|
2つの原因 |
|
肺水腫の原因では、大きく分類して2つのタイプがあります。
静水圧性肺水腫(せいすいあつはいすいしゅ)と呼ばれ、肺の毛細血管静水圧(もうさいけっかんせいすいあつ)が上昇したため、液体成分が肺内に漏れ出します。
もうひとつは透過性亢進型肺水腫(とうかせいこうしんがたはいすいしゅ)と呼ばれ、肺毛細血管壁の病的変化によって液体成分が肺内に滲み出ます。 |
|
静水圧性肺水腫の原因 |
|
静水圧性肺水腫では、心臓弁膜症、心筋梗塞、高血圧など、心臓の病気が原因になって起こる場合が多くみられます。血管内の血漿量が増加し肺うっ血となり、肺の毛細血管の圧力が上昇し、血漿が肺組織に滲み出します。
血圧が著しく高いと、心肥大にみられる左心室の拡張不全のため、左心室拡張末期圧が上昇し、肺水腫をともなう高血圧性左心室不全に陥ることがあります。
心臓の病気に起因するため、心原性肺水腫と呼ばれます。肺水腫のほとんどが、心原性肺水腫です。
静水圧性肺水腫は、肺から心臓への血液を運ぶ肺静脈の閉塞が原因で起こることがあります。 |
|
透過性亢進型肺水腫の原因 |
|
透過性亢進型肺水腫は、別名を急性呼吸窮迫症候群(きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、ARDS)とも呼ばれます。
心臓や肺に病気を持たない人が、ショックや外傷の後に、急に呼吸ができなくなる病気です。ベトナム戦争時に、こうした病気の存在が注目されました。症状、検査結果、病気の経過には、共通点があります。
胃の内容物が肺に入ってしまう誤嚥(ごえん)、重症肺炎、刺激性ガスの吸入、病原菌が血液中に入り毒素を出したために起る全身性炎症状態である敗血症(はいけつしょう)、多発外傷、膵臓炎(すいぞうえん)など、さまざまな原因で起こります。 |