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紅斑(こうはん) 丘疹(きゅうしん) 漿液性丘疹(しょうえきせいきゅうしん)
皮膚の苔癬化(かいせんか) 強いかゆみ
皮膚に接触した物質の刺激、またはアレルギー反応によって生じる皮膚炎のことです。 刺激性接触皮膚炎は、刺激物が許容濃度を超えて皮膚についた場合に起こる急性毒性皮膚炎。弱い刺激の繰り返しで生じる慢性刺激性皮膚炎とに分類されます。
アレルギー性接触皮膚炎は、ある物質にアレルギーを持つ人の皮膚に、その物質が接触することで起こる皮膚炎です。 また、ある物質が皮膚につくだけでは大丈夫なのに、その物質がついた皮膚に光が当たるとアレルギー反応が起きる、光アレルギー性皮膚炎もあります。
急性毒性皮膚炎では、酸、アルカリなどの家庭用化学物質・業務用化学物質。灯油、ガソリン、有機溶剤などが原因となります。 通常の使用方法では刺激を起さない製品でも、使用法を誤ると皮膚炎を起すこともあります。
慢性刺激性皮膚炎は、肌着との摩擦、洗剤、リンスなどの弱い刺激の繰り返しが原因となります。
アレルギー性接触性皮膚炎では、化粧品、毛染め剤、香水、アクセサリーの金属、ゴム製品や皮革製品の加工に使われる化学物質、植物、果物、外用薬・消毒薬・点眼薬など、身の回りにある物の多くが原因となってしまいます。
刺激性皮膚炎では、刺激が少ない場合は、物質が触れた部位だけに鱗屑だけがみられます。 刺激の強い物質に触れた場合、かゆみや痛みをともなう発赤、丘疹(きゅうしん)、小さな水疱(すいほう)などがあらわれます。時には火傷のように、大きな水疱になり、激しい痛みがみられることもあります。
アレルギー性接触皮膚炎では、原因物質に触れてから約12時間後に局所のかゆみから始まります。次第に丘疹や紅斑があらわれ、24時間〜48時間後には腫れ、水疱などがみられ、その後は次第に症状が軽くなっていきます。 慢性的に接触皮膚炎を繰り返すと、皮膚は次第に厚い紅斑になっていき、かき傷やかさぶたもみられるようになります。 光アレルギー性皮膚炎は、原因物質に触れて、光が当たったところだけに紅斑と腫れがみられます。
下着、生理用ナプキン、薬剤などの刺激によって、接触部位にかゆみをともなった発赤、腫脹(しゅちょう)がみられます。 接触性皮膚炎でも、尿、便、帯下(たいげ)、月経血、汗などによって二次的に細菌感染を生じ、膿や痛みをともなうこともあります。
刺激物質を除去して、局所の清潔を保つことが大切です。 石鹸などの刺激は避けて、温水などによる洗浄に留めておきます。薬剤としては、レスタミン軟膏などの抗ヒスタミン薬、リンデロンV軟膏などの副腎皮質ステロイド薬など、抗アレルギー作用のある軟膏を中心として処方されます。 細菌感染をともなっている場合は、抗生剤を含んでいるリンデロンVG軟膏などの副腎皮質ステロイド薬を用います。
思いがけない物質が刺激性皮膚炎や、アレルギー性接触皮膚炎の原因になっていることがあります。 皮膚科を受診して、症状やその部位から原因物質を推定し、続いてパッチテストで確認します。
化学物質、化粧品、薬剤などに対するアレルギーの有無を調べる検査です。それらの物質を背中や上腕に貼って調べ、接触皮膚炎の原因を決めるために重要な検査です。 接触皮膚炎以外にも、アトピー性皮膚炎、手湿疹の悪化因子の検査、内服している薬剤や歯科金属によるアレルギーの検査にもパッチテストを行います。
接触皮膚炎や、薬剤アレルギーの原因として疑われる物質を、48時間貼り付け、その24時間後にその部位に紅斑(こうはん)や浮腫(ふしゅ)などによる腫れ、または丘疹(きゅうしん)などのブツブツができたら、陽性と診断します。 判定が終わるまでは、パッチテストを行っている部位は、入浴などで濡らさないように注意します。
普段、意識せずに使用している思わぬ物質に対するアレルギー反応が、皮膚炎の原因や悪化に関係していることがあります。どのような物質でパッチテストを行うかは、検査の前に皮膚科医とよく相談することです。
原因となる物質に触れないようにすることが、一番の治療法となります。 皮膚科を受診して原因物質が含まれている製品を聞き、その物質が含まれていない代替製品を紹介してもらいましょう。
皮膚の炎症や、かゆみを和らげるには、ステロイド外用薬の塗付と、抗ヒスタミン作用のある内服薬が効果的です。 症状が激しく、範囲が広い場合には、短期間ステロイド薬を内服します。
はじめは、原因物質が触れたところだけに症状がみられます。しかしその後、原因物質への接触を続けていると、範囲が広がって全身に及ぶこともあります。 はやめに皮膚科を受診して、原因物質を確認することが大切となります。