猩紅熱

猩紅熱の概要は？

おもな症状

突然の発熱
喉の痛み・腫れ
発疹
イチゴ舌
吐き気、頭痛、腹痛、筋肉痛、関節痛、中耳炎、首のリンパ節の腫れなど

似ている病気

突発性発疹
麻疹・はしか
薬疹
川崎病（小児の急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群）
急性扁桃炎
ジフテリア

起こりやすい合併症

急性糸球体腎炎
リウマチ熱
乳様突起炎
リンパ節炎

猩紅熱ってどんな病気？

溶連菌感染症のひとつ

　A群β溶血性連鎖球菌（えーぐんべーたようけつせいれんさきゅうきん）という細菌の感染によって発症する病気です。A群β溶血性連鎖球菌は、通称、溶連菌（ようれんきん）と呼ばれています。
　A群β溶血性連鎖球菌は、喉に炎症を起こす咽頭炎を引き起こす細菌です。猩紅熱では、咽頭炎だけでなく、全身に発疹も現れる病気です。
　溶連菌は、すでに感染している人の近くにいたり、感染者の咳から出た空気中の細菌を吸い込んだりすることで感染します。

昔は死亡することも

　急激な発熱とともに、喉が真っ赤に腫れ、その後、発疹があらわれたら猩紅熱と診断されます。
　現在は抗菌薬を正しく使用し、合併症を予防すれば、完治が可能な病気となっています。ただし、繰り返し感染する可能性はあります。

昔は法定伝染病に指定

　猩紅熱は、2歳〜10歳の小児に多い発疹性伝染病で、明治時代に法定伝染病に指定されました。治療法が確立されておらず、死亡することもあった病気です。
　現在では抗生物質が開発され、治療も容易になったことから、1999年に施行された感染症新法では、隔離などの法的規制はなくなりました。

猩紅熱の原因は？

A群β溶血性連鎖球菌

　A群β溶血性連鎖球菌による感染で、A群β溶血性連鎖球菌が作る毒素によって発疹が現れます。潜伏期間は1日〜7日とされています。

猩紅熱の症状は？

急な発熱

　39℃以上の突然の発熱で始まります。そして、喉が痛みをともなって真っ赤に腫れます。
　そのほか、吐き気、頭痛、腹痛、筋肉痛、関節痛、中耳炎、首のリンパ節の腫れなどの症状がみられます。

発疹とイチゴ舌

　猩紅熱では、発熱から半日〜2日後になってから、赤くて細かいザラザラとした発疹がかゆみをともなって現れます。発疹は首、胸、腋などに現れ、少しずつ増えて全身が赤く見えるようになります。
　3日〜4日後には、舌がイチゴのように赤くプツプツするようになります。これをイチゴ舌と呼びます。

注意が必要な合併症

　症状が消えた後、2週間ほどで指先の皮が剥けることがあります。3週間ほどで軽快し、あとは残りません。
　注意の必要な合併症には、急性糸球体腎炎（きゅうせいしきゅうたいじんえん）、リウマチ熱などがあります。治療を行わなかった場合、これらの合併症は感染者の2%〜3%に現れます。
　顔のむくみ、赤い尿、動悸、息切れ、関節痛などの症状が現れた場合も、注意が必要です。

猩紅熱の診断は？

外来では迅速抗原キットで検査

　多くの場合は、臨床症状で診断が可能です。
　最近では、喉の抗原の迅速検査が、外来診断の主流となっています。確実に診断するには、喉から取った検体の培養検査、血液による抗体の検査が必要となります。

治癒後の検査

　症状が改善した後も、2週間〜3週間後に尿の中に血液が混じっていないかを検査します。

猩紅熱の治療法は？

ペニシリン系抗菌薬

　ペニシリン系の抗菌薬を使用するのが一般的です。
　数日で薬の効果があらわれ、熱が下がり、発疹も目立たなくなります。
　しかし、症状が改善されても、溶連菌は喉に残っていることがあるので、再発や他人に感染させる可能性があります。合併症を予防するためにも、2週間程度は確実に抗菌薬を飲み続けることが大切となります。

かゆみには抗ヒスタミン薬

　皮膚のかゆみに対しては、抗ヒスタミン薬の内服、または軟膏を使用します。
　薬を飲んでいる間は、安静を保ち、うがいをしっかりと行い、なるべく刺激の少ない食事を摂るように心がけましょう。

猩紅熱かなと思ったら？

乳児の場合は軽症

　高熱や発疹などの特徴的な症状があらわれるのは、4歳以上の場合が多く、乳児の場合は単なる喉風邪程度の症状のみのことがあります。
　なお、家族内で感染する例が30%〜50%あるので、注意が必要です。

2日以上治らなければ医療機関へ

　高熱、発疹のある場合はもちろん、2日以上の喉の腫れがある場合は、早めに小児科を受診しましょう。