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炭疽・炭疽症


炭疽(たんそ)・炭疽症(たんそしょう)の概要は?

おもな症状

 

病型によって大きく異なります

似ている病気

 

虫刺症(ちゅうししょう)
類丹毒(たんどくるい)
鼻疽(びそ)
野兎病(やとびょう)
サルモネラ症

起こりやすい合併症

 

敗血症
毒素性ショック
リンパ節炎


炭疽・炭疽症ってどんな病気?

草食動物の病気

 

イメージ画像 炭疽は草食動物の病気です。
 ヒトには、感染した動物の体液、肉、被毛、毛皮などから感染します。ほとんどは、動物を扱う人の職業病と考えられています。
 ヒトからヒトへの感染は、ほとんどないとされています。

バイオテロの危険も

 

 日本も含め、多くの先進国では、動物の炭疽もヒトの炭疽も、発生はきわめてまれな病気となっています。
 しかし、バイオテロに使用される可能性が最も高い病原体のひとつであるとされているため、注意が必要な病気です。実際にアメリカでは、2001年秋に、議員事務所などに炭疽菌入りの封書が送られ、5人が死亡した事件があります。


炭疽・炭疽症の原因は?

炭疽菌

 

イメージ画像 炭疽菌という細菌に感染することによって発症する病気です。
 炭疽菌は芽胞(がほう)を形成することにより、物理化学的に厳しい条件に抵抗性を示します。
 感染症法では、4類感染症に指定されています。


炭疽・炭疽症の症状は?

3つの病型

 

 炭疽症には、3つの病型があります。それぞれ、症状が大きく異なります。

 

皮膚炭疽(ひふたんそ)

   

 皮膚の傷口などから感染した場合、皮膚炭疽として発症します。自然感染のほとんどは、この病型です。
 1日〜12日の潜伏期間ののち、虫刺されのような丘疹(きゅうしん)があらわれ、水疱(すいほう)となり、黒色の潰瘍壊死(かいようえし)にいたります。患部の浮腫・むくみも認められます。
 治療しない場合の致死率は約20%です。

 

腸炭疽(ちょうたんそ)

   

 炭疽にかかった動物の肉を、調理が不完全なまま食べることで発症します。
 1日〜7日の潜伏期間ののち、吐血、下痢をともなう腹痛が起こります。その後、発熱、および敗血症(はいけつしょう)の症状があらわれます。
 治療しない場合の致死率は25%〜60%です。

 

肺炭疽(はいたんそ)

   

イメージ画像 1日〜7日の潜伏期間ののち、筋肉痛、倦怠感、発熱など、ウイルス感染を思わせる予兆で始まります。呼吸器症状がある場合と、ない場合とがあります。さらに、低酸素症、呼吸困難があらわれます。
 治療しない場合の致死率は95%にも及びます。また、治療しても75%という高い死亡率です。


炭疽・炭疽症の診断は?

顕微鏡、培養、X線検査

 

イメージ画像 皮膚炭疽では、水疱の内容物をグラム染色して顕微鏡で観察します。同時に、培養による分離も行います。
 肺炭疽では、X線撮影により縦隔(じゅうかく)の拡張がみられるとされていますが、必ずしもすべての症例でみられるわけではありません。

菌分離で確定診断

 

 縦膜の滲出液(しんしゅつえき)、痰などから、菌分離を行って、確定診断します。
 虫刺症(ちゅうししょう)、類丹毒(たんどくるい)、鼻疽(びそ)、野兎病(やとびょう)、サルモネラ症などと区別が必要となります。


炭疽・炭疽症の治療法は?

有効な薬剤

 

イメージ画像 炭疽菌に対しては、シプロフロキサシン、ドキシサイクリンなどの薬剤が有効です。
 ペニシリンも有効ですが、耐性をもつ炭疽菌が存在することが知られています。

肺炭疽の可能性があれば即治療

 

 肺炭疽の場合は進行が早いく、死亡率が高いため、確定診断以前でも肺炭疽が疑われた場合には、予防的に抗生剤による治療を行います。


炭疽・炭疽症かなと思ったら?

すぐに病院へ

 

イメージ画像 すみやかに医療機関を受診しましょう。
 感染した動物に接触した可能性がある場合は、必ずそのむねを告げるようにしてください。

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