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 急性化膿性乳腺炎
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急性化膿性乳腺炎の概要は?
おもな症状
  乳房の痛み
発熱
似ている病気
  急性うっ滞性乳腺炎
起こりやすい合併症
  乳腺膿瘍

急性化膿性乳腺炎ってどんな病気?
乳腺の細菌感染
  イメージ画像 乳房内の乳腺が細菌感染を起こし、激しい炎症を起こす急性の病気です。
授乳中の母親に発症
   ほとんどが、お産の後の産褥の2週間後〜3週間後に発症します。生後1ヶ月以降の乳児の授乳中の母親に発症します。

急性化膿性乳腺炎の原因は?
赤ちゃんの乳歯
  イメージ画像 授乳中の母親の乳首に細かな傷ができ、乳児の口腔内の細菌が感染して発症します。生後1ヶ月以降の乳児には乳歯が生え始め、乳歯によって乳首に細かな傷が生じます。
 細菌は、乳管、授乳期で浮腫状(ふしゅじょう)になった乳腺組織、リンパ液の流れに乗ってを通じて広がり、難治性の炎症を起こします。
 間質性乳腺炎(かんしつせいにゅうせんえん)と呼ばれます。
急性うっ滞性乳腺炎
   分娩後間もなく、乳管が十分に開口していないため、乳汁が十分に開口しておらず、乳汁が乳腺内に貯まり、さまざまな症状を起こすのが、急性うっ滞性乳腺炎です。
 急性うっ滞性乳腺炎が誘因となって、細菌が乳管口(にゅうかんこう)から乳管に侵入して、乳管炎(にゅうかんえん)を起こします。感染がさらに進行して、乳腺に及びます。
 実質性乳腺炎(じっしつせいにゅうせんえん)と呼ばれます。
黄色ブドウ球菌
   原因となる細菌の多くは、黄色ブドウ球菌です。この他にも、溶血性連鎖球菌、大腸菌が原因となることがあります。まれに、緑膿菌(りょくのうきん)、肺炎双球菌(はいえんそうきゅうきん)が原因となることもあります。最近ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が原因となることもあるので、注意が必要です。
 感染が長期化すると、膿が溜まり、膿瘍ができます。

急性化膿性乳腺炎の症状は?
全身症状
  イメージ画像 外科的感染症の中でも、もっとも症状の激しい病気です。
 全身症状としては、突然の寒気・震えをともなう38℃以上の高熱が出ます。
局所症状
   炎症を起こした乳房は赤く大きく腫れ、乳腺は発赤、腫脹、激しい疼痛、局所の熱感があらわれます。乳房の内側は痛みと熱が激しく、押すと痛いしこりを触れます。
 明らかな腫瘤を形成することはありません。
 2日〜3日で細菌感染が進行し、乳腺内に膿瘍(のうよう)を形成します。乳汁に膿汁や血液が混じることもあります。表層性の膿瘍は、皮膚が光沢を帯びて暗紫色になり触ると柔らかく波動を感じ、自然に潰れて膿を排出することがあります。発熱は38℃以上の高熱になります。
 脇の下にある腋窩リンパ節が、腫れて痛むことも良くあります。

急性化膿性乳腺炎の診断は?
さまざまな検査を行う
  イメージ画像 臨床症状、血液検査による白血球数の増加とCRP値の上昇、超音波検査などを行い診断します。
 膿瘍を形成していることが確認できれば、膿汁(のうじゅう)を穿刺吸引(せんしきゅういん)して、培養を行い原因となっている起因菌を特定します。起因菌を特定することで、抗生物質の感受性検査に役立ちます。
 穿刺吸引した穿刺物は、細胞診断も行い、乳腺炎と良く似た炎症性乳ガンではないことを検査します。

急性化膿性乳腺炎の治療法は?
抗生物質の投与
  イメージ画像 急性化膿性乳腺炎と診断されたら、すぐに有効な抗生剤の内服や注射、消炎薬の内服を行います。乳頭の傷には、抗生剤入りの軟膏を塗布します。
 授乳は中止し、氷嚢などを使って乳房を冷やす冷罨法(れいあんぽう)などを行って疼痛などの症状の軽減をはかります。乳汁うっ滞に対しては、搾乳機(さくにゅうき)を使用して、搾乳し乳汁うっ滞を除きます。
 乳汁うっ帯が強い場合、一時的に乳汁の分泌を抑制する薬が処方されることがあります。
 急性化膿性乳腺炎の治療は、授乳期という特殊な時期・環境で困難な場合も多くなってしまいます。
貯まった膿を出す
   治療しているにもかかわらず膿の塊である膿瘍が形成されてしまった場合、穿刺排膿して、膿瘍内を洗浄し、抗生物質を注入します。穿刺排膿でも効果がない場合や、症状が激しい場合は、膿瘍部の皮膚を切開して排膿します。
 的確な切開、排膿はとても効果的です。切開の方法には、乳輪切開法、輪状切開法などがあります。
 炎症の激しい時期に切開を行うと、のちにケロイドが残ってしまいます。
耐性菌の存在
   急性化膿性乳腺炎の治療過程で、初めてペニシリン耐性ブドウ球菌が発見されました。
 このことから、抗生物質による治療だけを続けることには、問題があります。

急性化膿性乳腺炎かなと思ったら?
外科か産婦人科へ
  イメージ画像 外科、もしくはお産をした産婦人科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
 急性化膿性乳腺炎は、重い感染症だという認識を持ってください。
 乳汁に膿が混じる場合や、切開を行った場合は、授乳は中止してください。乳房マッサージも中止します。急性化膿性乳腺炎を起こしていない乳房からは、授乳は可能です。

急性化膿性乳腺炎の予防法は?
乳首を清潔に
  イメージ画像 乳頭(にゅうとう)、乳輪(にゅうりん)を清潔に保つことが大切です。
 急性うっ滞性乳腺炎が誘因となるので、乳汁が貯まらないように、マッサージなどで手入れをしてください。
 乳頭の亀裂、表皮剥離からも感染するので、早く手当をしておいてください。
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