毎年、野比海岸で実施されるおんべ焼き。
かつてはそれぞれの地域で行われていた子供を中心とする行事ですが、現在ではほとんどが海岸で行われ、大人が中心となって行われています。
かつては、村境、道祖神や庚申塔の隣り、神社や寺院の近く、水田・空き地・海岸などで行われていました。野比〜三浦海岸にかけて、それぞれの地域で実施されていた頃は、オンベに点火すると海岸線が真っ赤に輝いたそうです。
現在では宅地開発や都市化などの影響で、ほとんどが海岸で行われるようになりました。海岸のない地域の人は正月飾りの処分に困ってしまうので、他地域であっても持ち込み可能となっているようです。
小正月の火祭りで、正月の松飾、しめ飾り、古くなったお札などを集めて焼き上げます。三浦半島だけでなく、日本各地で行われている行事です。
おんべ焼きのほか、どんど焼き、どんどん焼き、左義長、さいと焼きなど、地域によって呼び方が異なります。横須賀市内でも、おんべ焼き、どんど焼き、さいと焼き、おんべん、せいとなど、地域によって異なっています。野比地区ではオンベ、サイト、セート、サイト焼きと呼ばれていました。
かつては、集落ごとに男の子が中心となって行われてきました。子供たちの集団は、サイト、セイト、セイトッコなどと呼ばれ、年齢によって明確に階級が決められていました。最年長がカシラや親方と呼ばれ、リーダーとなりました。
オンベを組み上げるために必要なササを狩り集め、門松、神棚の飾り、サンマタ、宝船、お供え餅の下に敷いた紙、すす払いに使ったタケなどを集めて回りました。集めた家々からはオヒネリを受け取り、おんべ焼きの費用に充て、残りは子供たちに分配されました。
子供たちが宿泊する宿を設ける地域もありました。子供たちはオンベを組み上げげてから燃やすまでの数日間、その宿に宿泊しました。
オンベの組み立て方も地域によって異なり、芯柱にモウソウチクを用いたり、松や杉を使って大きく作るところもあります。モウソウチクを使うと、火が着くとパンパンと大きな音を立てて破裂するため、景気付けの意味も込めて使われたようです。
当日、薄暗いうちから子供立ちは大声で家々を回ります。
触れ方も地域によってさまざまですが、「セート、おんべ燃やすぞ。じんじもばんばも飛び起きろ。」、「出えせえな、出えせえな、じんじもばんばも出えせな。おんべ燃やすぞ、出ねえもな、ケッポの中のガニガンド」、「オンベ燃やしてけーらっせ」、「セイトもつけてけいらっせ、○○○(他の地域の名前)も着けたぞ、おらほは遅いぞ」などと大きな声で家々を回りました。
サンマタで地面をポンポンと打ち付けて鳴らしながら歩くなど、寝ている人を叩き起こすために、騒がしく行ったようです。
火を着けても子供たちの仕事は続き、ふんどしや海水パンツ姿になって、真冬の海に入って垢離(こり)を取りました。
海に入って垢離を取り、近くの神社まで行って石や砂を供えたりし、みなで風呂や銭湯に入りました。
オンベの火で餅を焼いて食べると一年間は風邪をひかないと言われており、最近ではお餅ではなくマシュマロを焼く人もいるようです。焼きマシュマロって美味しそうです(^^)。書初めを焼いて半紙が高く舞い上がれば、字が上手くなるとも言われています。
野比海岸|横須賀市野比
- 三浦半島観光地図
おんべ焼き|2009年|野比海岸|横須賀市野比
- 三浦半島観光地図
2016年の実施状況は下記のとおりです。鴨居、久留和、根岸等でも行われているはずですが、情報がないため詳細はわかりませんでした。
地区 |
主催町内会 |
場所 |
日時 |
野比海岸 |
志も町内会 |
野比海岸公園の下の海岸 |
1月10日 AM6:30 |
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中村町内会 |
白髭神社の下の海岸 |
1月10日 AM6:50 |
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野比東町内会 |
マンション・サニーステージ下の海岸 |
1月10日 AM6:50 |
長沢海岸 |
長岡町内会 |
牧水記念碑の近く |
1月17日AM6:30 |
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熊野神社 |
東部漁協の下 |
1月17日 AM6:20 |
久里浜海岸 |
長瀬町内会 |
開国橋の近く |
1月10日 AM10:00 |
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久里浜町内会 |
ペリー公園前 |
1月10日 AM10:00 |
岩戸 |
岩戸町内会 |
岩戸4丁目・5丁目公園 |
1月10日 AM9:30 |
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