類図鑑
海で生き物に刺されたり、噛まれたりした場合、症状は、生き物の種類によっても異なりますし、個人差も大きくなります。 怪我をした場合、軽症であっても、できるかぎり早めに医療機関を受診するようにしてください。
怪我をした人を休ませ、安静にさせます。 自分自身が怪我をした場合、あわてずに、平静を保つようにしてください。
刺されたり、噛まれたりした部位は、なるべく動かさないようにしてください。
刺されたり、噛まれたりした場所が海中の場合、あわてずに陸に上がってください。周囲に人がいる場合は、人と一緒に陸に上がるようにしましょう。 陸に上がってからは、走ったり、急いで歩いたりせず、ゆっくりと歩くようにして、医療機関に向かってください。
お酒などのアルコール類などは、飲まないようにしてください。