そらいろネット > 家庭の医学 > こころの病気 > 子供のうつ病
小学生 ・カンシャク ・感情表現が乏しい ・非創造的 ・友達付き合いができない ・集中力がない ・執拗な癖(夜尿、爪噛み、性器いじりなど)
中学生 ・物事にこだわる ・自殺の話が多い ・劣等感 ・気分が変わりやすい ・頭痛や腹痛をよく訴える
身体的な病気の初期 軽い意識障害 統合失調症(精神分裂病) 衝撃的出来事(ストレス)への反応 登校拒否
憂鬱な気分と自責感を主症状とする精神障害で、精神と身体の活力が全体的に低下している状態です。うつ病よりは軽い状態のものを含めて、憂鬱な気分の状態を一般に『うつ状態』と呼ばれています。 児童精神科外来を訪れる子供たちの13%〜25%は色々な程度のうつ状態を示しています。2対1で男児に多いようですが、思春期以降は性差はありません。 口数が多く、活動量が増す躁状態と交互にみられることもあります(躁うつ病、双極性感情障害)。
うつ病の原因はまだ解明されていません。 しかし、子供のうつ状態の75%は、親子関係、学校状況、友人関係などの心理学的な原因によるといわれています。体質、または脳の気質的な原因によるものは6%〜8%といわれています。
とくに理由がないのに、表情が乏しく、行動量と活動性が減少し、好きなテレビも見ず、友達や遊びに関心を示さなくなります。また、食欲がなくなり、体重が減少し、眠りが浅く、イライラして怒りっぽくなります。 一般に、朝方は調子が悪く、夕方になると気分が落ち着いて、元気が出てきます(日内変動)。頭痛、吐き気、腹痛などの身体症状を訴えて学校に行きたがらず、成績が低下してくることもあります。
学齢前の幼児では、遊び方が単調で、創造的ではなく、理由もなく泣くことが多く、極端に臆病で、食欲不振、睡眠障害などがみられます。
小学生では、カンシャクをおこしやすく、嬉しいという感情の表現が少なく、創造的な遊びができず、友達との触れ合いが少なく、集中力に欠け、勉強が苦手、夜尿、爪噛み、性器いじりなどの癖がみられます。
中学生では、物事へのこだわりが多くなり、自殺について話すことが多く、友達に対する劣等感があり、気分が変わりやすくなり、頭痛・腹痛などの身体症状をしきりに訴えます。『憂鬱な気分』と『自責的な考え』を訴えるようになり、『死んでしまいたい』といって考え込んでしまうこともあります。
憂鬱な気分は、健康な子供にもよくみられることで、それだけですぐに病的なものと断定することはできません。身体的な病気のかかりはじめにみられるけだるさや元気のなさ、さらに軽い意識障害をうつ状態と見誤ることもあります。統合失調症(精神分裂病)でも、うつ状態がよくみられますし、近親者の突然の死去、離別などによって、反応性のうつ状態がみられることがあります。いわゆる登校拒否との区別は、容易ではありません。
うつ状態は時期がくれば必ず治ります。いたずらに勇気付けたり、励ましたりしてはいけません。自責感の強い子供は、かえって重荷となり、自分を追い込んでしまいます。心のエネルギーが充電するまで、じっくり待っていてやることが大切です。
両親、兄弟姉妹、家族、友達などとの緊張した人間関係、学校や習い事でのストレス、精神的な外傷体験などが認められる場合には、子供とじっくり話し合い、子供が自ら問題を解決していくようにサポート(カウンセリング)します。
抗うつ薬や、精神安定剤を用いることがあります。最近は、安全で効果が早く出る有用な抗うつ薬が開発されています。 専門医からの薬物療法についての説明を、納得がいくまで聞いた上で、服薬させることが大切です。
子供のうつ状態は、色々な原因が考えられます。素人判断せずに、児童精神科の専門医に相談してください。 うつ状態と診断されたら、焦らずに根気よく回復を待ってやることが大切です。時間がたてば必ず元気になるので、元気になってから将来の歩むべき道を考えるようにしましょう。 子供によっては、毎年決まった季節に憂鬱になることがあるので、注意して観察し、早めに抗うつ薬を服用させることが大切です。 子供のうつ病の特徴として、大人に比べて回復は早いですが、再発率が高いと言われています。