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下痢 腹痛
慢性・急性のなまざまな腸炎
横川吸虫症(よこかわきゅうちゅうしょう)は、台湾のアユから横川定医師が見つけたことにより、横川吸虫症と名付けられました。
大きさ1mm前後の小さな寄生虫が、多数小腸に寄生する病気です。東南アジアに広く分布しています。病害はほとんどありません。
第一中間宿主は、カワニナなどの淡水産の巻貝類です。 第二中間宿主は、アユ、シラウオ、ウグイ、フナ、コイなどの淡水魚になります。 終宿主はこれらの淡水魚を食べたヒトなどの哺乳類や鳥類になります。
アユ、ウグイ、シラウオ、ボラなどを刺身で食べたり、熱を十分に通さないで食べると、感染する危険性があります。調理に使ったまな板、包丁も、熱湯で処理しないと感染する可能性があります。
アユ漁の盛んな島根県高津川流域、シラウオ漁の盛んな茨城県霞ヶ浦周辺の住民に感染者が多い特徴があります。 また、比較的高価に流通している魚から感染することから、都市部で加熱せず魚を食べる機会の多い富裕層や、アユ釣りの愛好家に感染者が多いのも特徴です。
多数が寄生すると、下痢、食欲不振、腹痛などの症状がありますが、少数の寄生ではまったくの無症状で、検便などによって偶然見つかることが多いです。
そのままにしておいても、1年〜2年で自然治癒するので、少数の寄生で症状がなければ治療の必要はありません。 最近では、プラジカンテルが試用されています。
症状がなければ、通院する必要はありません。 症状があらわれた場合、医者に淡水魚の食歴を報告して受診してください。
淡水魚を食べるときは、しっかりと加熱してから食べることが、最大の予防法になります。 少数の寄生では症状があらわれませんが、他の病気の原因になるとも考えられています。