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アトピー白内障・アトピー網膜剥離


アトピー白内障・アトピー網膜剥離の概要は?

おもな症状

 

アトピー性皮膚炎のため顔面の痒みが強く、皮膚は紅潮して乾燥し、ザラザラしています
白内障は水晶体の中心部から混濁してくることが多いので、初期には昼盲症(日中の明るい場所で見えにくく、暗い場所で良く見える)
老人性白内障に比べて進行が早く、視力低下も早い
網膜剥離は視野狭窄や視力低下をきたすが、剥離の範囲が狭い場合や、白内障で視力が低下している場合、網膜剥離に気が付かないことがあります

起こりやすい合併症

 

白内障の手術後に網膜剥離が発生することがあるので、手術後は定期的に眼底検査を受ける必要があります
網膜剥離では通常は眼圧が低くなりますが、アトピー網膜剥離では虹彩炎をともなうことが多く、眼圧が上昇することがあります(シュワルツ症候群)
角膜炎(かくまくえん)、結膜炎(けつまくえん)、眼瞼縁(がんけんえん)をともなうことがありますが、アトピー性皮膚炎にともなうアレルギー症状と考えられるので、ステロイドや抗炎症剤の軟膏・点眼薬を使用します


アトピー白内障・アトピー網膜剥離ってどんな病気?

さまざまな眼の病気

 

痒み アトピー性皮膚炎は、皮膚がかゆくなって赤くなる病気です。
 この病気に伴って、眼にも結膜炎、まぶたの皮膚炎、円錐角膜(えんすいかくまく)、ぶどう膜炎などの症状が現れてしまいます。
 とくに、15歳〜35歳くらいの青壮年にみられる成人型アトピー性皮膚炎では、白内障や網膜剥離などの眼合併症をともなう人が増えてきています。

白内障と網膜剥離

 

 白内障は、カメラに例えるとレンズが濁ってしまう病気です。
 網膜剥離は、フィルムの膜面が剥がれてしまう病気です。


アトピー白内障・アトピー網膜剥離の原因は?

アトピー性皮膚炎の原因

 

 アトピー性皮膚炎の本当の原因は、まだわかっていません。ただし、アトピー性素因を持っている人が発症しやすいということはわかっています。
 爪で掻くと皮膚炎が悪化してしまうことをわかっているので、無意識のうちに顔面や眼瞼を叩く癖があり、そのため眼球打撲を繰り返して発症すると考えられています。
 また、水晶体や網膜も発生学的には皮膚と同じ外胚葉と呼ばれる組織からできているので、アトピー性皮膚炎のある人は水晶体や網膜も弱いとも考えられています。

白内障の原因

 

 アトピー性皮膚炎にともなう白内障の原因としては、水晶体蛋白に対する免疫説、ステロイド薬の副作用説などが考えられています。
 目の周りが痒くなるため、そこを手で叩くことが白内障の誘因になっています。

網膜剥離の原因

 

 網膜剥離も、白内障と同様にはっきりした原因はわかっていません。
 痒みを止めるための殴打による外傷が、誘因のひとつとなっています。


アトピー白内障・アトピー網膜剥離の症状は?

白内障の症状

 

目 20歳前後の若い人の両眼にみられます。
 視力が低下してきて気が付きますが、進行の程度は人それぞれです。

網膜剥離の症状

 

 白内障同様に、若い人にみられます。
 普通の網膜剥離とは異なり、網膜の最周辺(中心から離れたところ)に孔(あな)があり、進行が遅く、自分では気が付かないことが多いです。
 眼科で定期的な眼底検査を受けることが大切になります。


アトピー白内障・アトピー網膜剥離の診断は?

