そらいろネット > 家庭の医学 > 皮膚の病気 > ステロイド外用薬の使い方
患者の立場からステロイド外用薬を見ると、「ステロイド外用薬を使うのは、副作用が強いから怖い」、「ステロイド外用薬だけは使いたくない」と考えてしまいます。 でも、それは本当なのでしょうか?
ちまたでは、ステロイド外用薬(副腎皮質ホルモン)に関する情報がたくさんあります。 患者さんがステロイド外用薬について認識していること、不安に感じていることは、本当に事実でしょうか。 ステロイド外用薬について正しい知識が得られれば、患者さんが感じている不安や心配は解消されるでしょう。 つらい症状を少しでも早く改善し、快適な生活を送るために、最適な治療を受けられるようにしましょう。
ステロイド外用薬を安全、かつ効果的に使用するためには、正しい知識を身に付ける必要があります。 ステロイド外用薬の特性について良く理解し、正しく使用することが大切です。
ステロイド外用薬は炎症を抑えるための薬で、病気そのものを治す薬ではありません。 医者は、患者さんの症状に合わせて、ステロイド外用薬を使用するかどうか決めます。病気によっては、薬はすぐにやめることができる場合がたくさんあります。
病気によっては、長期間に渡って治療を続けなければいけない病気もあります。 こうした病気の場合でも、ステロイド外用薬だけの治療に頼るわけではありません。使用量は治療開始時に比べると、次第に少量で済むようになります。
長期間に渡る治療が必要な場合、副作用が起こらないように薬を上手にコントロールしながら使用します。 上手に使用して薬をコントロールしながら、症状の改善をしていきます。
慢性の病気の場合、症状が落ち着いているように見えても、病気が治癒したわけではありません。 自己判断でステロイド外用薬の使用を中止してしまうと、病気は再び勢いを増して、場合によってはさらにひどい症状になってしまうこともあります。 一般的にはこれを、「ステロイド外用薬のリバウンド」と呼ばれています。 しかしこれは間違った考え方で、使用の中止が不適切だったため、病気が悪化してしまった状態です。
ステロイドの内服や注射での治療を続けている時、薬の使用を突然中止すると、リバウンドが起こることがあります。 元々の病気の症状以外に、全身的な強い症状が現れることをリバウンドといいます。 病気が悪化してしまった場合は、リバウンドとはいいません。
ステロイド外用薬で言われているリバウンドのほとんどは、元々の病気の症状が強くなったものと考えられています。 症状を悪化させないために、自己判断で薬を中止せず、医師の指示通りに、上手に減らしていくことが大切です。
ステロイドの内服薬や注射による治療を長期間に渡って続けていると、体内でステロイド濃度が高い状態が続き、骨がもろくなってしまうことがあります。
ステロイド外用薬は、全身への影響を減少させ、皮膚にだけ作用するように開発・作成された薬です。 通常の使用量では、体内に入るステロイドは微量のため、骨に悪影響を与えることはほとんどありません。
ステロイド外用薬を使用した場合、全身的な問題が出ることはありませんが、薬を塗った部分の皮膚は免疫力が低下します。 そのため、薬を塗った部分は、細菌、カビ、ウイルスが付いて、ニキビやおできができやすくなります。
ニキビやおできができやすくなる状態になると、今までとは異なる症状が現れるようになります。 薬を使用していて症状が変わってきたと感じたら、すぐに医師に相談するようにしてください。
早期に薬の使用を中止し、適切な治療を行うことで、短期間のうちに治すことができます。
乳幼児にステロイド内服薬や注射を、長期間に渡って使用した場合、成長障害が起こる可能性があります。 ステロイド外用薬の場合、医師の指示通り適量を塗って使用していれば、ステロイドが体内に入る量はごくわずかのため、成長障害の心配はほとんどありません。
乳幼児の場合は、十分に注意しながらステロイド外用薬を使用する必要があります。 大量に、長期間に渡って使用しなくても済むように、医師の指示をしっかりと守ることが大切です。
日焼け後に肌が黒くなるのと同様に、皮膚の炎症が治った後、色素が残って肌が黒くなることがあります。 ステロイド外用薬を塗った後に色が黒くなったように感じるのは、炎症で起きる赤みによって見えなくなっていた色素が、薬の使用によって炎症が治ることで、色素が目立つように感じられるためです。 肌の色素は、時間と共に次第に薄くなっていきます。
ステロイド外用薬を使って早く炎症を治し、再び悪化させないように気を付けることで、色素が残ることを防ぐことができます。
妊娠中の薬の使用は、胎児への影響を考えると、誰もが不安に感じるものです。 ステロイド外用薬による治療が必要な皮膚症状がある場合、薬を使わずに症状を悪化させてしまうと、不眠などの原因になってしまうこともあり、妊娠への悪影響が心配されてしまいます。 産婦人科、皮膚科の医師に良く相談し、不安があればそれを伝え、症状に合わせた薬を使っていくことが大切になります。
ステロイド外用薬を使用すると、薬が皮膚に蓄積するため、さまざまな副作用が現れるのではないかと心配する人が多くいます。 しかしこれは、間違った考え方です。
ステロイド外用薬が皮膚に蓄積すれば、使用を中止しても、しばらくは効果が持続するはずです。 しかし実際には、薬を突然中止することで、症状が悪化してしまいます。このため、薬が皮膚に蓄積するようなことはないことがわかります。
薬の吸収が良い顔や、お年寄りの皮膚では、長期間に渡って強いステロイド外用薬を使用し続けると、血管が浮いてきたり、皮膚が薄くなったりすることがあります。 こうした副作用は、適度な強さのステロイド外用薬を、適切な期間、薬を使わない期間を作るなどして使用すれば、予防することができます。
副作用を防止するため、自己判断で長期間に渡って使用し続けないようにしてください。
ステロイド外用薬が広く使われるようになった1950年代以前から、アトピー性皮膚炎で白内障になる患者さんがいることが知られていました。 ステロイド外用薬が使用されるようになってからも、発生率に変化はありませんでした。 現在では、アトピー性皮膚炎によって白内障が起こるのは、痒みが原因で目の周りをこすったり、叩いたりするなど、外傷性の原因によるものと考えられています。 家庭の医学:アトピー白内障・アトピー網膜剥離とは?
ステロイド外用薬が目の中に入らないように注意し、目の周りの症状を良い状態に保って、刺激しないことが大切です。