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尿道分泌物 排尿痛 尿道不快感
非淋菌性尿道炎(ひりんきんせいにょうどうえん)とは、淋菌(りんきん)以外の病原体によって起こる尿道炎の総称です。 病原微生物には、約半数がクラミジアで、その他には、マイコプラズマ、真菌、原虫、ウイルスなどがあります。 ひとくくりに『クラミジア感染症』と呼ばれることもあります。
性行為を介して感染する性感染症(STD)で、男性に発症します。女性の腟だけでなく、咽頭にも棲息することがあります。 女性の場合、病原菌を保有していても、自覚症状のないことが多いので、気が付きづらい病気です。
淋菌以外の病原体が尿道に感染することによって起こり、その症状は淋菌性尿道炎に似ています。症状だけで、淋菌性か、非淋菌性かを鑑別することは困難です。
症状は治療しなくても4週間ほどで消えますが、放置しているとさまざまな合併症を引き起こします。 クラミジア子宮頸管炎を治療しないでいると、感染が卵管に入りこみ、不妊や子宮外妊娠の原因になります。男性の場合は、クラミジアから精巣上体炎を起こすことがあり、片方または両方の陰嚢が腫れて痛みます。
性感染症は性行為によって伝播(でんぱ)する感染症です。原因病原体はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、B型肝炎ウイルスなどのウイルスのほか、原虫、細菌、寄生虫まで、多岐に渡ります。 罹患率は増加傾向にありましたが、2002年をピークにして減少傾向にあります。
最近では、クラミジアと淋菌(りんきん)が、代表的な原因病原体です。 クラミジア感染症は症状に乏しいことも多いため、調査から性風俗とは無関係の若年者の感染が増加しています。性感染症は、性風俗による特別な感染症ではないことを認識する必要があります。 淋菌感染も増加傾向にあり、薬剤耐性菌(やくざいたいせいきん)が問題となっています。
淋菌以外の病原微生物の尿道感染で起こりますが、発生頻度は淋菌性よりもやや高いと言われています。 罹患者の年齢分布は、淋菌性とほぼ同じです。
おもな感染経路は、いわゆるプロの方々で、50%を占めます。そのほか、恋人やパートナーからの感染が20%、その他が30%となっています。 いずれも接触感染です。
感染から、発症までの潜伏期間は1週間〜3週間です。病原体が異なっていても、潜伏期間にあまり違いはありません。
臨床症状では、淋菌性尿道炎に比べると、やや軽微です。 排尿時に尿道に軽いヒリヒリする痛みを感じます。透明か白く濁った分泌物が出てきます。この分泌物は通常、淋菌感染症で生じるものよりサラサラしています。朝起きた時、外尿道口の開口部は赤くなり、乾いた分泌物でくっついたような状態になっています。頻繁にトイレに行きたくなり、排尿時に痛みを伴い、尿道から膿が出てきます。 中には、より激しい症状で始まる場合もあります。
クラミジアに感染した女性の場合は、ほとんど症状はありません。 たびたびトイレに行きたくなり、排尿痛、下腹部痛、性交痛が起こり、腟から黄色の粘液や膿が出てくることがあります。
肛門の感染症では、痛みが起こり、黄色い膿と粘液の分泌物が出ます。
尿道の膿を培養して検査します。 また、尿道に綿棒を挿入して、尿道粘膜内に隠れている病原微生物を採取して、培養し、検査します。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようにDNAやRNAを増幅する新しい検査方法を使うと、尿のサンプルからクラミジアや淋菌感染症を診断することができます。 性的に活発な15歳〜25歳の女性のスクリーニング検査に推奨されています。
特有の症状はありますが淋菌感染症という証拠がない場合には、非淋菌性感染症と診断されます。
クラミジア、マイコプラズマに対しては、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、レボフロキサシンを用います。アジスロマイシンを用いることもあります。 トリコモナスにはメトロニダゾールを用います。 症状が淋菌感染症と良く似ているのため、淋菌感染症用のセフトリアキソンなどの抗生物質も同時に処方することが多いです。
パートナー同士は同時に治療を受けることをおすすめします。 治療を終了する前に性交を持つと、パートナーに感染の危険があります。また、治療してもパートナーが感染していれば、再び感染してしまいます。