白内障の診断

 

検査 細隙灯(さいげきとう)を使った眼科用の顕微鏡で検査して診断します。
 瞳孔(どうこう)を薬を使って開いて検査をすると、水晶体が広範囲に観察できます。
 白内障が進行してしまい眼底検査ができない場合、超音波検査や網膜電図を測定し、網膜の状態を類推します。

網膜剥離の診断

 

 眼底検査で診断できることがほとんどです。
 視力が低下しているかどうかを検査し、視野検査で網膜剥離の広さを記録します。
 十分に眼底が検査できなかった場合、超音波検査や網膜電図の測定を行います。
 もっとも重要になるのは、眼底検査で網膜の裂孔(れっこう)の位置を明らかにすることです。治療法を決定するうえで、必要になる検査です。

アトピー白内障・アトピー網膜剥離の治療法は?

白内障の治療

 

手術 手術を中心にした治療になります。
 老人性白内障の手術を同じで、超音波水晶体乳化吸引術(ちょうおんぱすいしょうたいにゅうかきゅういんじゅつ)を行います。若い人では水晶体核が硬くなっていないので、超音波はあまり必要ではありません。
 同時に、適切な眼内レンズを眼内に挿入します。
 手術の傷は小さいので早いうちに日常生活に戻れますが、洗顔、洗髪、水泳などの再開は、主治医と相談してください。

網膜剥離の治療

 

 網膜裂孔の部位に眼球外からシリコン棒などを当てたり、眼球の赤道部をシリコンなどで鉢巻き状に縮めたりします。
 裂孔が大きいときや、増殖組織が多いときは、硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)を行います。


眼内レンズ・人口水晶体の仕組み

白内障治療の眼内レンズ

 

 水晶体はセロファンのような薄い透明なカプセル状の水晶体嚢(すいしょうたいのう)に包まれた組織で、白内障では、その中身の水晶体皮質や核が濁ってしまいます。
 濁った水晶体の中身だけを取り除き、水晶体嚢は一部を除いて残しておきます。眼内レンズはこの水晶体嚢の中に挿入され、本来の水晶体の代わりをします。
 眼内レンズが移植されれば、以前とほとんど同じように見えるようになります。

眼内レンズの材質と特徴

 

 アクリル素材やシリコン素材など、小さな切開でも眼内レンズを挿入できるように柔らかい素材が主流になっています。眼内に挿入する際、折り畳んで入れることができるため、手術の傷口が小さくて済みます。
 目の状況によって、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)というプラスチック製の硬い素材が使用されます。
 形状は直径約6mmの円形のレンズが主流で、支持部と呼ばれる脚が2本ついています。この足を水晶体嚢に入れて、レンズを固定します。
 眼内レンズの挿入に当たって、手術前の検査によって、その人にあった度数のレンズが使用されます。

優れた性能と利便性

 

 自然な見え方が得られるのが眼内レンズの特徴で、通常は数十年以上の品質が維持されているので、劣化して入れ替える心配がありません。
 眼内レンズにさまざまな機能を備えたものも開発されています。
 ある程度、遠近両方が見える多焦点レンズ、無色透明なレンズばかりでなく自然な色に近い見え方が得られる着色レンズ・イエローレンズなどがあります。多焦点レンズはコントラスト感度が低下する欠点があるので、主治医とよく相談してレンズを選ぶようにしましょう。


アトピー白内障・アトピー網膜剥離かなと思ったら?

白内障かな?

 

医者 仕事や学業に支障をきたすような視力になったら、手術を行うようにします。
 白内障の手術後、メガネなしでも遠近どちらも見えることがありますが、多くの場合、メガネが必要になります。手術によって目のレンズを入れ替えているので、手術前のメガネが合わなくなることもあります。
 手術後は度数が安定しないため、メガネを作り直すには数ヶ月してからにしましょう。

網膜剥離かな?

 

 視力が低下してきたら、相当進行していると考えられます。
 手遅れになると視力を失ってしまうこともあるので、早急に入院して手術を受けるべきです。


アトピー白内障・アトピー網膜剥離の予防法は?

眼科へ

 

眼科へ 自覚症状がなくても、定期的に眼科専門医の診察を受けるようにしましょう。

参考

 

家庭の医学:アトピー性皮膚炎とは?
家庭の医学:子供のアトピー性皮膚炎とは?
家庭の医学:アトピー性皮膚炎を支える家族の人へ

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