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 骨髄線維症

骨髄線維症ってどんな病気?
骨髄増殖性疾患
  イメージ画像 骨髄線維症は、慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)、真性多血症(しんせいたけつしょう)、原発性血小板血症(げんぱつせいけっしょうばんけっしょう)と共に、骨髄増殖性疾患というグループに分類される血液腫瘍(けつえきしゅよう)です。
 最近では、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、真性多血症、原発性血小板血症・本態性血小板増多症をまとめて、骨髄増殖症候群と呼びます。
 ガンの骨髄への転移、悪性リンパ腫などの病気にともなって起こるものは、続発性骨髄線維症と呼びます。
骨髄の線維化
   骨髄は赤血球、顆粒球、単球、血小板などの血液細胞を作る造血組織で、大人では体の中心に近い胸骨、椎骨、肋骨、腸骨などで活発に働いています。この骨髄組織にコラーゲンでできた線維が増殖し、血液を作る働きが低下します。
 腫瘍細胞によって骨髄の繊維化という変化が起きるため、骨髄の代わりに、脾臓や肝臓で血液が産生されるようになる髄外造血が起きるのが特徴です。
進行は緩慢
   白血球数の増加の他に、初期には血小板数も増加する傾向があります。
 一般的に骨髄線維症の進行は緩慢ですが、進行すると貧血や血小板数の低下が激しくなります。
 一部の症例では、急性白血病と類似の病像を示す急性期(急性転化)へと進展することがあります。

骨髄線維症の原因は?
原因不明の病気
  イメージ画像 原因については、現在はまだ明らかになっていません。造血幹細胞の増殖によると考えられています。
 いわゆる遺伝性疾患ではないので、子孫への影響はありません。

骨髄線維症の症状は?
健康診断で偶然発見
  イメージ画像 中高年に多い傾向があります。
 脾臓の腫れによる左上腹部の圧迫、膨満感(ぼうまんかん)、痛みが多く現れます。脾臓の血管の一部が閉塞して血液が止まり、脾梗塞(ひこうそく)に陥ると、左上腹部に激痛が起きることがあります。
 一方で、無症状の段階で健康診断などによって、血液所見の異常が指摘されて発見されることもしばしばあります。
貧血や出血傾向
   貧血が進行すると、倦怠感(けんたいかん)、動悸(どうき)、息切れなどの症状が目立つようになります。
 血小板が低下すると、皮下出血、鼻血、歯肉出血などの出血症状がみられます。

骨髄線維症の診断は?
慢性骨髄性白血病に似た症状
  イメージ画像 静脈から血液を採取して検査すると、貧血がみられます。
 初期では白血球数が増加し、慢性骨髄性白血病と同じような幼若な細胞から成熟した細胞まで、すべての段階の白血球が認められるのが特徴です。
 血小板は病気の経過によって、増加したり、減少したりすることもあります。
 骨髄以外の部位で血液が作られていることから、血球を顕微鏡で見ると、血小板の巨大化、赤血球の変形が目立ち、涙型をした赤血球がみられます。
 赤血球の母細胞(ぼさいぼう)である赤芽球(せきがきゅう)や幼若顆粒球(ようじゃくかりゅうきゅう)も認められ、これを白赤芽球症(はくせきがきゅうしょう)と呼びます。
 また、脾臓の腫れがしばしばみられます。
骨髄の生検
   骨髄に針を刺しす骨髄穿刺(こつずいせんし)を行い血液を吸引しようとしても、骨髄には線維が多く、血液が作られていないため吸引ができません。
 確定診断のためには、骨髄の組織の一部を採取してしらべる生検によって骨髄の繊維化を証明する必要があります。
 骨髄の繊維化は、白血病や悪性リンパ腫などの他の血液腫瘍、他のガンの骨髄転移によっても起こります。また、膠原病(こうげんびょう)、結核などが原因になる場合もあるので、他の病気を除外する必要があります。
慢性骨髄性白血病との区別が重要
   一方で骨髄線維症の初期段階では、慢性骨髄性白血病と血液検査の所見が類似していることがあります。
 慢性骨髄性白血病と区別するためには、骨髄生検の結果の他にも、フィラデルフィア染色体、BCR/ABL遺伝子を認めないこと、好中球アルカリフォスファターゼ活性が低下しないことが重要になります。

骨髄線維症の治療法は?
確立されていません
  イメージ画像 根本的な病気の治療法は、まだ確立されていません。
 輸血療法、経口抗腫瘍薬の投与、脾臓の摘出、脾臓への放射線照射などが症状に応じて選択されます。条件が整えば、造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)も考慮されます。
  経口抗腫瘍薬
     白血球や血小板の増加が著しく、脾臓の腫れが目立つ場合、ハイドロキシウレア(ハイドレア)、ブスルファン(マブリン)などの経口抗腫瘍薬が使用されます。
  脾臓摘出
     脾臓の腫れにともなう腹部症状が高度な場合、もしくは脾臓の腫れによって貧血、白血球および血小板の減少が著しいと判断された場合、脾臓摘出術が考慮されます。
 脾臓摘出の他にも、脾臓に放射線を照射したり、脾動脈塞栓術(ひどうみゃくそくせんじゅつ)によって脾臓への血液の流れを遮断する方法も行われることがあります。
  輸血療法
     貧血が進行した場合、輸血が行われます。
  造血幹細胞移植
     治療を目的として行われる唯一の方法です。
 通常では50歳以下の年齢、白血球の型が一致したドナーがいることなど、条件が整えば選択肢のひとつになります。
 しかし現状では、移植にともなう合併症の危険について十分に考慮する必要があり、その適応は慎重に検討されなければいけません。

骨髄線維症かなと思ったら?
日常生活での注意
  イメージ画像 食事、運動、旅行など、日常生活全般についての制限はほとんどありません。ですが、定期的に血液検査を受けることが必要になります。
 脾臓の腫れがある場合には、腹部の圧迫などに注意しましょう。
治療中の注意
   ハイドロキシウレア(ハイドレア)を服用している時は、足の皮膚潰瘍などの副作用に注意が必要です。
 赤血球数のコントロールが不良の時には、手術後に出血や血栓症の合併症が多くなるので注意が必要です。
経過
   経過はさまざまですが、約20%の患者さんでは、急激に悪化して急性白血病などを起こし、命に関わることがあります。
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