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ビタミンK欠乏症


ビタミンK欠乏症の概要は?
おもな症状
  出血傾向の増大(鼻出血、皮下出血、血尿、腸管出血、頭蓋内出血)
症状が似ている病気
  血液疾患
耳鼻科的疾患

ビタミンK欠乏症ってどんな病気?
乳児の病気
  イメージ画像 特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症では、ビタミンK欠乏のため、生後1ヶ月頃に、突然の頭蓋内出血を起こします。

ビタミンKの働きは?
ビタミンK1とビタミンK2
  イメージ画像 天然に存在するビタミンKにはビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)があります。
 血液凝固作用のほか、オステオカルシンという蛋白質を活性化することで、骨の形成を促進します。このため、骨粗鬆症の治療薬としても使用されています。
血液凝固因子との関係
   血液凝固因子のうち、プロトロンビンを含む血液凝固因子U、血液凝固因子Z、血液凝固因子\、血液凝固因子]が正常に機能するためには、肝臓で合成される時に複数のグルタミン酸残基カルボキシル化という段階を経なければなりません。
 カルボキシル化反応には、ビタミンKが補酵素としての役割を果たしています。
 ビタミンKが不足すると、血液凝固因子の合成が障害され、出血しやすくなります。
 通常では、腸内細菌がビタミンKを産出しているため、成人ではビタミンK欠乏症になることはありません。ビタミンK過剰症も、知られていません。
ビタミンKの多い食品
   緑黄色野菜にはビタミンK1が多く含まれています。
 ミルク、乳製品、肉、卵、果物、野菜には、ビタミンK2が多く含まれています。
 具体的には、納豆、アシタバ、ワカメ、海苔、ツルムラサキ、おかひじきなどがあげられます。

ビタミンK欠乏症の原因は?
腸内細菌が作り出す
  イメージ画像 正常な状態では、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)でビタミンK2が産出されるため、ビタミンK欠乏症になることはありません。
 未発達な新生児や乳児、抗生剤の投与などによって腸内細菌数が減少した人では、ビタミンK欠乏症が起こることがあります。
出血を抑えるビタミンK
   ビタミンKは出血を止める血液凝固因子を作るために必要なビタミンです。ビタミンKが欠乏すると、出血しやすくなり、胃腸や皮下に出血しやすくなります。
 重症の場合、頭蓋内出血を起こします。
ビタミンKの予防内服
   赤ちゃんの場合、生後6ヶ月頃まで血液凝固因子が少なく、母乳中のビタミンK含有量も少ないため、母乳栄養児でビタミンKが欠乏しやすくなります。
 現在では全国的に、出生時1日目〜2日目、生後1週以内、1ヶ月検診時の計3回、ビタミンKの予防内服が行われています。その結果、母乳栄養児でも、ビタミンK欠乏症は非常に少なくなっています。
先天的な病気や抗生剤
   先天性胆道閉鎖症(せんてんせいたんどうへいさしょう)など肝胆道の異常、長期の抗生剤投与などでビタミンK欠乏症になりやすいので、注意が必要です。
 閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)などでは、ビタミンKの吸収に必要な胆汁がないため、吸収障害を起こします。

ビタミン剤の効果は?
食生活の改善が大切
  イメージ画像 現代では、食事が不規則な人、外食やインスタント食品に頼って生活している人が増加しています。それにともなって、栄養のバランスも、大きく崩れてきてしまいます。
 偏った栄養を補うために、ビタミン剤などのサプリメントを摂るというのが、最近の大きな流れになっています。
 まったく摂らないよりは摂った方が良いのですが、やはり基本は食事になります。サプリメントで足りない栄養を補うよりも、自身の食生活を見直すことの方が大切です。
ビタミンの内容量の確認を
   最近では、さまざまな会社から、サプリメントが販売されています。
 サプリメントの中には、過剰症を引き起こしやすいビタミンAが1粒内に所要量以上含まれているものもあります。特に妊婦さんは、奇形発症の危険性が高まるので、摂り過ぎには注意が必要になります。
 継続的に服用する際には、そのサプリメントに含まれている各種ビタミンの量を確認しておくことが大切です。

ビタミンK欠乏症の症状は?
新生児メレナ
  イメージ画像 生後2日〜3日、下血が起こる新生児メレナ(新生児出血症)という現象がみられることがあります。
 新生児メレナは、脂溶性ビタミンは胎盤を通過しにくいことと、肝機能が未熟で血液凝固因子が少ないために起こります。未熟児に多い傾向があります。
 腸内細菌叢の発達にともなってビタミンKが作り出されるようになるので、自然と改善されていきます。
特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症
   生後半月〜2ヶ月の間に起こりやすく、吐血、青あざが見られることがあります。
 乳児のビタミンK欠乏性出血症では、出生後順調に育っていた乳児が、生後1ヶ月頃に下血や頭蓋内出血を起こして死亡することがあります。
 頭蓋内出血を起こすと、突然の不機嫌、嘔吐、意識障害、痙攣、顔面蒼白などが起こります。

ビタミンK欠乏症の診断は?
さまざまな検査
  イメージ画像 頭部CT検査で頭蓋内出血を診断します。
 ヘパプラスチンテスト、トロンボテスト、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)など、血液凝固系の検査を行います。
 PIVKA-Uの測定によって、ビタミンK欠乏の診断を行います。
ビタミンK欠乏症の治療法は?
必要なビタミン量を摂取
  イメージ画像 ビタミンKの1日の所要量は、成人男性で65μg、成人女性で55μgです。
 新生児や乳児では、母乳中のビタミンKの含有量が少なく、腸内細菌叢でのビタミンK産出が未発達です。このため、所要量では0ヶ月〜5ヶ月の乳児で5μg、6ヶ月〜11ヶ月の乳児で10μgを摂取することが推奨されています。
予防が重要
   乳児ビタミンK欠乏性出血症では、発症すると死亡したり、後遺症が残る重症な病気です。そのため、ビタミンKシロップの内服による予防が重要になります。
 肝胆道の異常、長期の抗生剤投与などでビタミンKの欠乏が疑われる場合、追加のビタミンK投与が必要になります。
頭蓋内出血を起こしている場合
   出血を止めるため、ビタミンKの投与、または、血液凝固因子の補充のための新鮮凍結血漿を投与します。
 頭蓋内出血が多く、脳を圧迫している状態では、可能であれば手術を行い血腫を除去します。
 出血量が多くショック状態になっている場合、輸血を行い、呼吸などの全身管理を行います。

ビタミンK欠乏症かなと思ったら?
予防が大切
  イメージ画像 低出生体重児、新生児、長期にわたる病気、特殊な病気では、ビタミンK欠乏症になることがあるので、専門家の診断と治療を受けてください。
 子供でも、バランスのとれた食事をしていれば、ビタミンK欠乏症の心配はありません。子供の食事には、牛乳、乳製品、ニンジン、カボチャなどの緑黄色野菜の摂取に気を配って下さい。
 成人であれば、普通の食生活を送っていれば、ビタミンKが不足することは、まずありません。
 ビタミンKの欠乏によって症状が現れた場合、治療法としてはビタミンKの投与を行います。ただし、副作用があるため、専門医による治療が必要になります。
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