浦賀水道を往来する船の中でも、存在感があるLNG船。「ガス船」と呼ばれたりもします。巨大な船体も目立つ要因の一つですが、独特の形をしたタンクが搭載されているので、すぐにわかります。LNGの重量が軽いため、船の高さも高くなるので、それもまた、目立つ要因のひとつですね。
普通は船体の横に「LNG」と書かれているのですが、この船には書かれていません。
船名は「ABADI」です。読み方は、アバディでいいと思うよ。ブルネイにあるブルネイ・ガス・キャリアーズが所有しますが、三菱重工長崎工場で造船された日本製の船です。2002年に引き渡しされました。総トン数111461トン、全長290mあります。
都市ガスに使われる天然ガスを運びますが、そのままだと体積が大きいので、低温にして液体にして運びます。液化した天然ガスがLNGと呼ばれます。天然ガスを液化するためには-162℃まで冷やす必要があるため、断熱した特殊なタンクが使われます。超低温のLNGが直接船体に触れると、その部分の鋼材が脆くなって崩壊する脆弱破壊を起こしてしまいます。タンクの材料には、アルミニウムやステンレスが使用されます。
球形タンク(モス方式)のLNG船が目立ちますが、角型タンク(メンブレン方式)もあります。効率が良いことや、安全面から、球形タンクのLNG船の新造は減少傾向にあります。輸送中にLNGが気化するため、推進用燃料に使う蒸気タービン機関を搭載しています。 |