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味覚障害


味覚障害ってどんな病気?
味覚とは?
  イメージ画像 味覚とは、甘味(あまみ)、塩味(しおみ)、酸味(さんみ)、苦味(にがみ)の基本4要素からなると考えられてきました。
 ですが現在では、それにうま味を加えて、基本5要素としています。うま味成分はアミノ酸の一種で、1908年にだし昆布の中から池田菊苗教授によって発見されました。
 また近年では、米ペンシルベニア州にあるモネル化学感覚センターの研究チームによると、カルシウム味が第6の基本味の可能性があると考えられています。
味覚を感じる器官
   味覚を感じる器官は味蕾(みらい)と呼ばれています。そのほとんどは、舌の表面の糸状乳頭をのぞく乳頭という組織に存在します。咽頭などにも存在が認められています。
 味覚の感じ方には、部位によって差があると考えられてきましたが、最近の研究では、甘味、塩味、酸味、苦味の基本4要素はそれほど差がなく、うま味のみ、舌の側面、付け根の部分で強く感じると報告されています。
味覚と嗅覚
   味覚をつかさどる神経は、舌の部分によって異なっています。
 また、味覚は嗅覚とも密接に関連し、嗅覚が低下すると味覚にも変化があらわれます。これが、風味をよばれる由来ともなっています。

味覚障害の原因は?
味覚の3つの経路
   味覚障害は、さまざまな原因によって引き起こされます。
 味を感じる経路には、
   1.味物質の味蕾への到達
   2.味蕾での知覚
   3.中枢への伝達
 に分類されます。これらのどこで障害があっても、味覚障害が引き起こされます。
研究者により異なる原因
  イメージ画像 味覚障害の原因は、研究者によって考えがことなっています。味に関わる因子には、味覚以外にも、香り、舌触り、歯触り、温度、審美、食欲、加齢など、多様なものがあります。
 特発性、薬剤性、亜鉛欠乏症、全身疾患、口腔疾患、心因性などが多いとされています。
  亜鉛欠乏症
     亜鉛は、体にとって必須のミネラル(微量元素)です。普通に食事をとっていれば、欠乏することはありません。しかし、薬剤、腎臓障害などの亜鉛代謝異常、食事量の減少によって、低亜鉛症になることがあります。
 薬剤が原因の味覚障害では、味覚異常、味覚減退、苦味が増すなどの症状があらわれます。亜鉛と薬剤が、金属原子1個に対して、2個以上の配位子が結合した複合化合物のキレート化合物を形成し、亜鉛欠乏により味覚障害を起こすことがあります。薬剤による口の渇きによって苦味を感じることもあります。味覚障害を起こす原因が不明な場合も多くあります。
 腎障害では、亜鉛の吸収が悪くなったり、尿毒素が味蕾に影響し、味覚障害を起こすことがあります。

 味覚障害の原因となる薬剤 
・リウマチ治療薬 ・利尿薬 ・降圧薬 ・抗生剤
・抗甲状腺薬 ・肝疾患治療薬 ・血管拡張薬 ・抗脂血症薬
・抗けいれん薬 ・鎮静薬 ・筋弛緩薬 ・自律神経用剤
・非ステロイド性消炎鎮痛薬 ・鎮吐薬 ・抗潰瘍薬 ・ホルモン剤
・頻尿治療薬 ・ビタミン剤 ・糖尿病治療薬 ・痛風治療薬
・骨粗鬆症治療薬 ・免疫抑制薬 ・抗結核薬 ・抗真菌薬
・冠血管拡張薬 ・抗パーキンソン薬 ・抗アレルギー薬  
  神経障害
     味覚に関わる神経は、舌の前方3分の2あたりにある鼓索神経(顔面神経)、舌の後方3分の1あたりにある舌咽神経(ぜついんしんけい)、軟口蓋(なんこうがい)の大錘体神経(顔面神経)などの末梢神経です。これらの末梢神経に障害があれば、味覚障害を起こすことがあります。
 脳腫瘍、脳卒中などによる中枢神経障害でも、味覚障害を起こすことがあります。
  風味障害
     感冒(風邪)などにともなう嗅覚障害は、味覚障害と密接な関係があります。併発すると、食物の香りも味もわからない風味障害を起こします。
 高窒素血症(こうちっそけっしょう)の場合は、アンモニア臭を起こすことから、風味障害を起こすことがあります。
  味蕾への障害
     口内炎、口腔カンジダ症などは、口腔粘膜の働きに影響を及ぼすため、味覚障害の原因となります。(参考:膣カンジダ症
 腫瘍の治療のため、口腔に放射線照射を行うと、高度の味覚障害が起きます。
 口が乾燥し、口腔乾燥状態になると、苦味を感じます。口が乾燥する病気に、シェーグレン症候群があります。
  加齢・高齢
     唾液には味の分子を溶かす作用があるので、唾液分泌の減少により、味に変化があらわれます。高齢になると、多くの場合は唾液の分泌が減少します。
 また、味蕾は、加齢とともに減少していきます。
 偏食や、食事量の減少によって、亜鉛摂取量が減少すると、味覚障害の原因となります。
 内臓機能が衰え、亜鉛を消化吸収する機能が落ちれば、亜鉛摂取量も減少します。
その他さまざまな原因
   その他、原因がわからないものもあります。
 鉄欠乏性貧血による舌炎では、鉄剤の服用が効果的です。
 その他にも、うつ病などによる心因性の味覚障害もあります。
味覚障害の診断は?
自覚的味覚機能検査
  電気味覚検査法
    イメージ画像 鼓索神経(こさくしんけい)、舌咽神経(ぜついんしんけい)、大錘体神経(だいすいたいしんけい)に通電し、金属味を感じる時の通電流値を測る検査方法です。
  濾紙ディスク法
     直径5mmの濾紙(ろし)に、濃度の異なるショ糖、食塩、酒石酸、キニーネを浸し、味覚を感じる神経があるところに置き、味覚を検査します。
血清亜鉛値
   70μg以下では、亜鉛製剤を投与します。

味覚障害かなと思ったら?
耳鼻咽喉科か神経内科
  イメージ画像 味が変だと自覚したら、耳鼻咽喉科を受診してください。神経におもな原因がある場合は、神経内科を受診してください。
 原因を明らかにして、必要に応じた治療を受けましょう。

味覚障害の予防法は?
亜鉛の補充
  イメージ画像 味覚障害を予防するためには、亜鉛欠乏を予防することが大切です。
 亜鉛を多く含んだ食品には、カキ、カズノコ、煮干し、海藻、きなこ、レバーなどがあります。これらの食品を食べることが推奨されます。
 また、市販のサプリメントで補充するのもひとつの方法です。
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