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 成人T細胞白血病
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成人T細胞白血病の概要は?
おもな症状
  微熱
全身リンパ節腫脹
皮疹(ひしん)
症状が似ている病気
  悪性リンパ腫
ホジキン病
起こりやすい合併症
  ウイルス・真菌・細菌による肺感染

成人T細胞白血病ってどんな病気?
南西部に多い
  イメージ画像 成人T細胞白血病は、南九州、四国南端、沖縄に多くみられる病気です。
 40歳以上の成人に発症することが多く、Tリンパ球(T細胞)の増殖にともなって、白血球数の増加や、リンパ節の腫脹、その他、さまざまな合併症を示す病気です。異常になったT細胞をATL細胞と呼びます。

成人T細胞白血病の原因は?
母子感染や水平感染
  イメージ画像 ヒトTリンパ向性ウイルスT型(HTLV-1)の感染によって起こる病気です。ヒトT細胞白血病ウイルスとも呼ばれます。母乳から感染します。もしくは、夫婦間の水平感染、性行為による異性間での感染が原因で起こります。
 HTLV-1感染者の多くは無症候性で、日本国内では約120万人が存在します。
 ごく一部のHTLV-1感染者が、感染してから40年〜50年の潜伏期間ののち、さまざまな症状をもって発症します。

成人T細胞白血病の症状は?
4つの型が存在
  急性型
    イメージ画像 ATL細胞が多数で、進行がはやく、生命にかかわる危険が高いものです。
 リンパ節の腫れ、肝臓、脾臓、皮膚、肺などへのATL細胞の浸潤(取り込み)が見られます。高LDH値(乳酸脱水素酵素値)、高カリウム血症などの血液の異常をともなうことも多いです。
  慢性型
     多数のATL細胞がみられるにもかかわらず、進行は緩やかで、慢性リンパ性白血病と似た経過をたどります。
 高LDH値、高カリウム血症があっても軽く、正常なこともあります。
  くすぶり型
     血液中に占めるATL細胞の割り合いが数%と少なく、ほとんどが無症状のまま経過します。
  リンパ腫型
     白血病としてよりも、悪性リンパ腫として経過し、急性型に転化しやすいものです。血液中のATL細胞の数はまれで、リンパ節の腫れが目立ちます。

成人T細胞白血病の診断は?
抗体反応
  イメージ画像 HTLV-1に感染すると、HTLV-1抗体が出現するので、これの有無を調べることで、感染しているかどうかがわかります。
 凝集反応(PA法)による検査で陽性なら、さらに確認のため、間接蛍光抗体法(IF法)やウエスタンブロット法(WB法)、遺伝子(DNA)の検査などが行なわれます。
 発症していなくても、陽性ならばHTLV-1のキャリアである疑いが高く、将来、成人T細胞白血病のほか、ぶどう膜炎、関節炎などの病気を起こす可能性があります。

成人T細胞白血病の治療法は?
病型による治療法の違い
  イメージ画像 成人T細胞白血病の治療法は、感染症や肝機能などの合併症の有無、病型や進行度、全身状態など、さまざまな要因を総合的に判断して決定する必要があります。
 自覚症状がまったくないくすぶり型などでは、定期的に検査を行い、症状が進行しないような薬を使用します。経過観察のみが最善の治療法の場合もあります。
 急性型やリンパ腫型では、悪性リンパ腫の治療に準じて、ATL細胞を撲滅するための抗ガン剤の多剤併用療法を行ないます。アドリアマイシンやクロホスファミドなどを用いて強力な治療を行なうこともあります。
 免疫が低下し、日和見感染が起こりやすいので、予防のための薬も使用します。
新しい治療法
   強力な治療を行なっても、予後はきわめて不良です。
 現在では、造血幹細胞移植など、新しい治療法が研究されています。

日和見感染とは?
日和見感染
  イメージ画像 感染は、原因となる病原体がヒトの体内に侵入し、増殖することで起こります。しかし私たちの周囲の環境には多くの微生物が生息し、腸管内を始めとして体内にも多くの常在菌を保有しています。
 ヒトの体内では、感染を防衛する仕組みが上手く働いているため、感染を防いでいます。この仕組みを一般的に免疫と呼びます。免疫が上手く働いている状態では、体内の微生物は抑え込まれ、大人しくしています。しかし免疫機能が衰えてくると、毒の弱い病原体でも、体内で増殖し感染を起こすことがあります。
 免疫機能の低下した状態で、弱毒の病原体によって起こる感染症を日和見感染と呼びます。
免疫と病原体
   免疫はさまざまな仕組みによって成り立っています。大別すれば自然免疫と、獲得免疫の2つがあります。
 自然免疫は好中球(こうちゅうきゅう)、マクロファージ、補体(ほたい)などが働き、病原体が体内に入ってきてもすぐに対応でき、どんな種類の病原体にも広く対応しています。
 獲得免疫はリンパ球がおもに働き、特定の病原体に効率よく対応しますが、初感染の場合は早い対応は難しいという側面を持っています。獲得免疫は、抗体を利用する液性免疫と、感染している細胞を攻撃する細胞性免疫に分類されます。
 免疫機能が低下すると、免疫の中のどの部分が障害を受けるかにより、感染を起こしやすい病原体の種類も異なります。
 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などに対しては、好中球、マクロファージなどによる自然免疫と抗体による液性免疫が重要です。
 ウイルス、真菌、結核菌などに対しては細胞性免疫が重要で、HIV感染症や臓器移植後は、細胞性免疫の低下により、サイトメガロウイルス感染、カリニ肺炎、消化管カンジダ症、肺結核などの感染を起こす確率が高くなります。
 先天性の免疫不全によって免疫機能が低下している場合、小児期から何度も感染を繰り返したり、重症の感染に陥ったりします。
治療法
   抗菌薬を使って感染している病原体を抑え込むことが重要になります。しかし日和見感染は免疫不全状態の上に成り立つ感染症のため、免疫グロブリンという抗体を投与したり、G-CSFという白血球を増加させる薬を使用するなど、免疫機能を高める工夫も必要になります。
 免疫不全を起こす元となる病気を改善しなければ、感染症を起こす確率は高くなってしまい、治療も困難な場合が多いのが現状です。

成人T細胞白血病かなと思ったら?
医師の指示に従いましょう
  イメージ画像 HTLV-1キャリアの人は、定期的に検査を受けるなど、医師の指示に従いましょう。HTLV-1は、性行為や母乳などを介して感染します。指導を守って、感染防止につとめましょう。
 もし発病した場合、医師の指示に従って療養することが大切となります。

成人T細胞白血病の予防法は?
予防法
  イメージ画像 HTLV-1に感染している母親からの授乳を中止することは、子供への感染を予防する方法のひとつと考えられます。
 また、輸血を介して感染することもあるので、HTLV-1抗体陽性の人からの献血はお断りされています。
予防の成果
   最近、HTLV-1感染者は若年層を中心に減少傾向にあり、これらの予防対策によって、ある程度の効果を上げていると考えられます。
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