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横紋筋肉腫


横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)ってどんな病気?

小児の代表的軟部肉腫

 

イメージ画像 軟部肉腫(なんぶにくしゅ)の多くは中年に発生しますが、横紋筋肉腫は小児の代表的な軟部肉腫です。
 頭頸部(とうけいぶ)、泌尿生殖器によくできる特徴的な腫瘍ですが、四肢にも発生します。
 若干ですが、男児に多く発生する病気です。小児悪性腫瘍では5%〜8%を占め、軟部悪性腫瘍としては小児期で最も頻度の高い病気です。約70%は10歳未満に発症し、1歳〜4歳にもっとも多い病気です。

胎児型と胞巣型

 

 胎児型と胞巣型(ほうそうがた)に分類されます。胎児型の方が10歳以下の若年者に発生します。
 泌尿生殖器に発生するものより四肢に発生するものの方が悪性度が高くなります。また、胎児型より胞巣型のほうが悪性度が高いと言われています。
 腫瘍の色は通常の筋肉の赤い色より薄く、灰白色で、なかには粘液が詰まっているものもあります。

多形型横紋筋肉腫

 

 まれな腫瘍ではありますが、40代の中年の大腿部に発生する多形型と呼ばれる横紋筋肉腫もあります。
 多形型横紋筋肉腫の治療法は、悪性線維性組織球腫と同じです。

悪性度が非常に高い

 

 横紋筋肉腫は非常に悪性度の高い腫瘍です。予後不良な子供の悪性腫瘍として有名でした。
 しかし近年では、化学療法の進歩によって著しく予後が向上しています。遠隔転移のない胎児型横紋筋肉腫では、5年生存率は約80%と言われています。
 早期発見がとても重要ですが、適切な治療を受ければ、助かる悪性腫瘍になりました。


横紋筋肉腫の症状は?

巨大化するまで症状がない

 

イメージ画像 多くの場合、筋肉の深部に発生し、急速に大きくなります。
 普通は、痛み、しびれ、麻痺などの症状はありません。腫瘍が巨大化して神経を圧迫するようになると、痛みがあらわれます。
 筋肉内に発生したものは浸潤性(しんじゅんせい)で、周囲との境界が不明瞭になります。
 腫瘍の硬さは一定ではなく、比較的軟らかいものから、硬いものまでさまざまです。

急速に大きくなる深部の腫瘍

 

 子供で頭頸部や四肢に急速に大きくなる深部の5cm以上の腫瘍をみつけたら、まず横紋筋肉腫を疑う必要があります。
 下腹部、外陰部に腫瘤(しゅりゅう)を見付けた場合にも、横紋筋肉腫の可能性があります。


横紋筋肉腫の診断は?

子供の腫瘍

 

イメージ画像 胎児型、胞巣型ともに、小児から中学生・高校生くらいまでの子供の腫瘍であることが特徴です。
 外観や触診、またはMRIなどによる画像検査でも確定診断はできません。

生検で診断

 

 最終的には、組織の一部分を採取して検査をする生検による病理検査を行ないます。病理検査は顕微鏡による組織検査です。また、針で細胞をとる細胞診でも診断することができます。
 血液検査では異常はみられません。


横紋筋肉腫の治療法は?

化学療法

 

イメージ画像 抗がん薬の使用が効果的なため、化学療法を主体として治療を行ないます。
 長期間の化学療法が必要となり、ときに一年以上にも及ぶことがあります。とくに胞巣型と、四肢に発生した場合は、強力な化学療法が必要となります。
 都道府県では、小児の悪性腫瘍治療をそサポートする制度があり、治療費が無料になる場合もあるので、専門医に相談しましょう。

放射線療法

 

 放射線療法も有効で、手術と同等の効果があるといわれています。しかし放射線療法を行なう施設と、行なわない施設とがあります。
 小児の場合は成人に比べて、放射線治療後に二次性の悪性腫瘍ができやすいとされているので、慎重に行なった方が良いとされています。

手術

 

 手術に関しては、化学療法のみで良いのかどうか、手術も必要なのかどうか、まだ結論は出ていません。しかし多くの医師は、切除した方が良いと考えています。
 一般的な腫瘍をできるだけ広めないために正常組織で包むようにして切除する広範切除が必要なのか、腫瘍のみを切除すればいいのかについても、結論は出ていません。多くの場合、化学療法のスケジュールに影響を与えないのであれば、広範切除の方が良いと考えられています。
 非常な進行例を除けば、四肢の切除を要することはほとんどありません。

横紋筋肉腫のこれから

 

 日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)が立ち上がり、国内の小児外科、小児科、整形外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、眼科、脳神経外科、放射線科などが集まり、さらに基礎研究分野の研究者も合流して横紋筋肉腫を様々な方面から治療を行なおうとしています。
 治りにくいものでも、これからは治療成績が上がっていくことが期待されています。

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