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局所的原因と全身疾患にともなう舌炎 |
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舌炎は、局所的原因によるものと、全身的疾患にともなう口腔症状のひとつとして現れるものに分類されます。 |
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局所的原因 |
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外傷性の炎症 |
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歯の咬耗(こうもう)・磨り減り、破折などで生じた歯や歯科補填物の尖った部分に舌粘膜が摂食した場合に起こる外傷性の炎症です。熱い食べ物での火傷・やけども含まれます。
これらの刺激を受けた直後は舌粘膜が赤くなり、灼熱感(しゃくねつかん)やピリピリとした痛みが発生します。
刺激が続くと、びらんや潰瘍に進行し、二次感染を引き起こしてしまいます。 |
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舌膿瘍やアフタ性口内炎 |
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食べ物や、さまざまな原因で、舌粘膜の損傷した部位に細菌が感染し、舌膿瘍(ぜつのうよう)・化膿性炎症を発症することがあります。
アフタ・浅い潰瘍も舌に出現し、同時にできた数個のアフタが癒合して大きな病変になると、周囲にも炎症症状をともなってアフタ性口内炎となります。アフタ性口内炎になると、痛みが著しくなります。
このほか、潰瘍を持つ潰瘍性舌炎、おもに外傷や感染症に合併して舌の内部の実質に高度な炎症が生じる実質性舌炎などがあります。 |
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全身的疾患にともなう舌炎 |
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さまざまな原因疾患 |
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おもな病気としては、ウイルス性疾患、悪性貧血、鉄欠乏性貧血などがあります。 |
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ウイルス性のもの |
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ヘルペスウイルスやエイズウイルスの感染で、口腔粘膜全体に炎症が起こり、舌にも発症します。
猩紅熱や川崎病では、イチゴのようにブツブツとした赤い舌がみられ、これをイチゴ舌と呼びます。
口の中で黒色の色素を産生する菌が増殖すると、舌に黒い毛が生えたように見えることがあり、黒毛舌と呼ばれています。
カンジダが増殖した場合、白っぽい病巣が舌に点状にみられます。
二次感染が起こると、さらに煩雑な炎症像を示すことがあります。 |
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悪性貧血 |
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ビタミンB12と葉酸(ようさん)の欠乏で起こる悪性貧血では、ハンター・メラー舌炎がみられます。
初期には舌乳頭が発赤して灼熱感がありますが、次第に舌乳頭は萎縮して赤く滑らかな平滑舌となります。貧血で舌の粘膜が萎縮するために起こります。
また、出血が全身に起こりやすくなるオスラー病という病気では、毛細血管の拡張によって点状の発赤が舌にみられます。 |
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鉄欠乏性貧血 |
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鉄欠乏性貧血では、プランマー・ビンソン症候群として悪性貧血と同様な舌病変がみられます。 |
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天疱瘡など |
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天疱瘡(てんぽうそう)や類天疱瘡(るいてんぽうそう)の症状のひとつとして、剥離性舌炎(はくりせいぜつえん)がみられます。
剥離性舌炎は病名ではなく、症状名になります。 |
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原因不明や先天的なもの |
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原因不明なもの、あるいは先天的な異常と考えられているものには、舌に多数の溝が認められる溝状舌(こうじょうぜつ)、舌の後方に菱形の隆起が見られる正中菱形舌炎(せいちゅうひしがたぜつえん)、舌の表面が地図状に白く見える地図状舌(ちずじょうぜつ)などがあります。 |