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心的外傷後ストレス障害・PTSD


心的外傷後ストレス障害・PTSDってどんな病気?

PTSDってなんの略語?

 

 PTSDは【Post-Traumatic Stress Disorder】の略です。

どんな病気なの?

 

 簡単に説明をすると、恐怖体験が再び起きているように感じる(フラッシュバックといいます)、悪夢を見る、恐怖体験に繋がる場所や話を避ける、不眠、孤独感などが1ヶ月以上続く状態のことを言います。

おもな症状

 

睡眠障害
イライラや怒りの爆発
注意集中の困難
過剰警戒
極端な驚きやすさ


心的外傷後ストレス障害・PTSDの症状は?

有名になったきっかけ

 

 日本では、地下鉄サリン事件、阪神淡路大震災などをきっかけとして、マスコミでも取り扱われるようになり有名になった神経症の一つです。アメリカではベトナム戦争をきっかけとして、研究され、有名になりました。

きっかけとなる外傷的出来事

 

 実際の死やひどい外傷が生じる恐れ、身体的安全に対する脅迫など、自分や他人に生じるような出来事を体験したり目撃すること

 

 その人の反応が極度の恐れ、絶望、驚愕などであること

心的症状

 

 以上のような外傷的な出来事は、ただ一回だけで済むのではなく、以下のような形で繰り返し体験され、それがまた外傷的出来事になるとされています。
 ベトナム戦争の映画などで演出方法の一つとして使われていたりもします。

 

 はじめの外傷的出来事を反復し、圧倒される苦痛を伴なって思い出す

 

 その出来事と関連した悪夢を繰り返し見る

 

 あたかも外傷を再び体験しているような行動や感情が生じてくる(フラッシュバック)

 

 外傷的出来事に似ているようなことや、思い出させるようなことがあると、強烈な精神的苦痛が生じてくる

行動的症状

 

 以上のようなストレスから自分を守るために、全般的に反応性が鈍くなったり、外傷に関連したことを避ける傾向が生じてきます。おもな例としては、以下にあげるとおりです。

 

 外傷に関連した考え、感情、会話を避ける

 

 外傷を思い出させるような場所、人、活動を避けようとする

 

 外傷の重要な部分を思い出せない

 

 重要と思われることなのに、興味や傘下が著しく損なわれる

 

 他人から疎遠になり孤独になる

 

 思いやりや、愛情が著しく減退する

 

 将来への希望が薄れる

定義

 

 アメリカ精神医学会では、冒頭の『おもな症状』にある症状や障害が、少なくとも一ヶ月以上続いた場合、心的外傷後ストレス障害として診断することになっています。それまでは、症状や障害があっても、『急性ストレス障害』と呼ぶことになっています。


心的外傷後ストレス障害・PTSDの原因は?

だれにでも起こる病気です

 

イメージ画像 PTSDは、震災、大事故、凶悪事件に遭った人たちだけに限られません。強姦事件の被害者はもちろん、配偶者間暴力でも、被害女性の4割以上にPTSDが発症することが、厚生労働省研究班の調査で明らかになりました。
 交通事故、医療事故でも、体験の衝撃が大きければPTSDは起こりえます。だれもが発症する可能性のある心の障害です。
 アメリカにはPTSDを専門に治療・研究する国立センターが7ヶ所ありますが、日本には残念ながらありません。


心的外傷後ストレス障害・PTSDの治療法は?

まずできること

 

 信頼している家族や身近な人による共感、見守り、心理的な支えが必要です。精神療法家の治療を受けるのも、外傷後、あるいは反復して生じてきてもなるべく早い時期のほうが効果的です。
 阪神淡路大震災の後、アメリカから外傷体験を進んで思い出させることで効果があるとすすめられましたが、実際には必ずしもそうではなかったといわれています。国民性による違いにより、対処法も変わってくるようです。
 日本の国民性からは、まず、思いやり、絆の再確認が大切だといわれています。自己洞察を求める不快精神療法はその後に行われます。

薬物療法

 

 SSRIと呼ばれる抗うつ薬や、抗不安薬が、症状を和らげるのに使われます。


心的外傷後ストレス障害・PTSDの新しい治療法は?

持続曝露療法

 

 アメリカで有効性が証明された治療法の一つです。つらい体験をあえて思い出すことで、思い出しても怖くないと実感できるようにする治療法です。
 患者さんの負担が大きい治療法なので、訓練を受けた専門家が行う必要があります。このような専門家は、日本国内では数えるほどしかいません。

一例

 

 40歳代の女性は、大学生だった19歳の時、道で会った同学年の男に部屋に連れ込まれレイプされました。忌まわしい記憶を心の奥に封じ込めて生活していましたが、5年前、親しい男性と交際するうちに記憶が鮮明によみがえり、恐怖に襲われ「死にたい」と思いました。
 昨年、病院で曝露療法をもちいた治療を受けました。心理士との面接で、レイプした犯人の服装、言葉、部屋の様子などを詳細に話します。犯人と同じ服装や体格の男性を、喫茶店や電車などで見つめる訓練をしました。
 これを3ヶ月間繰り返し、「思い出しても今は安全で怖くない」と実感できるようになり、症状も消えました。

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